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第46話 秘密部隊発足です
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「ロザージュ、ちょっと落ち着いて色々違うわ。私の事情を一から言うから黙って聞いてちょーだい!」
「ごめん、分かったわ。今ちょっと舞台鑑賞にハマってて…女優の…」
「ロザージュ、聞いて」
「そうね、ごめん、はい」
昔からロザージュは明るくおしゃべりな子だった。今もそれは変わらないらしい。ルイは今までの事を説明した。ロザージュはルイが無属性で魔力が多く色々な事を王子たちから頼まれて作っている事も知っていた。内緒で一緒に考えてくれた事もあるのだ。
「ああ、あの魔法の絨毯が役に立ったのね。忘れてたわ。魔力が満タンになるまで時間がかかったのよね」
ロザージュはせっかちだ。
「そう、で、たぶん飛び出したのが夜だったし、混乱していたからよくわからずに地上に降りてきて気が付いたら大陸にいたって感じかしら」
ルイはあの状況を思い出しながら説明をする。
「あのおば様が信じられないわ。でもルイが無事でよかった。おば様からルイが婚約を破談になってショックを受けて家出したから、居所がわかったら連絡をくれってうちの母から手紙が来ていたの。だからもしかしたらこのノーズレクスにいるのかなって少し思ってた」
「だからすぐに分かったのね」
「そうね…でもよくあの国の事黙ってたわね、私ならペラペラしゃべりそう…」
ロザージュは自分の事をよくわかっている。
「…確かに…ね」
「ここには何しに?」
せっかく遠い街にいたのに、と言う。
「…ん」
ルイはムーンを助けるつもりでいたげど、ロザージュを見ているとかの国に残っている人たちの事を思わずにはいられない。ビアンカの自分が逃げ出せば新たな犠牲者が出るかもしれない。
しかし、何と言っていいか分からない。
「ロザージュ、あの国はもう終わりよ。えーと、虹の番人はここにいるし、それに…」
「わかってる。だから私は一旦国に戻る為に休みを貰ったの」
「え?どういう事?」
「…実は私、以前から気になる事があって…」
さっきまでの陽気なロザージュではなくなっていた。ロザージュはどうやらガルーナの事を調べていたらしい。それは元々、自分の姉、そして叔母に当たる人が関係しているようだ。
ロザージュは学院に通っている頃から城に出入りを許されていた。ロザージュは優秀で将来は城で何かしらの職に就く予定だったからだ。ロザージュは美しい外見とその明るい性格で城の従業員たちとすぐに打ち解けて行った。そして、執事の筆頭頭であるヨニエルが自分の妹に似ているからと気に入られ仲良くなった。ロザージュはその妹さんは今はどうしているのかと何気に聞いた。ヨニエルの妹はガルーナに留学して間もなく、亡くなった、そして遺体は戻って来なかった、という。ロザージュはうちも同じだと返した。ガルーナへの留学、戻って来ない遺体、若い女性、と内容が酷使していた。ヨニエルとロザージュはなにか恐ろしい事実があるのではないかと思った。
ロザージュには十歳年上の姉と四歳年上の兄がいる。
「いたかも…」
ルイはロザージュの兄とは仲良しだったが姉の事はぼんやりとしか記憶しかない。
「私たちは幼かったから…」
その姉は十七歳の時に留学して帰らぬ人となった。その事でロザージュの母は病んでしまった。今は人前では気丈に振舞ってはいるが時々、ぼんやりしているのだと言う。それはロザージュの母の姉もまたガルーナの留学中に亡くなっていたからだ。
「母の姉はそれは美しく素晴らしい女性だったらしいの、そして母はその姉にそっくりな子を授かって、そしてその子もまた同じ年頃に遺体の戻らない帰らぬ人になってしまった、母は立ち直るのに何年も掛ったわ」
いつも優しく、明るい人だったおば様、そんな辛い過去があったなんて…
「だから、私は留学して調べようとしたの」
しかし、母から大反対をされたらしい。二度も留学中に身近な人を亡くしているのだ。これ以上かわいい娘を亡くしたくはないだろう。しかし、留学したからと言ってすべての子が戻らないわけではないのだ。戻らないのはごく一部の子たちだ。そしてロザージュはヨニエルの事もあるし姉たちの事を調べると言って説得をしたのだ。
