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第30話
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「復活…?」
まず、色々とまかり通らない事が起こっている。
「ボム士長、図鑑の肖像画が見えたと思っていたのに睨まれ、邪魔をするなと言われた?魔石の中から?いやいやそんな訳はない。そういった生前の気持ちが残っているのだろうという事ですかな?」
「いや、それも分からんのだよ、モンブラン伯爵、それよりこれはどういう経緯で手元に来たのか聞かせてくれ」
改めてボム士長はオリバーに聞いた。そしてウィスタリアの体験を言い、女性を狙っているのではないかと疑問を持ったとした。
「だから、私に鑑定を拒否されたのですね。おっしゃってくれれば…」
「だから、先入観を持たせたくなかったと言ったのだ」
「…」
「兎に角、これは隔離する必要がある。まず陛下に報告しなければ、ヨルタニア!陛下に報告だ!」
「わ、分かりました。お目通しの申請をしてまいります」
そう言って、ヨルタニアは退室した。
「ふう、それにしてもなんてものを持ち込んでくるのだ…モンブラン家は…」
「そんな事を言っている場合ですかな?あのまま放置して何かあってからよりは今こうして封印出来ている事の方がよかったのでは?」
「確かに未然に防げましたな。なにかを…しかし、君の長女は何か分かっていたのかね?」
「ウィスタリアはなにも分からぬまま異様な魔素を感じとったのでしょう。説明が出来ないけれど気になるのだと何度も妻に申していたそうです」
「なるほど、不思議な力という訳か…」
「動きは止められているのですから、対策を練ればどうにかなるのではないでしょうか?」
ベゴニアがふたりの話に割って入る。
「そうですな。とにかく陛下に報告を…」
ベゴニアは一旦実家に戻った。
▼
▼
「え?鑑定士の女性が襲われた?」
「ああ、ウィスタリアのように魔素にではない。ネックレスが女性に勝手に向かって飛んできたのだ。驚いた」
「それは驚きますね…」
ウィスタリアは紅茶を片手に話を聞いていた。
「なんでそんなに他人ごとなんだ」
「え?私に何か出来る事あります?兄さま」
「ぐっ…それはそうだが…」
ウィスタリアはもう手元に離れてしまったので自分の仕事は終わっていると思っている。確かに終わっている。
「ウィスタリアと話ていると緊張感がなくなるよ。はぁ」
ソファにドカリと座り込むベゴニアの表情は疲れていた。
「父様は?」
「城に軟禁だ」
「あら、お可哀想…」
「ウィスタリアも事情を聞かれると思うよ」
「はぁ…私に話を聞いてもその女性鑑定士のように物理的に襲われた訳ではないからなにも申し上げる事がないのですが…」
「まっそうだな。その前にどうするかという話だよな」
「龍のカバンで動きを止められているのでした、そのまま埋めるとかした方がいいのですかね?」
「龍のカバンは返して貰いたい」
「高価ですもんね」
「あれは我が家の家宝なのだ。それに陛下も多分そのネックレスを見たいのではないかと思うよ。男しかいないようにしてカバンを開けるしかない」
「陛下は中身をご確認したいでしょうね…女性が襲われる所も見たいのでないかしら」
「…」
「…」
「私、いやですよ」
「いや、まさか…しかし」
その時、オリバーが自宅に戻った。真っ青な顔で立っている。
「ウィスタリア、すまない…」
「うそでしょ~!!」
嫌な予感が当たってしまった。陛下はネックレスを見たいと言った。女性に向かって飛ぶ所ももちろん確認したいと言った。しかし、なんの予備知識がない女だと何かあってからでは問題になると言う。そこで魔素が見えるとされるウィスタリアならば反撃出来るのではないかという話になった。
オリバーはなんとか娘を守ろうとしたが、元々言い出したのはそなたの長女からなのだから同席させるのは長女に決まりだとなった。安心するがいい、きっちりとした護衛を付けると約束をしよう、だって。
未知との敵に優れた護衛がいても無駄な気がする。ウィスタリアは頭を抱える。
