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龍宮城の乙姫は…
裏1話
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凜…可愛い……。
中学の時、だいぶんヤンチャをしていた俺だが……この学校に入学して鯛谷という笑顔の鬼人に負けて配下にされた。
素行に問題があるだけで自分で言うのもなんだが、頭も運動神経も悪くない俺は、鯛谷の恋人である平山をサポートするように命じられた。
金持ちの坊ちゃんである平山をサポートする。鯛谷一人で充分じゃねぇ?とも思うが鯛谷の考えることはわからん。
品位とやらが大切らしく、相当しごかれた。
3年になると生徒会長になった平山について、副会長をやらされている。
正直、性に合わないが鯛谷に殺されそうなので大人しく副会長の役を演じる。
そんな俺の心のオアシス……。
松浦 凜太郎。
平均より体重も身長も小さな体……垂れ目がちな瞳が優しそうで心を穏やかにさせてくれる。
この特殊な男子校に自分が染まるわけないと思っていたがまさか男に惚れる事になるとは……と思ったが好きになってしまったものは仕方が無い。
生徒会主催の美化作業に毎回参加して独楽鼠の様にちょこちょこと動く小さな働き者。
その姿を見ているとほっこりとする。
話しかけたい……あわよくば恋人に……。
しかし、親衛隊をなのる謎の集団に阻まれて近づく事すら出来ない。
「鈴さんのサポート役としてふさわしい振る舞いをしてくださいね」
にっこり笑う、恐ろしい笑顔の鯛谷に脅されてそいつらの事も無下には出来ないのだ。
今も遠くから俺を監視している気がする。
なっ!?また平山の奴、凜に近づきやがって!!
俺がチラチラ盗み見をしていたのが鯛谷にバレて平山にチクられた、それ以降やたら凜に絡んでいく。
凜は無視して草むしりに集中している。
流石は俺の凜。
しかし平山が凜の肩に腕を回して、凜がバランスを崩して平山へ倒れ込んでしまった。
平山を睨み付けると楽しそうに笑っている。
さっさと凜の体から手を離せ。
見つめあう二人。
凜、騙されちゃ駄目だよ?
肩を抱き込み、内緒話をする様な距離に密着する二人を見て流石に我慢の限界だ。
静かに二人に近づいた。
「……好きです」
……………は?
微かに聞こえた凜の声。
好き?好きって言った?
誰を?平山を?
平山はニヤリと笑うと凜の頬にいきなりキスをした。
なっ!?
凜も突然の事に驚いたのか手で平山を押しどけようとして逆に尻餅をついている。
平山……鯛谷の目は怖いがここで始末してやろうか……。
そんな気持ちを押さえて、努めて穏やかに声をかける。
「会長?一年生をからかってないでゴミ袋の予備を取りに行ってくれませんか?」
凜は俺に背中を見せたまま、地面にへたりこんでいる。
僅かに見える耳まで真っ赤に染まっている……。
平山みたいなのが好みなのか?
「はいはい。じゃあね、凛ちゃん」
ひょうひょうとした平山は凜の名前を呼ぶどころか、あろうことか凜の頭を撫でて行った。
死ね平山。
体を起こそうとする凜に勇気を振り絞り、手を差し出した。
「平山がごめんね」
は……初めて……ついに話しかけてしまった!!
