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第5話 勇気
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山西先輩に会った後、俺はいつも通り授業を受けて学校を終えた。
自分が好きなライトノベルの新巻の発売日が今日だったため学校が終えた後、すぐに帰路の道にある書店に向かう。
書店に行ったはいいが、俺が欲しいライトノベルの新巻はまだ入荷されていなかった。
おかしいな。インターネットでは今日が発売日だと書かれてたのに。
俺が住んでるところが都心じゃないから?
そんなことを思いながら、沿って何店か店が並ぶ道をトボトボ歩く。
歩いていると喉が渇いたので近くにある自動販売機でペットボトルのお茶を1本買う。
余談だが俺が好きなお茶は苦みのあるお茶だ。
ペットボトルのキャップを開けようとしたときに思わぬ光景が目に入ってくる。
制服を着た山西先輩が制服を着た朝本さんに声をかけていた。
俺が今現在いるところからは少し離れている。
2人の様子を見るかぎり山西先輩が朝本さんを誘っているように見える。
朝本さんは山西先輩の誘い?を断って立ち去ろうとする。
すると、山西先輩が朝本さんの手首を掴む。
「放してください」
大きな声を出す朝本さん。
その後、抵抗して離れようとするが男と女では力に差があるためか山西先輩から離れることができない。山西先輩は何かしゃべりかけている。
朝本さんは自分の力では逃げられないと思ったのか助けを求めるように周囲を
見る。
周囲には何人か人がいてその光景を目撃していたのだが、皆、目を合わせず見て見ぬふりをしてその場を立ち去る。
朝本さんと目があっているのに立ち去る奴もいた。
まあ、山西先輩って長身でイケメンだけどチョイわるって顔してて結構恐いし。
もし、助けに入ったら怒りを買って何かされるかもしれないというリスクを冒してまで誰も助けようとは思わないだろう。
俺もその1人だ。自分が傷つくかもしれないのにわざわざ助けに行く必要はない。
——— 山西先輩恐いし。
俺には関係ないと勝手に思いながらペットボトルのキャップを開けることを中断して踵を返してその場を立ち去ろうとする。
うん?山西先輩が恐い。
立ち去ろうとして歩を進めているとき、その言葉が俺の脳内でフラッシュバックする。
バスケ部をやめたのはなぜか?楽しくなかったのは本当だ。だからやめた。けど、それだけじゃない。
俺は山西先輩が恐かったのだ。悪口を言われたり殴られたりするのが恐かった。そこから抜け出したいから部活をやめたんだ。
今もそうだ。
朝本さんが困っているのに俺は山西先輩への恐怖心から自分は関係ないことを装いこの場から立ち去ろうとしている。
一緒だ。俺は山西先輩から逃げてるだけなんだ。部活をやめてなにも変わっていない。
俺はこのままでいいのか?いや、ダメだ。
そう思うと自然に足は止まっていた。
だが、あと1歩の勇気が出ない。
そこで、手に持っていたペットボトルが目に入る。
俺はこれでどうだと思い、持っていたペットボトルのキャップを強引に開けると中に入っているお茶を煽って一気に飲み干す。
馬鹿げた行動だと思うが、そうしたことで心が少し落ち着いてリラックスすることができた。
これならいける。
そうして、再び踵を返す。
踵を返して目に入って来た光景は朝本さんが山西先輩に連れて行かれそうになっている光景だった。
急がないと。
俺は走ってその場に向かった。
・・・
「山西先輩、なにしてるんですか?」
俺は山西先輩と朝本さんの近くまで来ると、さもいま発見したという感じを出しながら明るい声で声をかける。
「あ?なんだお前。て、赤森か」
山西先輩は視線だけ寄越してそう言う。
