溺愛BL童話【短編集】

藤雪たすく

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白雪姫の頭痛の種

第5話

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熱い舌が絡み合う……初めてのキスとはまったく違う。

「ん……んぅ……あ……」
押し倒されて体が密着する。

やばい……バレる……。
体をずらそうとして腰を押し付けられて止められた。

あ……国仲さんも……。

「雪弥君……俺は……君と繋がりたい」

駆け引きも何もない率直な言葉。

「……俺も……したい」

ーーーーー

「雪弥君……俺、初めてで……痛かったら痛いって、嫌だったら嫌だって言ってね。下手でも……許して?」

「俺だって……初めてで……わかんない……」

おずおずとした拙い愛撫を互いに進める。

……あれ?
娘がいるのに……初めて?男相手は初めてってことか?

深く口付けを交わしながら、お互いのモノを擦り合う。

そんな気はしていたけど……国仲さんの手が俺のお尻を揉みながら、その場所へ触れる。
やっぱり俺が挿れられる方か……。

普段、自分でもあまり触れる事の無い場所に触れられて体が跳ねると、唇と手が離れていく。

現実に目が覚めたのか……やはり男相手にその気にはなれなかったのか……。
国仲さんの顔を見るのが怖くて顔を背けた。

離れていく体に寂しさを覚える。

ピリッと音がして、国仲さんの方を見ると指にゴムをつけている。

「な……んで?」

「雪弥君の事……傷つけたくないから……」

覆い被さられ、キスをされて……。
いや、聞きたいのは何でそんな物を持っているのかって事で……。
ぬるりとゴムの力を借りて国仲さんの指が、俺の中に侵入してきた。

「ふあぁっ……あぁ……」

普段閉じている場所を押し広げられる異物感。
国仲さんの指が俺の中を探る様にグニグニと動いて、暴いていく。
国仲さんの瞳がいとおしそうに俺を見ていてくれなければ逃げ出してしまいそう。
国仲さんの首もとに顔を埋めて、甘い香りを嗅いで気持ちを落ち着け様と務め、グリグリと顔を押し付ける。


「あぁ……雪弥君……雪弥君!!」

国仲さんのモノがゆっくりと俺の中に沈み込まれていく……。
ずりずりと内蔵を押し上げられながら入り込むモノの圧迫感にもう後戻り出来ないと恐怖を感じる。

「ひ……ぅ……はっ……国仲……さ…ん」

痛くて、気持ち悪くて、怖くて……いっぱい、いっぱいなのに国仲さんへの愛しさが込み上げて来て、訳もわからず涙が溢れる。

俺のお尻に国仲さんの体が触れる。
入った……全部……俺の中に……。

痛みも異物感も圧迫感も全部……全てが国仲さんと繋がった証で……。
今だけは俺が国仲さんを独占している。今だけでも……心がキュッと締め付けられる。

「痛っ……ご……めん……雪弥君……そんな締め付けないで……」

「えっ……あ……ごめんなさい……」

2人で困った様に体を捩りながら、どうしたらいいかと顔を見合わせて笑いあう。

「うぅ……あ……はぁ……うぁ……」

俺の様子を見ながらゆっくりと腰を動かしてくれる。

「人の肌が……人の体温がこんなに心地よく感じるなんて……」

ゆっくりと手探りでお互い快感を探りあいながら、体も心も解け合うように体を重ねあわせ、昂りを吐き出しあった……。


「雪弥君……こんなに誰かを愛おしく思ったのは、初めてなんだ……この歳でこんなんで情けないけど……側に居てくれるかな……?」

「俺……単純だし、嫉妬深いし、ガキだし……面倒くさいですよ?……いいんですか?」

「いろんな顔をみせてくれる、雪弥君が好きなんだ……」

汗ばんだ頬を国仲さんの手のひらが包み込む。
とても嬉しそうな国仲さんの顔……。

「国仲さん……大好き……」

力強く抱き締められて、キスをされて、甘い香りに包まれて、幸せの中、俺は眠りに落ちた。

ーーーーーー

明るい朝日が顔にかかる。

少し肌寒く、側にある温もりに肌を擦り寄せると、引き寄せられて、意外に逞しい腕に包まれた。

久々に穏やかな眠りだった。

腰は重いけど、頭はすっきりとしていた。

ーーーーーー

ニコニコと国仲さんはうれしそうに爆弾を投下した。

「今度のお休みに林檎ちゃんを紹介するね。凄く良い子だから、雪弥君もきっと気に入ってくれると思うんだ」

今日はその約束の日……。

な……何て挨拶すればいいんだ?
お父さんとお付き合いさせて頂いてます?
いや、子供にそんな事言っちゃだめか……えっと……お友達……?

いろいろな言葉がグルグル頭の中を駆け回る。
教えられたマンションのインターホンを鳴らすと国仲さんが出迎えに出てくれる。

国仲さんの後ろを口から心臓が飛び出しそうな程ドキドキしながらついて行く。

リビングと思わしき扉を開けて

「林檎ちゃん、俺の恋人の雪弥君だよ!!」

えぇ!?そんなオープンな感じ!?
慌てて頭を下げた。

「皇壱さんとお付き合いさせて頂いており……ま……す?」

部屋の中央には小さな豪華な椅子が置いてあり、これまた豪華な服を身につけた……。

「人形……?」

国仲さんは中央まで進むとひょいっと人形を抱き上げて、俺に渡して来る。

「?????」

「模型の道具を買いに行ったら……お店で出会って一目惚れしてしまったんだ。白雪姫モデルらしいから『林檎ちゃん』って名前にしたんだ。白い肌、小さな口、大きな目……雪弥君そっくりでしょ?」

国仲さんは俺の顔を指でスッと撫でてた。

「あぁ……雪弥君が俺の娘を抱っこしてる。なんて美しい母娘像……眼福……写真撮っていい?」

呆然とする俺の写真をパシャパシャと撮っていく。


にこにこと嬉しそうに『林檎ちゃん』を俺に紹介してくれる国仲さん。

……どうしよう。

俺には理解出来ない領域の住民だった。
受け入れるべきか、拒絶するべきか……。


俺の頭痛の種は恋人になっても無くなりそうになかった。
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