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こぼれ話
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リアは冬の間に黒のショールがどんな構造をしているのか調べていた。魔力を通せば魔法陣が浮かび上がるのだ。しかしアルディが作った魔法陣が再現できるとかの代物ではなく、一目見た所でその呪文の内容すら分からないものだった。そこでリアはひとつずつ呪文を書き出したしのだ。それは骨が折れる作業だった。
大きくひとつは存在が薄くなる呪文、これが基本だった。そして顔が地味に見えるという呪文、髪色と瞳の色が変わる呪文、そして寒さや暑さが防げる呪文、特定の人物しか扱えない呪文、それらはすべて古代文字の呪文だった。リアに分かるはずがない。アルディの本棚に古代文字の辞書らしき物を必死に調べ上げここまでたどり着いたのだ。
頭に巻いていたので暑さ寒さは防げていないようだった。これは首に巻くものとして作られたようだ。首に巻くとまだ真冬の時期だったのだが首の周りから仄かに温かくなった。そして鏡を見たら髪と瞳がブラウンになっていた。頭に巻いていた時は鏡には変わらぬリアの姿しか映らなかった。呪文と呪文の間にある記号があるのだが、リアにはまだ分からない細かい呪文があるのだろう。
首に巻いてさえいればカツラも要らなかったしヨモに見つかる事もなかった。瞳の色が灰色に見える人とブラウンに見える人の違いは解明出来なかった。変な付け方をしていたから誤作動を起こしたのだろうと考えた。
ちなみに名前を理解しないとその黒のショールを身に着けている人は相手から認識されないようだ。なので自分で紹介したりヨモが紹介したりすると相手がリアの顔を認識するらしい。店の店員などの他人はリアが話しかける事で人として認識するらしい。リアの瞳の色を聞かれた店員はその時に初めてリアの顔を認識したのだろう。
古代文字ではその呪文は特定出来なかった。アルディは魔法陣になにか特殊な仕掛けをしたようだ。アルディがどこかに隠したメモをいつか発見出来ればどんな作りになっているか分かるだろう。ちなみにリアは自力で解明などしない。
▼
▽
朝、宿でリアと別れたイケメンパーティーことオレンジサンダーのメンバーは依頼達成するのため森の奥深くに来ていた。魔の森と違って狂暴な魔獣がいないとはいえ、それなりの魔獣はいる。本日は値が高く付き春先によく出没するというレインボーボアを仕留めに来ていた。レインボーボアはBクラス以上でないと依頼が出来ない。
ボアの肉は安値であり住民達の生活基盤になっている。そして皮はカバンや靴に、角は熱さましの薬として住民達の大切な素材である。しかしレインボーボアになるとその皮はレインボーに変化するという貴重な素材になるのだ。貴族の女の小さなカバンや靴などはレインボーボアの皮から出来ている。そのため高値になるのだ。
「魔の森まで行くか?知っているか?春先に魔の森の丘にキングダムウルフが出たらしいぞ」
オレンジ色の髪のマオを先頭に森を歩いている。
「今は発情期で動いているらしいな。しかしあんなの相手に出来るわけないだろう」
いつも冷静なガロは暴走しないようにマオを見張っている。
「キングダムウルフの目を自分のヴァナに取り込めば一国の主になる事が出来るらしいじゃないか」
「真意は如何にってね」
水色の髪のキトがマオの言葉を請け負う。
「そんな事で国盗りが出来れば苦労はないだろうな」
冷酷なガロが夢のない事を言う。
「しかし由来からその名が付いたのだろう?」
「おとぎ話だな」
「魔の森の王って事じゃないの?」
キトが言う。
「まずシルバーウルフを倒せよ。冬に合同でやっとローウルフを3体やっただけだろう」
順位的にはキングダムウルフ>シルバーウルフ>ローウルフなのだ。黒髪のドクが冷静に3人を現実に戻す。
「シルバーウルフは厄介なんだよな。一匹オオカミだけど氷魔法がっパねぇ」
キトが藪を突きながら言う。
「冬はローウルフの毛皮が結構出回ってたらしいな。どこのパーティーが討伐したか分からないんだろう?」
「秋ぐらいじゃなかったか?シシリーから市場に出ていたらしい」
「どこの誰だよ」
「それよりさっきの女は何が見えてたんだ?ピンクピンクって」
ガロは朝の出来事を思い出して話をマオにした。
「あっそうそう、あんな地味っ子なんかどうして気にするんだ。シンの方がそそるだろう」
「やっぱり、見えるのは俺だけか。あの地味子は色々となにかとすげぇよ。友達になりたい」
「はあ?友達?」「じゃあシンは愛人?」「友達と愛人?」「…」
メンバーはマオの言葉に納得行かない。ひとり金髪のベアだけは当たりを見渡し仕事をしていた。
「マオ、何度も言うがシンはやめとけ」
ガロが言う。
「分かっているよ。シンは気になるだけだ」
