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第71話 土の神様降臨
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「ルイ!よかった」
ロザージュがルイに駆け寄った。ルイはカミノアとラグ爺を連れて虹の橋を渡りみんながいる場所に戻った。その後ろからロロイカがノロノロと付いて来ていた。
「ルイ殿、かの国はどうなる?」
フィロデンが駆け寄る
「砂漠に降りるって」
「降りるって生き物みたいに…」
「あの島は今はまだ生き物よ」
「ルイ、モナルダは?」
ロザージュがルイの肩にとまっていない虹の番人に不思議に思った。
「上で頑張っている」
ルイたちは砂漠に移動をしてかの国が降りて来るのを待った。
かの国はサウーザからあまり移動してはいなかったようで、少しずつ降りて来ていた。フィロデンからサウーザに話が行きノーズレスクとサウーザの騎士や兵士たちがかの国が降りて来るのを見守った。
しかし、すでにビアンカの力が弱くなっており、またラグ爺の支えがない事から途中から色んな土や木が砂漠にドスンドスンと落ちて来ていた。
そして、ドドドーーっと、大きな地響きを立て、かの国が砂漠に着陸した。着陸した振動でかの国の城や建物は全壊していた。
ルイはモナルダを捜した。サウーザの騎士たちから危ないからと止められたがどこか青いものがないかと目を光らせた。そして青い鳥がかの国の森から飛び出した。
「モナルダ!」
モナルダはルイの元に帰って来た。
「よかった」
ルイはモナルダを抱きしめた。
『心配し過ぎよ…』
モナルダは炎の聖杯を持ってきた。その中には小さな火がヒョコと顔を出している。悪い事をした後の子供の仕草のようだ。ビアンカは人間から自力で這い出たようだ。
モナルダがいうには元のビアンカに戻ったのだという。
フィロデンやサウーザの人たちには杯の事を隠した。しばらくはモナルダがビアンカを見張るから大丈夫だと言っている。この子はしばらく人と離れて暮らした方がいいとモナルダが言うので、ルイはあの荒れ地に連れて行く事を提案した。
金色に輝く杯をルイは遠巻きに見た。モナルダからまだ近づくなと言われている。そしてその杯をよく見ると足の部分に、なにか白いモノが巻き付いている。それは白い小さな蛇だった。
「わっ」
ルイは驚いてしまったが、モナルダから
「その子がムーンよ」
と、言われた。
えっ小さい
ルイはカミノアみたいにもっと大きな蛇を想像していた。そしてこの小さいのが分身かなにかと思っていたら、これが本体なのだそうだ。ずっと杯に巻き付いていたのだそうだ。そしてビアンカが人を食った時から離れられなくなったと言っている。
分身は人間の目には見えないのだそうで、ムーンは久しぶりに自由になったと言っていた。
久しぶりって…
『お主がビアンカを静めてくれたご仁かナ?』
ムーンはルイを見て言っているようだ。
「え?いえ、違うわ。モナルダが説得をしたのよ」
『おお、モナルダ。懐かしい友の名だナ』
『どこが懐かしいのよ。毎日のように橋にいたじゃない。ルイがいた時から橋をウロウロしてたのよ。別にビアンカを〆て杯から離れる事もムーンは出来たんだから』
『可愛いビアンカを〆るなどと、わしには出来んナ』
『なに言ってんのよ』
「…シオンが言っていたんだけど…ムーンって卵を産むの?」
『わしは産まんナ』
「え?でもツチコノって」
ルイは吹き出しそうになる。ツチコノって、、
『わしにはツガイがおるのじゃナ』
「その子がツチノコを産むの?」
『そうじゃナ』
「分身でも子供が出来るの?」
『子供?子供は出来んナ。わしはツガイに魔力を移すのじゃナ。わしもたまには魔力放出しなければ貯まるのじゃナ』
どうやらツチコノと呼ばれている卵は卵ではなく、ムーンの魔力の残りかすがプリっと出たものらしい。ようは糞のような物らしいのだ。
「で、その子はどこにいるの?タールタクト(仮)に一緒に連れて行きましょう」
『そこで寝取るナ』
「え?そこ?」
『おーい、サンやーい、呼んどるぞーーーーい』
『あ、バカ!』
モナルダが慌てた。
「え?」
砂漠に落ちて来た巨大な島がモコモコと動き出した。そして上に載っていた森や家やすべての物を凪倒れて、土の中から巨大な金色の蛇が顔を出した。その姿は水龍であるカミノアよりはるかに大きかった。
サウーザやノーズレスクの兵士たちは驚いて腰を抜かしてしまった。
「た、た、たたた、退避、退ー避、たいひーぃ!!!」
と叫んでいる。
「ルイ殿―――――!!こ、こ、ここおおはいったいいいい!!」
あのフィロデン様が焦りまくっている。
「あ、神獣のようですよ。攻撃しないでくださいね、あはは」
「し、、神獣だと…」
『ああ、サンは大きくなっちゃってね、身動き取れないのよ。元々寝てばかりの子だからいいみたいだけど…』
『わしが魔力をやり過ぎてナ』
「あの子はあの大きさで虹の橋を渡れる?」
『大き過ぎるけど大丈夫よ。土に馴染めば移動なんて簡単よ』
モナルダにビアンカとムーンとサンをタールタクト(仮)に連れて行って貰う事になった。サンは砂漠の中に大きな身体をビチビチと言わせながら潜っていった。砂漠に大きな地響きが鳴り回っていたがしばらくすると静まり返った。