ヨニエルの方は執事の職に就いてからずっと亡くなった人たちを記録していた。そして十年ほど前から若い女性や若い男性の死亡がなくなった事に気が付いた。十年前とは水龍が目覚めた時期と重なる。
水龍が目覚めた後に留学して亡くなる若い女性は無くなった。若い男性とは留学生ではなく騎士の見習いや王族のお付きの若い子だったようだ。それが水龍が目覚めた途端、ピタリと無くなった。
ヨニエルはベテラン騎士たちや昔からいる王族のお付きの人に「最近は亡くなる若い子が減ってよかった」と話を振ったのだそうだ。そうすると鼻で笑われたのだそうだ。そのベテラン騎士たちやお付きの人たちは王族の血が入っている。それだけであの残酷な命令を聞かなければならなかったと言ったのだと言う。なんの事だと言ったが知らない方が良いと言われその時は聞かせて貰えなかったが、根気よく聞き出した。そしてやはりそれは恐ろしい事実だった。
「私は私でこっちで留学生の書類を調べていたけど過去に私の姉の名前も、叔母の名前も、ヨニエルの妹さんの名前もなかった。別の亡くなった女性たちの名前も探したけどやはりなかった。亡くなった女性たちは留学なんてしていなかった。あの国から一度も出てないの。あの国で亡くなったのよ。…あの国で水龍の為に生贄にされていた」
黒猫の耳がピクリと動いた。
「私はヨニエルからその事で手紙を貰ったの。留学生になった人は虹の橋を渡りそこで実はガルーナではなくノーズレクスという国だって教えられるの。ノーズレクスで国の物を売ったり物資を持ち込んだりするの。国を出ないとこの事は伝えられる事はない、それは精霊と約束している事だからって。昔から言い伝えを使って皆を黙らせているのよ」
だから、誰も内部に漏らす事はない。
「女性は生贄にされ、男性は王族の血を受け継いだ人たちだけど位の低い人たちでその生贄を見届けるようにと指示されていたようだった。それである人は気が狂い、ある人は逃げ出して殺されたりしていた。すべて王族の指示だった。やはり遺体が戻らない両親が不振がって、昔もその事を調べていた人がいて記録を残していたわ。ヨニエルの同僚の親族だったみたい。城の近くのあの「乙女の湖」に水龍の生贄として沈められていた…「乙女の湖」なんていやな名前よね」
「ずいぶん調べたのね…それでどうするの?」
「で、その事を手紙では言えないから両親に直接言ってあの国から逃げ出せないかなって…もうあの国には居たくない。父も母もそう思うはずよ。このノーズレクスで余生をって思ったのよ」
「そうね、それがいいかも」
「こんな話を信じるの?」
「私も最近その事を知ったの」
「え…」
「だからあの国を潰したい…」
ロザージュは目を見開いてルイを見る。ルイはこの時初めて決心をする。
「どういう…」
「あの国はたくさんの若い命で保っているの、でも今では水龍もいないし、虹の番人もいない、そして次の生贄もいない」
「次の生贄?」
「そう」
「何のこと?水龍はもう目覚めたわ、そう、あなたが!だから亡くなる子がいなくなった。もう生贄はいらなくなったのよ」
「次の生贄は私よ、ロザージュ」
「…は、何を…」
「ただし、水龍のじゃないわ、たぶん国の生贄よ、よくわからないけど養分にでもするのではないかしら」
「うそ…でしょ?」
「考えても見てどうやってあの大きな島が浮くの?なにか秘密があるのよ。それにこの私の名前は国王様から授かったそうなの、そしてこの名前の子は王家に嫁いて若くして亡くなっているわ、間違いないみたい。私も王家に嫁ぐはずだった」
「じゃあ、どうして、どうして。戻ってきたの。逃げないと…」
「ぶっ潰しに行こうかと…」
今決めた。
「む、無理よ…」
「でも私には水龍もいるし、虹の番人もいるわ。でも今はノーズレクスを探ろうと思ってここにいるの」
「…そう、そういえば、サウーザに水龍が出たって新聞で読んだわ」
「あ、」
「あなたを追って水龍は地上に出たのね」
「うん、まぁ、そうね」
ルイは黒猫も頭を撫でる。
「そうよね。悪いのは王家よね。うん、私も協力するわ。両親も兄もきっと協力してくれる。でも私はこっちのあの国の人に監視されてるの。王族と繋がっている人がたくさんいるわ。今は虹の橋の様子を見て来るって言って出てきているけど」
ロザージュの目は真っ直ぐにルイを見ている。
「また会いましょう、ロザージュ」