まず、色々とまかり通らない事が起こっている。
「ボム士長、図鑑の肖像画が見えたと思っていたのに睨まれ、邪魔をするなと言われた?魔石の中から?いやいやそんな訳はない。そういった生前の気持ちが残っているのだろうという事ですかな?」
「いや、それも分からんのだよ、モンブラン伯爵、それよりこれはどういう経緯で手元に来たのか聞かせてくれ」
改めてボム士長はオリバーに聞いた。そしてウィスタリアの体験を言い、女性を狙っているのではないかと疑問を持ったとした。
「だから、私に鑑定を拒否されたのですね。おっしゃってくれれば…」
「だから、先入観を持たせたくなかったと言ったのだ」
「…」
「兎に角、これは隔離する必要がある。まず陛下に報告しなければ、ヨルタニア!陛下に報告だ!」
「わ、分かりました。お目通しの申請をしてまいります」
そう言って、ヨルタニアは退室した。
「ふう、それにしてもなんてものを持ち込んでくるのだ…モンブラン家は…」
「そんな事を言っている場合ですかな?あのまま放置して何かあってからよりは今こうして封印出来ている事の方がよかったのでは?」
「確かに未然に防げましたな。なにかを…しかし、君の長女は何か分かっていたのかね?」
「ウィスタリアはなにも分からぬまま異様な魔素を感じとったのでしょう。説明が出来ないけれど気になるのだと何度も妻に申していたそうです」
「なるほど、不思議な力という訳か…」
「動きは止められているのですから、対策を練ればどうにかなるのではないでしょうか?」
ベゴニアがふたりの話に割って入る。
「そうですな。とにかく陛下に報告を…」
ベゴニアは一旦実家に戻った。
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「え?鑑定士の女性が襲われた?」
「ああ、ウィスタリアのように魔素にではない。ネックレスが女性に勝手に向かって飛んできたのだ。驚いた」
「それは驚きますね…」
ウィスタリアは紅茶を片手に話を聞いていた。
「なんでそんなに他人ごとなんだ」
「え?私に何か出来る事あります?兄さま」
「ぐっ…それはそうだが…」
ウィスタリアはもう手元に離れてしまったので自分の仕事は終わっていると思っている。確かに終わっている。
「ウィスタリアと話ていると緊張感がなくなるよ。はぁ」
ソファにドカリと座り込むベゴニアの表情は疲れていた。
「父様は?」
「城に軟禁だ」
「あら、お可哀想…」
「ウィスタリアも事情を聞かれると思うよ」
「はぁ…私に話を聞いてもその女性鑑定士のように物理的に襲われた訳ではないからなにも申し上げる事がないのですが…」
「まっそうだな。その前にどうするかという話だよな」
「龍のカバンで動きを止められているのでした、そのまま埋めるとかした方がいいのですかね?」
「龍のカバンは返して貰いたい」
「高価ですもんね」
「あれは我が家の家宝なのだ。それに陛下も多分そのネックレスを見たいのではないかと思うよ。男しかいないようにしてカバンを開けるしかない」
「陛下は中身をご確認したいでしょうね…女性が襲われる所も見たいのでないかしら」
「…」
「…」
「私、いやですよ」
「いや、まさか…しかし」
その時、オリバーが自宅に戻った。真っ青な顔で立っている。
「ウィスタリア、すまない…」
「うそでしょ~!!」
嫌な予感が当たってしまった。陛下はネックレスを見たいと言った。女性に向かって飛ぶ所ももちろん確認したいと言った。しかし、なんの予備知識がない女だと何かあってからでは問題になると言う。そこで魔素が見えるとされるウィスタリアならば反撃出来るのではないかという話になった。
オリバーはなんとか娘を守ろうとしたが、元々言い出したのはそなたの長女からなのだから同席させるのは長女に決まりだとなった。安心するがいい、きっちりとした護衛を付けると約束をしよう、だって。
未知との敵に優れた護衛がいても無駄な気がする。ウィスタリアは頭を抱える。
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