俺に話しかけられたのがそんなに驚きなのか、ぽかんとした瞳で俺を見つめてくる……。
半開きの唇がキスを誘っているようで……そんなはずはないと心の中で首を振った。
……こんな至近距離で凜の顔を見たのは初めてで、ドキドキ心臓が飛び出しそうに騒いでいる。
差し出した手を無視されたら格好悪いなと思いつつ、凜の動きを心臓が破裂するのではと思うくらい早めながら見ていた。
そして……凜は俺の手を取ってくれた。
小さな柔らかい手……こんな可愛い手に草むしりなんてさせてごめんね。
親衛隊だか何だか知らないがあいつらがやれば良いのに。
中学の時、だいぶんヤンチャをしていた俺だが……この学校に入学して鯛谷という笑顔の鬼人に負けて配下にされた。
素行に問題があるだけで自分で言うのもなんだが、頭も運動神経も悪くない俺は、鯛谷の恋人である平山をサポートするように命じられた。
金持ちの坊ちゃんである平山をサポートする。鯛谷一人で充分じゃねぇ?とも思うが鯛谷の考えることはわからん。
品位とやらが大切らしく、相当しごかれた。
3年になると生徒会長になった平山について、副会長をやらされている。
正直、性に合わないが鯛谷に殺されそうなので大人しく副会長の役を演じる。
そんな俺の心のオアシス……。
松浦 凜太郎。
平均より体重も身長も小さな体……垂れ目がちな瞳が優しそうで心を穏やかにさせてくれる。
この特殊な男子校に自分が染まるわけないと思っていたがまさか男に惚れる事になるとは……と思ったが好きになってしまったものは仕方が無い。
生徒会主催の美化作業に毎回参加して独楽鼠の様にちょこちょこと動く小さな働き者。
その姿を見ているとほっこりとする。
話しかけたい……あわよくば恋人に……。
しかし、親衛隊をなのる謎の集団に阻まれて近づく事すら出来ない。
「鈴さんのサポート役としてふさわしい振る舞いをしてくださいね」
にっこり笑う、恐ろしい笑顔の鯛谷に脅されてそいつらの事も無下には出来ないのだ。
今も遠くから俺を監視している気がする。
なっ!?また平山の奴、凜に近づきやがって!!
俺がチラチラ盗み見をしていたのが鯛谷にバレて平山にチクられた、それ以降やたら凜に絡んでいく。
凜は無視して草むしりに集中している。
流石は俺の凜。
しかし平山が凜の肩に腕を回して、凜がバランスを崩して平山へ倒れ込んでしまった。
平山を睨み付けると楽しそうに笑っている。
さっさと凜の体から手を離せ。
見つめあう二人。
凜、騙されちゃ駄目だよ?
肩を抱き込み、内緒話をする様な距離に密着する二人を見て流石に我慢の限界だ。
静かに二人に近づいた。
「……好きです」
……………は?
微かに聞こえた凜の声。
好き?好きって言った?
誰を?平山を?
平山はニヤリと笑うと凜の頬にいきなりキスをした。
なっ!?
凜も突然の事に驚いたのか手で平山を押しどけようとして逆に尻餅をついている。
平山……鯛谷の目は怖いがここで始末してやろうか……。
そんな気持ちを押さえて、努めて穏やかに声をかける。
「会長?一年生をからかってないでゴミ袋の予備を取りに行ってくれませんか?」
凜は俺に背中を見せたまま、地面にへたりこんでいる。
僅かに見える耳まで真っ赤に染まっている……。
平山みたいなのが好みなのか?
「はいはい。じゃあね、凛ちゃん」
ひょうひょうとした平山は凜の名前を呼ぶどころか、あろうことか凜の頭を撫でて行った。
死ね平山。
体を起こそうとする凜に勇気を振り絞り、手を差し出した。
「平山がごめんね」
は……初めて……ついに話しかけてしまった!!
俺に話しかけられたのがそんなに驚きなのか、ぽかんとした瞳で俺を見つめてくる……。
半開きの唇がキスを誘っているようで……そんなはずはないと心の中で首を振った。
……こんな至近距離で凜の顔を見たのは初めてで、ドキドキ心臓が飛び出しそうに騒いでいる。
差し出した手を無視されたら格好悪いなと思いつつ、凜の動きを心臓が破裂するのではと思うくらい早めながら見ていた。
そして……凜は俺の手を取ってくれた。
小さな柔らかい手……こんな可愛い手に草むしりなんてさせてごめんね。
親衛隊だか何だか知らないがあいつらがやれば良いのに。
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