「わかったわ。ここで、一日置きにこの時間でって言うのは?」
「いいわね、それもなにかのお芝居で?」
「そう、『秘密の恋人』っていう舞台で…」
「わかったわ、次は明後日ね」
ロザージュとは別々に出た。これもロザージュの提案だ。
「ごめん、分かったわ。今ちょっと舞台鑑賞にハマってて…女優の…」
「ロザージュ、聞いて」
「そうね、ごめん、はい」
昔からロザージュは明るくおしゃべりな子だった。今もそれは変わらないらしい。ルイは今までの事を説明した。ロザージュはルイが無属性で魔力が多く色々な事を王子たちから頼まれて作っている事も知っていた。内緒で一緒に考えてくれた事もあるのだ。
「ああ、あの魔法の絨毯が役に立ったのね。忘れてたわ。魔力が満タンになるまで時間がかかったのよね」
ロザージュはせっかちだ。
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ルイはあの状況を思い出しながら説明をする。
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「だからすぐに分かったのね」
「そうね…でもよくあの国の事黙ってたわね、私ならペラペラしゃべりそう…」
ロザージュは自分の事をよくわかっている。
「…確かに…ね」
「ここには何しに?」
せっかく遠い街にいたのに、と言う。
「…ん」
ルイはムーンを助けるつもりでいたげど、ロザージュを見ているとかの国に残っている人たちの事を思わずにはいられない。ビアンカの自分が逃げ出せば新たな犠牲者が出るかもしれない。
しかし、何と言っていいか分からない。
「ロザージュ、あの国はもう終わりよ。えーと、虹の番人はここにいるし、それに…」
「わかってる。だから私は一旦国に戻る為に休みを貰ったの」
「え?どういう事?」
「…実は私、以前から気になる事があって…」
さっきまでの陽気なロザージュではなくなっていた。ロザージュはどうやらガルーナの事を調べていたらしい。それは元々、自分の姉、そして叔母に当たる人が関係しているようだ。
ロザージュは学院に通っている頃から城に出入りを許されていた。ロザージュは優秀で将来は城で何かしらの職に就く予定だったからだ。ロザージュは美しい外見とその明るい性格で城の従業員たちとすぐに打ち解けて行った。そして、執事の筆頭頭であるヨニエルが自分の妹に似ているからと気に入られ仲良くなった。ロザージュはその妹さんは今はどうしているのかと何気に聞いた。ヨニエルの妹はガルーナに留学して間もなく、亡くなった、そして遺体は戻って来なかった、という。ロザージュはうちも同じだと返した。ガルーナへの留学、戻って来ない遺体、若い女性、と内容が酷使していた。ヨニエルとロザージュはなにか恐ろしい事実があるのではないかと思った。
ロザージュには十歳年上の姉と四歳年上の兄がいる。
「いたかも…」
ルイはロザージュの兄とは仲良しだったが姉の事はぼんやりとしか記憶しかない。
「私たちは幼かったから…」
その姉は十七歳の時に留学して帰らぬ人となった。その事でロザージュの母は病んでしまった。今は人前では気丈に振舞ってはいるが時々、ぼんやりしているのだと言う。それはロザージュの母の姉もまたガルーナの留学中に亡くなっていたからだ。
「母の姉はそれは美しく素晴らしい女性だったらしいの、そして母はその姉にそっくりな子を授かって、そしてその子もまた同じ年頃に遺体の戻らない帰らぬ人になってしまった、母は立ち直るのに何年も掛ったわ」
いつも優しく、明るい人だったおば様、そんな辛い過去があったなんて…
「だから、私は留学して調べようとしたの」
しかし、母から大反対をされたらしい。二度も留学中に身近な人を亡くしているのだ。これ以上かわいい娘を亡くしたくはないだろう。しかし、留学したからと言ってすべての子が戻らないわけではないのだ。戻らないのはごく一部の子たちだ。そしてロザージュはヨニエルの事もあるし姉たちの事を調べると言って説得をしたのだ。
ヨニエルの方は執事の職に就いてからずっと亡くなった人たちを記録していた。そして十年ほど前から若い女性や若い男性の死亡がなくなった事に気が付いた。十年前とは水龍が目覚めた時期と重なる。
水龍が目覚めた後に留学して亡くなる若い女性は無くなった。若い男性とは留学生ではなく騎士の見習いや王族のお付きの若い子だったようだ。それが水龍が目覚めた途端、ピタリと無くなった。