無事にタールタクト(仮)に移動したようだ。
ロザージュがルイに駆け寄った。ルイはカミノアとラグ爺を連れて虹の橋を渡りみんながいる場所に戻った。その後ろからロロイカがノロノロと付いて来ていた。
「ルイ殿、かの国はどうなる?」
フィロデンが駆け寄る
「砂漠に降りるって」
「降りるって生き物みたいに…」
「あの島は今はまだ生き物よ」
「ルイ、モナルダは?」
ロザージュがルイの肩にとまっていない虹の番人に不思議に思った。
「上で頑張っている」
ルイたちは砂漠に移動をしてかの国が降りて来るのを待った。
かの国はサウーザからあまり移動してはいなかったようで、少しずつ降りて来ていた。フィロデンからサウーザに話が行きノーズレスクとサウーザの騎士や兵士たちがかの国が降りて来るのを見守った。
しかし、すでにビアンカの力が弱くなっており、またラグ爺の支えがない事から途中から色んな土や木が砂漠にドスンドスンと落ちて来ていた。
そして、ドドドーーっと、大きな地響きを立て、かの国が砂漠に着陸した。着陸した振動でかの国の城や建物は全壊していた。
ルイはモナルダを捜した。サウーザの騎士たちから危ないからと止められたがどこか青いものがないかと目を光らせた。そして青い鳥がかの国の森から飛び出した。
「モナルダ!」
モナルダはルイの元に帰って来た。
「よかった」
ルイはモナルダを抱きしめた。
『心配し過ぎよ…』
モナルダは炎の聖杯を持ってきた。その中には小さな火がヒョコと顔を出している。悪い事をした後の子供の仕草のようだ。ビアンカは人間から自力で這い出たようだ。
モナルダがいうには元のビアンカに戻ったのだという。
フィロデンやサウーザの人たちには杯の事を隠した。しばらくはモナルダがビアンカを見張るから大丈夫だと言っている。この子はしばらく人と離れて暮らした方がいいとモナルダが言うので、ルイはあの荒れ地に連れて行く事を提案した。
金色に輝く杯をルイは遠巻きに見た。モナルダからまだ近づくなと言われている。そしてその杯をよく見ると足の部分に、なにか白いモノが巻き付いている。それは白い小さな蛇だった。
「わっ」
ルイは驚いてしまったが、モナルダから
「その子がムーンよ」
と、言われた。
えっ小さい
ルイはカミノアみたいにもっと大きな蛇を想像していた。そしてこの小さいのが分身かなにかと思っていたら、これが本体なのだそうだ。ずっと杯に巻き付いていたのだそうだ。そしてビアンカが人を食った時から離れられなくなったと言っている。
分身は人間の目には見えないのだそうで、ムーンは久しぶりに自由になったと言っていた。
久しぶりって…
『お主がビアンカを静めてくれたご仁かナ?』
ムーンはルイを見て言っているようだ。
「え?いえ、違うわ。モナルダが説得をしたのよ」
『おお、モナルダ。懐かしい友の名だナ』
『どこが懐かしいのよ。毎日のように橋にいたじゃない。ルイがいた時から橋をウロウロしてたのよ。別にビアンカを〆て杯から離れる事もムーンは出来たんだから』
『可愛いビアンカを〆るなどと、わしには出来んナ』
『なに言ってんのよ』
「…シオンが言っていたんだけど…ムーンって卵を産むの?」
『わしは産まんナ』
「え?でもツチコノって」
ルイは吹き出しそうになる。ツチコノって、、
『わしにはツガイがおるのじゃナ』
「その子がツチノコを産むの?」
『そうじゃナ』
「分身でも子供が出来るの?」
『子供?子供は出来んナ。わしはツガイに魔力を移すのじゃナ。わしもたまには魔力放出しなければ貯まるのじゃナ』
どうやらツチコノと呼ばれている卵は卵ではなく、ムーンの魔力の残りかすがプリっと出たものらしい。ようは糞のような物らしいのだ。
「で、その子はどこにいるの?タールタクト(仮)に一緒に連れて行きましょう」
『そこで寝取るナ』
「え?そこ?」
『おーい、サンやーい、呼んどるぞーーーーい』
『あ、バカ!』
モナルダが慌てた。
「え?」
砂漠に落ちて来た巨大な島がモコモコと動き出した。そして上に載っていた森や家やすべての物を凪倒れて、土の中から巨大な金色の蛇が顔を出した。その姿は水龍であるカミノアよりはるかに大きかった。
サウーザやノーズレスクの兵士たちは驚いて腰を抜かしてしまった。
「た、た、たたた、退避、退ー避、たいひーぃ!!!」
と叫んでいる。
「ルイ殿―――――!!こ、こ、ここおおはいったいいいい!!」
あのフィロデン様が焦りまくっている。
「あ、神獣のようですよ。攻撃しないでくださいね、あはは」
「し、、神獣だと…」
『ああ、サンは大きくなっちゃってね、身動き取れないのよ。元々寝てばかりの子だからいいみたいだけど…』
『わしが魔力をやり過ぎてナ』
「あの子はあの大きさで虹の橋を渡れる?」
『大き過ぎるけど大丈夫よ。土に馴染めば移動なんて簡単よ』
モナルダにビアンカとムーンとサンをタールタクト(仮)に連れて行って貰う事になった。サンは砂漠の中に大きな身体をビチビチと言わせながら潜っていった。砂漠に大きな地響きが鳴り回っていたがしばらくすると静まり返った。
無事にタールタクト(仮)に移動したようだ。
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