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第57話 緊張して立てなくなりました
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「…わかった。まずは付与師から片づける事にしよう。ハート、シオン王子にコンタクトを取ってくれ」
「わ、分かりました。すぐに」
「信じて頂いてありがとうございます」
フィロデンはギロリとルイを睨む
「まだ信じた訳ではないよ。しかし驚いたな…まあ、付与師の件が片付けば他国からの厳しい状況から脱する事が出来る。賠償金でどうこう出来る問題ではないからね。大切な歴史的文化遺産の宝石をゴロゴロと…あんなもの普通の人間が売ったって捕まるだけなのにと思ったものだったが、君の説明ならまあ納得かな。で、その頼まれていた王族というのは…のかね?」
フィロデンはパクパクと口を動かす
「そうです。私はあの国の事はかの国と呼んでいます」
「ああ、かの国ね。まあ、大泥棒と言われたままでは不愉快だろうね。しかし攻め込むというのは…」
「ただでとはいいません。かの国と同じように利益が出るような事を提示します。ほしいのであれば水の粉もあげますよ。あれは水龍が作っているのですから。先ほども言いましたが水龍は私の手の内にあります。かの国から…もといガルーナ王国から水の粉の取り引きはもう出来ないでしょうから」
ルイはカバンから近くの雑貨屋で買った小瓶をとり出した。その中には水の粉が入っている。
「…」
「どうでしょう」
「なぜ、攻め込む?」
「あの王族だけはぶっ潰したいのです。自分が王になろうとか思ってませんから」
「恨み言があるのはわかったが、やり過ぎでは。謝罪させて金を出させ国に戻れるようにすればいいのでは?」
「あの国に戻るのは嫌です」
「ご両親がいるのでは?」
「両親は私を娼婦館に売ろうとしていたのです。だから逃げたのです」
「…しかし、やはり攻め込むのはリスクが…」
「あの国が浮いているのはご存じで?」
「ああ、父から結婚を気に教えられた。信じられないが望遠鏡で見たよ。浮いている島をね」
「どうやって浮いているのか、分かりますか?」
「いや、私に分かるはずがない、父なら知っているかもしれないが…」
ルイは息を整える
「ふう…生贄を…」
「え?」
「選んだ女性を何人も何年にもかけて生贄を捧げているらしいですよ。次は私のようです」
「…」
「ぶっ潰さないと、しつこく追われる事になります」
「…父に相談しよう」
「ありがとうございます。こちらには水龍や神獣がいますから負ける事はないのです。ただ住民たちの受け入れなどが心配なのです。ノーズレクスに置いてあげてほしいと思っています」
「ああ、なるほど、戦いには参加しなくていいのだね?」
「ええ、受け入れだけです」
「それを聞いて安心したよ。もちろん騎士たちがいるし少しくらいなら加勢も出来るがかの国という得体の知れない国を相手にというのは…受け入れは私では判断できないから父と国王に相談するよ」
「はい、お願いします」
「フィロ、シオン王子に文書を早馬で送りました。三日後には届くでしょう」
「ああ、ありがとう、ハート」
フィロデンは優しくハートに声を掛ける
「これで問題だった付与師の件に片が付けられるな、シオン王子からの返事が来るまで父とかの国の話を詰めとくよ」
「はい」
ルイは手先が冷え、震えている。さすがに友達とランチで話をしている訳とは違う。すいぶん緊張していたようだ。
「ルイ、大丈夫?」
「え?」
ルイは知らずに床に腰を下ろしていた。腰を抜かしたようだ。
「緊張したのかも…ふふふ」
「ハート、少しゲストルームで休憩させよう、ルイ殿…ちょっと疑っていたのだが…君はハートより若いのに国から逃げて生贄になるかもしれないと知って怖くないわけがないのに…かの国をどうこうする事は分からないが生贄の文化など合ってはならない。全力で阻止して見せるよ」
フィロデン様は腰を抜かしているルイをお姫様抱っこをするとゲストルームに連れて行った。
「では、ハート。私は仕事に戻るよ。父には早いうちに相談しよう」
フィロデンはルイをベッドに下すと部屋を後にした。
ルイはゲストルームで休ませてもらう事にした。
「ここに水を置いておくから、着替えはここに掛けておくわね。ゆっくり休んでね」
「ありがとう、ハート。はあ、ハートが羨ましくなっちゃった。本当に素敵なんだもの、フィロデン様」
「え!やだ、ルイってば!」
「うふふ、ローズと一緒にお輿入れして来てよかったね。当たりじゃない」
「…本当にそう、最初はショックで一晩泣き明かしたものだけど…」
「そういえば、ハートの好きな人って誰なの?サウーザの王子たちのひとり?」
「あ、いやだ。覚えていたのね。まさかルイがサウーザの王族たちと知り合いなんて思わなかったから…じゃあゆっくり休んで」
ハートは、結局誰かは言わずに去ってしまった。ちょっと気になるが昔の事なのだろう。もしかしたらローズの事で直接言われたのかもしれない。
