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ふたりの王子 その後
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「まだ連絡はないのか」
ふたりの王子の内、コルクスがベルナルに言った。場所は城の兵士の宿舎にいた。元々ベルナルが住んでいた所だ。
「ない」
「逃げられたな」
ベルナルは一緒の班の兵士たちに危害が及ばぬように亡命を手伝い、国から引き渡すようにとの交渉も取り下げるよう国王に打診していたのだ。
「…冒険者ギルドや商人ギルドにアリアナ嬢の特徴の女の登録はなかったと一度連絡があってそれっきりだ。送ったメール便も戻ってきた」
「だから逃げられたんだろう」
「仲良くしていた同僚だったのにな…金だって送ったのに」
「まっ、一度連絡を入れているし恩は返したと見なされたんだろう。あいつらが探す義理もない。そんな事よりアリアナ嬢が生きているんなら、カビラ家と連絡を取っているんじゃないのか?カビラ家もシシリアキングスに渡っただろう?」
「奥方の弟がシシリアキングスの王都にいるから、連絡があれば知らせるようにとは言ってある。まだないが…」
「奥方の弟はシシリアキングスに移住しているのか?」
「いや、別宅として邸を持っているだけだ。基本的にはシシリアキングスで商売をしているが籍はまだこっちだな。いずれ籍も向こうにするつもりで動いてはいたようだ。向こうの方が気候にあっているとか言っているらしいが…平民の愛人でもいるんだろう」
「なにか考えがあるのか?」
「本格的に冬になる前にシシリアキングスに向かう」
「シシリーを捜索するか?」
「いや、王都に向かう。シシリーの商人ギルドの話では女の家族も王都に向かっているようだ。女も叔父を頼って王都に向かっているかもしれん」
「はあ、王都かぁ。シシリーにアンバーだろう?次はユグンだったか?急いでも1ヶ月はかかるんじゃないのか?なぁ俺は家に帰っていいだろう?俺には家族がいるんだぞ?」
「俺に言うなよ。陛下に言ってくれ」
「ああ、このままだと俺、離縁されちゃうよぉー」
「明日からシシリーに向かうからな。今度はふたりで向かう。平民として入り込むから準備していてくれよ」
「マジかよ…」
コルクスは項垂れる。
ふたりの王子の内、コルクスがベルナルに言った。場所は城の兵士の宿舎にいた。元々ベルナルが住んでいた所だ。
「ない」
「逃げられたな」
ベルナルは一緒の班の兵士たちに危害が及ばぬように亡命を手伝い、国から引き渡すようにとの交渉も取り下げるよう国王に打診していたのだ。
「…冒険者ギルドや商人ギルドにアリアナ嬢の特徴の女の登録はなかったと一度連絡があってそれっきりだ。送ったメール便も戻ってきた」
「だから逃げられたんだろう」
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「なにか考えがあるのか?」
「本格的に冬になる前にシシリアキングスに向かう」
「シシリーを捜索するか?」
「いや、王都に向かう。シシリーの商人ギルドの話では女の家族も王都に向かっているようだ。女も叔父を頼って王都に向かっているかもしれん」
「はあ、王都かぁ。シシリーにアンバーだろう?次はユグンだったか?急いでも1ヶ月はかかるんじゃないのか?なぁ俺は家に帰っていいだろう?俺には家族がいるんだぞ?」
「俺に言うなよ。陛下に言ってくれ」
「ああ、このままだと俺、離縁されちゃうよぉー」
「明日からシシリーに向かうからな。今度はふたりで向かう。平民として入り込むから準備していてくれよ」
「マジかよ…」
コルクスは項垂れる。
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