「シンは気にして、リアは友達?」「まだ秘密か?」「…」
「その内分かるよ。ガロ、おまえも分からないのか?」
「分からん」
「やっぱ、すげーな」
「「「「???」」」」「…」
大きくひとつは存在が薄くなる呪文、これが基本だった。そして顔が地味に見えるという呪文、髪色と瞳の色が変わる呪文、そして寒さや暑さが防げる呪文、特定の人物しか扱えない呪文、それらはすべて古代文字の呪文だった。リアに分かるはずがない。アルディの本棚に古代文字の辞書らしき物を必死に調べ上げここまでたどり着いたのだ。
頭に巻いていたので暑さ寒さは防げていないようだった。これは首に巻くものとして作られたようだ。首に巻くとまだ真冬の時期だったのだが首の周りから仄かに温かくなった。そして鏡を見たら髪と瞳がブラウンになっていた。頭に巻いていた時は鏡には変わらぬリアの姿しか映らなかった。呪文と呪文の間にある記号があるのだが、リアにはまだ分からない細かい呪文があるのだろう。
首に巻いてさえいればカツラも要らなかったしヨモに見つかる事もなかった。瞳の色が灰色に見える人とブラウンに見える人の違いは解明出来なかった。変な付け方をしていたから誤作動を起こしたのだろうと考えた。
ちなみに名前を理解しないとその黒のショールを身に着けている人は相手から認識されないようだ。なので自分で紹介したりヨモが紹介したりすると相手がリアの顔を認識するらしい。店の店員などの他人はリアが話しかける事で人として認識するらしい。リアの瞳の色を聞かれた店員はその時に初めてリアの顔を認識したのだろう。
古代文字ではその呪文は特定出来なかった。アルディは魔法陣になにか特殊な仕掛けをしたようだ。アルディがどこかに隠したメモをいつか発見出来ればどんな作りになっているか分かるだろう。ちなみにリアは自力で解明などしない。
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朝、宿でリアと別れたイケメンパーティーことオレンジサンダーのメンバーは依頼達成するのため森の奥深くに来ていた。魔の森と違って狂暴な魔獣がいないとはいえ、それなりの魔獣はいる。本日は値が高く付き春先によく出没するというレインボーボアを仕留めに来ていた。レインボーボアはBクラス以上でないと依頼が出来ない。
ボアの肉は安値であり住民達の生活基盤になっている。そして皮はカバンや靴に、角は熱さましの薬として住民達の大切な素材である。しかしレインボーボアになるとその皮はレインボーに変化するという貴重な素材になるのだ。貴族の女の小さなカバンや靴などはレインボーボアの皮から出来ている。そのため高値になるのだ。
「魔の森まで行くか?知っているか?春先に魔の森の丘にキングダムウルフが出たらしいぞ」
オレンジ色の髪のマオを先頭に森を歩いている。
「今は発情期で動いているらしいな。しかしあんなの相手に出来るわけないだろう」
いつも冷静なガロは暴走しないようにマオを見張っている。
「キングダムウルフの目を自分のヴァナに取り込めば一国の主になる事が出来るらしいじゃないか」
「真意は如何にってね」
水色の髪のキトがマオの言葉を請け負う。
「そんな事で国盗りが出来れば苦労はないだろうな」
冷酷なガロが夢のない事を言う。
「しかし由来からその名が付いたのだろう?」
「おとぎ話だな」
「魔の森の王って事じゃないの?」
キトが言う。
「まずシルバーウルフを倒せよ。冬に合同でやっとローウルフを3体やっただけだろう」
順位的にはキングダムウルフ>シルバーウルフ>ローウルフなのだ。黒髪のドクが冷静に3人を現実に戻す。
「シルバーウルフは厄介なんだよな。一匹オオカミだけど氷魔法がっパねぇ」
キトが藪を突きながら言う。
「冬はローウルフの毛皮が結構出回ってたらしいな。どこのパーティーが討伐したか分からないんだろう?」
「秋ぐらいじゃなかったか?シシリーから市場に出ていたらしい」
「どこの誰だよ」
「それよりさっきの女は何が見えてたんだ?ピンクピンクって」
ガロは朝の出来事を思い出して話をマオにした。
「あっそうそう、あんな地味っ子なんかどうして気にするんだ。シンの方がそそるだろう」
「やっぱり、見えるのは俺だけか。あの地味子は色々となにかとすげぇよ。友達になりたい」
「はあ?友達?」「じゃあシンは愛人?」「友達と愛人?」「…」
メンバーはマオの言葉に納得行かない。ひとり金髪のベアだけは当たりを見渡し仕事をしていた。
「マオ、何度も言うがシンはやめとけ」
ガロが言う。
「分かっているよ。シンは気になるだけだ」
「シンは気にして、リアは友達?」「まだ秘密か?」「…」
「その内分かるよ。ガロ、おまえも分からないのか?」
「分からん」
「やっぱ、すげーな」
「「「「???」」」」「…」
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