そんな事を考えていたルイはすっかり寝てしまっていた。ぐっすりと眠っているルイをハートは気を遣い起こさないように三体の神獣を連れ出しご飯をあげていた。そして、宿に連絡して今日は戻らないが、明日はまた戻る事を伝えた。
「わ、分かりました。すぐに」
「信じて頂いてありがとうございます」
フィロデンはギロリとルイを睨む
「まだ信じた訳ではないよ。しかし驚いたな…まあ、付与師の件が片付けば他国からの厳しい状況から脱する事が出来る。賠償金でどうこう出来る問題ではないからね。大切な歴史的文化遺産の宝石をゴロゴロと…あんなもの普通の人間が売ったって捕まるだけなのにと思ったものだったが、君の説明ならまあ納得かな。で、その頼まれていた王族というのは…のかね?」
フィロデンはパクパクと口を動かす
「そうです。私はあの国の事はかの国と呼んでいます」
「ああ、かの国ね。まあ、大泥棒と言われたままでは不愉快だろうね。しかし攻め込むというのは…」
「ただでとはいいません。かの国と同じように利益が出るような事を提示します。ほしいのであれば水の粉もあげますよ。あれは水龍が作っているのですから。先ほども言いましたが水龍は私の手の内にあります。かの国から…もといガルーナ王国から水の粉の取り引きはもう出来ないでしょうから」
ルイはカバンから近くの雑貨屋で買った小瓶をとり出した。その中には水の粉が入っている。
「…」
「どうでしょう」
「なぜ、攻め込む?」
「あの王族だけはぶっ潰したいのです。自分が王になろうとか思ってませんから」
「恨み言があるのはわかったが、やり過ぎでは。謝罪させて金を出させ国に戻れるようにすればいいのでは?」
「あの国に戻るのは嫌です」
「ご両親がいるのでは?」
「両親は私を娼婦館に売ろうとしていたのです。だから逃げたのです」
「…しかし、やはり攻め込むのはリスクが…」
「あの国が浮いているのはご存じで?」
「ああ、父から結婚を気に教えられた。信じられないが望遠鏡で見たよ。浮いている島をね」
「どうやって浮いているのか、分かりますか?」
「いや、私に分かるはずがない、父なら知っているかもしれないが…」
ルイは息を整える
「ふう…生贄を…」
「え?」
「選んだ女性を何人も何年にもかけて生贄を捧げているらしいですよ。次は私のようです」
「…」
「ぶっ潰さないと、しつこく追われる事になります」
「…父に相談しよう」
「ありがとうございます。こちらには水龍や神獣がいますから負ける事はないのです。ただ住民たちの受け入れなどが心配なのです。ノーズレクスに置いてあげてほしいと思っています」
「ああ、なるほど、戦いには参加しなくていいのだね?」
「ええ、受け入れだけです」
「それを聞いて安心したよ。もちろん騎士たちがいるし少しくらいなら加勢も出来るがかの国という得体の知れない国を相手にというのは…受け入れは私では判断できないから父と国王に相談するよ」
「はい、お願いします」
「フィロ、シオン王子に文書を早馬で送りました。三日後には届くでしょう」
「ああ、ありがとう、ハート」
フィロデンは優しくハートに声を掛ける
「これで問題だった付与師の件に片が付けられるな、シオン王子からの返事が来るまで父とかの国の話を詰めとくよ」
「はい」
ルイは手先が冷え、震えている。さすがに友達とランチで話をしている訳とは違う。すいぶん緊張していたようだ。
「ルイ、大丈夫?」
「え?」
ルイは知らずに床に腰を下ろしていた。腰を抜かしたようだ。
「緊張したのかも…ふふふ」
「ハート、少しゲストルームで休憩させよう、ルイ殿…ちょっと疑っていたのだが…君はハートより若いのに国から逃げて生贄になるかもしれないと知って怖くないわけがないのに…かの国をどうこうする事は分からないが生贄の文化など合ってはならない。全力で阻止して見せるよ」
フィロデン様は腰を抜かしているルイをお姫様抱っこをするとゲストルームに連れて行った。
「では、ハート。私は仕事に戻るよ。父には早いうちに相談しよう」
フィロデンはルイをベッドに下すと部屋を後にした。
ルイはゲストルームで休ませてもらう事にした。
「ここに水を置いておくから、着替えはここに掛けておくわね。ゆっくり休んでね」
「ありがとう、ハート。はあ、ハートが羨ましくなっちゃった。本当に素敵なんだもの、フィロデン様」
「え!やだ、ルイってば!」
「うふふ、ローズと一緒にお輿入れして来てよかったね。当たりじゃない」
「…本当にそう、最初はショックで一晩泣き明かしたものだけど…」
「そういえば、ハートの好きな人って誰なの?サウーザの王子たちのひとり?」
「あ、いやだ。覚えていたのね。まさかルイがサウーザの王族たちと知り合いなんて思わなかったから…じゃあゆっくり休んで」
ハートは、結局誰かは言わずに去ってしまった。ちょっと気になるが昔の事なのだろう。もしかしたらローズの事で直接言われたのかもしれない。
そんな事を考えていたルイはすっかり寝てしまっていた。ぐっすりと眠っているルイをハートは気を遣い起こさないように三体の神獣を連れ出しご飯をあげていた。そして、宿に連絡して今日は戻らないが、明日はまた戻る事を伝えた。
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