「赤森君」
朝本さんも俺の存在に気付く。朝本さんの目からは恐怖で助けを求めているように見れる。
まあ、当然だろうな。
「どうも」
俺は笑顔で山西先輩に挨拶をする。
「お前、萌叶ちゃんと知り合いだったのか?まあ、そんなことはどうでもいい。今いいところなんだよ。話しかけてくるな」
山西先輩は朝本さんを名前よびすると、俺に冷たい視線を向けて吐き捨てるようにそう言う。
「クラスが一緒なだけですよ。でも、いいところって言う割には嫌がられているように見えますよ?」
俺は先輩の言葉につけ込む。
「これは照れてるだけなんだよ」
山西先輩は理由を付けて説明する。
「照れてません。なに言ってるんですか」
朝本さんは恐怖におびえながらも勇気を出して反論する。
「らしいですが?」
山西先輩を見ながら問いかける。
「ちっ」
山西先輩は舌打ちをする。
「そういうわけで・・・」
俺はそう言うと、朝本さんの手から山西先輩の手を引き剥がす。
引き剥がした後に、朝本さんと山西先輩の間に俺が立つようにする。
今現在、朝本さんが後方に山西先輩が前方にいるという形だ。
「赤森てめえ」
山西先輩は強烈な眼光で俺を睨みつける。
「逃げなよ」
俺は山西先輩を無視し後方にいる朝本さんに忠告する。
「で、でも」
朝本さんは渋って逃げようとしない。
「いいから」
俺は少しだけいつもより語気を強める。
言うことを聞いてほしかったのだ。
「う、うん」
朝本さんは俺が語気を強めたことに驚いたのか、歯切れは悪くも了承すると駆け足で俺から離れていく。
「赤森ちょっとついてこい」
山西先輩は鋭い視線を向けながら命令する。
「わかりました」
俺は二つ返事する。
山西先輩は踵を返すと前方に歩を進める。俺を捕まえたりはしない。
俺は黙って山西先輩の後ろをついていく。
歩を進めて少したつと山西先輩は立ち止まる。
俺もそれに倣い立ち止まる。
着いたところは裏路地だった。人の姿はかけらもない。
さーてここからどうするか。
俺の頬に1筋だけ冷や汗が流れる。
自分が好きなライトノベルの新巻の発売日が今日だったため学校が終えた後、すぐに帰路の道にある書店に向かう。
書店に行ったはいいが、俺が欲しいライトノベルの新巻はまだ入荷されていなかった。
おかしいな。インターネットでは今日が発売日だと書かれてたのに。
俺が住んでるところが都心じゃないから?
そんなことを思いながら、沿って何店か店が並ぶ道をトボトボ歩く。
歩いていると喉が渇いたので近くにある自動販売機でペットボトルのお茶を1本買う。
余談だが俺が好きなお茶は苦みのあるお茶だ。
ペットボトルのキャップを開けようとしたときに思わぬ光景が目に入ってくる。
制服を着た山西先輩が制服を着た朝本さんに声をかけていた。
俺が今現在いるところからは少し離れている。
2人の様子を見るかぎり山西先輩が朝本さんを誘っているように見える。
朝本さんは山西先輩の誘い?を断って立ち去ろうとする。
すると、山西先輩が朝本さんの手首を掴む。
「放してください」
大きな声を出す朝本さん。
その後、抵抗して離れようとするが男と女では力に差があるためか山西先輩から離れることができない。山西先輩は何かしゃべりかけている。
朝本さんは自分の力では逃げられないと思ったのか助けを求めるように周囲を
見る。
周囲には何人か人がいてその光景を目撃していたのだが、皆、目を合わせず見て見ぬふりをしてその場を立ち去る。
朝本さんと目があっているのに立ち去る奴もいた。
まあ、山西先輩って長身でイケメンだけどチョイわるって顔してて結構恐いし。
もし、助けに入ったら怒りを買って何かされるかもしれないというリスクを冒してまで誰も助けようとは思わないだろう。
俺もその1人だ。自分が傷つくかもしれないのにわざわざ助けに行く必要はない。