ヨニエルはベテラン騎士たちや昔からいる王族のお付きの人に「最近は亡くなる若い子が減ってよかった」と話を振ったのだそうだ。そうすると鼻で笑われたのだそうだ。そのベテラン騎士たちやお付きの人たちは王族の血が入っている。それだけであの残酷な命令を聞かなければならなかったと言ったのだと言う。なんの事だと言ったが知らない方が良いと言われその時は聞かせて貰えなかったが、根気よく聞き出した。そしてやはりそれは恐ろしい事実だった。
「私は私でこっちで留学生の書類を調べていたけど過去に私の姉の名前も、叔母の名前も、ヨニエルの妹さんの名前もなかった。別の亡くなった女性たちの名前も探したけどやはりなかった。亡くなった女性たちは留学なんてしていなかった。あの国から一度も出てないの。あの国で亡くなったのよ。…あの国で水龍の為に生贄にされていた」
黒猫の耳がピクリと動いた。
「私はヨニエルからその事で手紙を貰ったの。留学生になった人は虹の橋を渡りそこで実はガルーナではなくノーズレクスという国だって教えられるの。ノーズレクスで国の物を売ったり物資を持ち込んだりするの。国を出ないとこの事は伝えられる事はない、それは精霊と約束している事だからって。昔から言い伝えを使って皆を黙らせているのよ」
だから、誰も内部に漏らす事はない。
「女性は生贄にされ、男性は王族の血を受け継いだ人たちだけど位の低い人たちでその生贄を見届けるようにと指示されていたようだった。それである人は気が狂い、ある人は逃げ出して殺されたりしていた。すべて王族の指示だった。やはり遺体が戻らない両親が不振がって、昔もその事を調べていた人がいて記録を残していたわ。ヨニエルの同僚の親族だったみたい。城の近くのあの「乙女の湖」に水龍の生贄として沈められていた…「乙女の湖」なんていやな名前よね」
「ずいぶん調べたのね…それでどうするの?」
「で、その事を手紙では言えないから両親に直接言ってあの国から逃げ出せないかなって…もうあの国には居たくない。父も母もそう思うはずよ。このノーズレクスで余生をって思ったのよ」
「そうね、それがいいかも」
「こんな話を信じるの?」
「私も最近その事を知ったの」
「え…」
「だからあの国を潰したい…」
ロザージュは目を見開いてルイを見る。ルイはこの時初めて決心をする。
「どういう…」
「あの国はたくさんの若い命で保っているの、でも今では水龍もいないし、虹の番人もいない、そして次の生贄もいない」
「次の生贄?」
「そう」
「何のこと?水龍はもう目覚めたわ、そう、あなたが!だから亡くなる子がいなくなった。もう生贄はいらなくなったのよ」
「次の生贄は私よ、ロザージュ」
「…は、何を…」
「ただし、水龍のじゃないわ、たぶん国の生贄よ、よくわからないけど養分にでもするのではないかしら」
「うそ…でしょ?」
「考えても見てどうやってあの大きな島が浮くの?なにか秘密があるのよ。それにこの私の名前は国王様から授かったそうなの、そしてこの名前の子は王家に嫁いて若くして亡くなっているわ、間違いないみたい。私も王家に嫁ぐはずだった」
「じゃあ、どうして、どうして。戻ってきたの。逃げないと…」
「ぶっ潰しに行こうかと…」
今決めた。
「む、無理よ…」
「でも私には水龍もいるし、虹の番人もいるわ。でも今はノーズレクスを探ろうと思ってここにいるの」
「…そう、そういえば、サウーザに水龍が出たって新聞で読んだわ」
「あ、」
「あなたを追って水龍は地上に出たのね」
「うん、まぁ、そうね」
ルイは黒猫も頭を撫でる。
「そうよね。悪いのは王家よね。うん、私も協力するわ。両親も兄もきっと協力してくれる。でも私はこっちのあの国の人に監視されてるの。王族と繋がっている人がたくさんいるわ。今は虹の橋の様子を見て来るって言って出てきているけど」
ロザージュの目は真っ直ぐにルイを見ている。
「また会いましょう、ロザージュ」
「わかったわ。ここで、一日置きにこの時間でって言うのは?」
「いいわね、それもなにかのお芝居で?」
「そう、『秘密の恋人』っていう舞台で…」
「わかったわ、次は明後日ね」
ロザージュとは別々に出た。これもロザージュの提案だ。
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