——— 山西先輩恐いし。
俺には関係ないと勝手に思いながらペットボトルのキャップを開けることを中断して踵を返してその場を立ち去ろうとする。
うん?山西先輩が恐い。
立ち去ろうとして歩を進めているとき、その言葉が俺の脳内でフラッシュバックする。
バスケ部をやめたのはなぜか?楽しくなかったのは本当だ。だからやめた。けど、それだけじゃない。
俺は山西先輩が恐かったのだ。悪口を言われたり殴られたりするのが恐かった。そこから抜け出したいから部活をやめたんだ。
今もそうだ。
朝本さんが困っているのに俺は山西先輩への恐怖心から自分は関係ないことを装いこの場から立ち去ろうとしている。
一緒だ。俺は山西先輩から逃げてるだけなんだ。部活をやめてなにも変わっていない。
俺はこのままでいいのか?いや、ダメだ。
そう思うと自然に足は止まっていた。
だが、あと1歩の勇気が出ない。
そこで、手に持っていたペットボトルが目に入る。
俺はこれでどうだと思い、持っていたペットボトルのキャップを強引に開けると中に入っているお茶を煽って一気に飲み干す。
馬鹿げた行動だと思うが、そうしたことで心が少し落ち着いてリラックスすることができた。
これならいける。
そうして、再び踵を返す。
踵を返して目に入って来た光景は朝本さんが山西先輩に連れて行かれそうになっている光景だった。
急がないと。
俺は走ってその場に向かった。
・・・
「山西先輩、なにしてるんですか?」
俺は山西先輩と朝本さんの近くまで来ると、さもいま発見したという感じを出しながら明るい声で声をかける。
「あ?なんだお前。て、赤森か」
山西先輩は視線だけ寄越してそう言う。
「赤森君」
朝本さんも俺の存在に気付く。朝本さんの目からは恐怖で助けを求めているように見れる。
まあ、当然だろうな。
「どうも」
俺は笑顔で山西先輩に挨拶をする。
「お前、萌叶ちゃんと知り合いだったのか?まあ、そんなことはどうでもいい。今いいところなんだよ。話しかけてくるな」
山西先輩は朝本さんを名前よびすると、俺に冷たい視線を向けて吐き捨てるようにそう言う。
「クラスが一緒なだけですよ。でも、いいところって言う割には嫌がられているように見えますよ?」
俺は先輩の言葉につけ込む。
「これは照れてるだけなんだよ」
山西先輩は理由を付けて説明する。
「照れてません。なに言ってるんですか」
朝本さんは恐怖におびえながらも勇気を出して反論する。
「らしいですが?」
山西先輩を見ながら問いかける。
「ちっ」
山西先輩は舌打ちをする。
「そういうわけで・・・」
俺はそう言うと、朝本さんの手から山西先輩の手を引き剥がす。
引き剥がした後に、朝本さんと山西先輩の間に俺が立つようにする。
今現在、朝本さんが後方に山西先輩が前方にいるという形だ。
「赤森てめえ」
山西先輩は強烈な眼光で俺を睨みつける。
「逃げなよ」
俺は山西先輩を無視し後方にいる朝本さんに忠告する。
「で、でも」
朝本さんは渋って逃げようとしない。
「いいから」
俺は少しだけいつもより語気を強める。
言うことを聞いてほしかったのだ。
「う、うん」
朝本さんは俺が語気を強めたことに驚いたのか、歯切れは悪くも了承すると駆け足で俺から離れていく。
「赤森ちょっとついてこい」
山西先輩は鋭い視線を向けながら命令する。
「わかりました」
俺は二つ返事する。
山西先輩は踵を返すと前方に歩を進める。俺を捕まえたりはしない。
俺は黙って山西先輩の後ろをついていく。
歩を進めて少したつと山西先輩は立ち止まる。
俺もそれに倣い立ち止まる。
着いたところは裏路地だった。人の姿はかけらもない。
さーてここからどうするか。
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