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ざまぁをしてみたい宇宙人
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地球でも化石燃料の枯渇だとかエネルギー問題は度々話題に上っていたが、それは異世界でも同じらしく魔機に頼って生きてきたナディユさんたちの星では深刻な魔素不足に陥っていたらしい。
魔素に変わる新しいエネルギーの発見を待たず、魔素を吐き出す樹木が発見されたことで大規模な植樹が行われ、大気中の魔素は復活をした……が、数年後にはまた別の問題が浮上する。
「魔機のない生活への不安に焦っていたのでしょう。細かな調査も行わず……若しくは当時の魔機の性能のせいか……ランガルガと呼ばれるその木が出す花粉に女性が産まれにくくなる成分が含まれている事に気付かず長い年月が過ぎました……その花粉を大量に吸い続けていた結果、産まれる子は男子だけなり、人口は著しく減少しました。それでも魔機を手放せず、ランガルガを伐採することよりも『単為生殖』の実験が始まりました。一人の人間の精子から人間を造り出そうとしたのです」
男しか生まれなくなったから、クローンを作るってなかなか力技な星だな。
「しかしこの研究はすぐに打ち切られました。単為生殖で生まれた子の9割が親であるオリジナルを殺すという結果になったからというのと、新たに『女体化』の計画が浮上したからです」
クローンに女体化……倫理はどうなっているんだろうな。そこはまあ、宇宙人の問題だから俺が何だかんだと口を出す問題ではないけれど。
「国によって一度推奨された女体化ですが、国民には伝えられていませんが実は問題は山積みで……女体化させられることは相当な負担で、女体化して出産した方で3年生きられる者は2割に満たなかった。そして女体化した夫婦から産まれた子供の6割が繁殖力を持っていないんです。それなのに……その子らを女体化させることで無理やり繁殖力を与えるという強硬手段に走りました。ただ魔機のある生活を捨てられないという理由だけで……女体化しか方法がないのならないで、もう少し研究を進め問題点を改善してから薦めるべきだと思うのです。種の存続の為だからと人を犠牲にしてもいいものかと……」
「ナディユさんはそれで反対していたんですね」
うんうん。ナディユさんは印象通り良い人だ。どうしても愛する人の子供を産みたいと女体化させられる人が望むのならともかく、実情を内緒にしているあたりに悪意を感じる。
「反対派の運動の代表を引き受けていたのですが、結局私も魔機の与えてくれる便利な生活は捨てきれず、ランガルガの伐採までは踏み切れませんでした。対抗策として別の星への移住計画とパートナー同士の精子から新たな生命を造る研究を進めていたのですが……」
「その研究と星の発見に没頭している間に女体化の賛成派の人間に婚約者を丸め込まれて、はめられたと……」
もっと確実に暗殺とかされててもおかしく無い状況だけど……周りくどいのは一応王子だし、反対派の勢いを後押しするだけだから事故死に見せる方法を……とかって事か?
「不甲斐ないことですが……そうですね。克真さんに恨みはないのかと言われましたが、私と彼の間には恋愛という感情は無く……どちらかというと一番信頼していた仲間に、同志に裏切られた虚無感というか……国民の為と必死にやっていた事が独りよがりの正義感だったのではと思うと全てがどうでも良くなりました」
「独りよがりの正義感って事はないでしょう。俺だってそのまま女体化を強行しても……長い先の未来には滅亡って想像しかできないですよ」
細かなことはわからないが話の流れでは完全に滅亡ルート。女体化しても一人しか産めない体ならジワジワと数は減っていくはず。
俺の賛同に、暗かったナディユさんの顔に少し明るさが戻った気がした。
「裏切られたことは悔しいですが、小さい頃からずっと兄弟のように一緒にいて、幸せになってくれたらとも願っています。それでも、ベッドの中で兄へ愛を語るためとは言え『つまらない王子様の子守りは疲れた』とか『理想だけの夢見がちの馬鹿』と言われているのを聞いて傷ついてもいるんです」
「当然です。むしろ恨んでいいと思います」
もっと怒って、気づいた時点でUターンして二人に復讐してもいいレベルだよ。
「克真さんと出会って私、少し変わりました」
ふわっとした笑顔をナディユさんは見せてくれた。全てがどうでも良くなった人間の笑顔では無い。
「そうなんですか?良い方の変化なら光栄ですね」
「私も私の幸せを掴んで『幸せになってやったぞ、ざまぁみろ』って言ってやりたいです……ですから、克真さん……貴方にしか頼めないお願いがあります……」
俺とっていうか、俺の読んでた異世界漫画と出会って変わったんだろうな。
ナディユさんに手を握られて顔を寄せられる。これは……『恋人になってくれ』ってか?
あからさまなヒロイン扱いに、言われるであろう内容に対しての覚悟はもう既に出来ているから『抱いてくれ』でも『抱かせてくれ』でもどんと恋。
魔素に変わる新しいエネルギーの発見を待たず、魔素を吐き出す樹木が発見されたことで大規模な植樹が行われ、大気中の魔素は復活をした……が、数年後にはまた別の問題が浮上する。
「魔機のない生活への不安に焦っていたのでしょう。細かな調査も行わず……若しくは当時の魔機の性能のせいか……ランガルガと呼ばれるその木が出す花粉に女性が産まれにくくなる成分が含まれている事に気付かず長い年月が過ぎました……その花粉を大量に吸い続けていた結果、産まれる子は男子だけなり、人口は著しく減少しました。それでも魔機を手放せず、ランガルガを伐採することよりも『単為生殖』の実験が始まりました。一人の人間の精子から人間を造り出そうとしたのです」
男しか生まれなくなったから、クローンを作るってなかなか力技な星だな。
「しかしこの研究はすぐに打ち切られました。単為生殖で生まれた子の9割が親であるオリジナルを殺すという結果になったからというのと、新たに『女体化』の計画が浮上したからです」
クローンに女体化……倫理はどうなっているんだろうな。そこはまあ、宇宙人の問題だから俺が何だかんだと口を出す問題ではないけれど。
「国によって一度推奨された女体化ですが、国民には伝えられていませんが実は問題は山積みで……女体化させられることは相当な負担で、女体化して出産した方で3年生きられる者は2割に満たなかった。そして女体化した夫婦から産まれた子供の6割が繁殖力を持っていないんです。それなのに……その子らを女体化させることで無理やり繁殖力を与えるという強硬手段に走りました。ただ魔機のある生活を捨てられないという理由だけで……女体化しか方法がないのならないで、もう少し研究を進め問題点を改善してから薦めるべきだと思うのです。種の存続の為だからと人を犠牲にしてもいいものかと……」
「ナディユさんはそれで反対していたんですね」
うんうん。ナディユさんは印象通り良い人だ。どうしても愛する人の子供を産みたいと女体化させられる人が望むのならともかく、実情を内緒にしているあたりに悪意を感じる。
「反対派の運動の代表を引き受けていたのですが、結局私も魔機の与えてくれる便利な生活は捨てきれず、ランガルガの伐採までは踏み切れませんでした。対抗策として別の星への移住計画とパートナー同士の精子から新たな生命を造る研究を進めていたのですが……」
「その研究と星の発見に没頭している間に女体化の賛成派の人間に婚約者を丸め込まれて、はめられたと……」
もっと確実に暗殺とかされててもおかしく無い状況だけど……周りくどいのは一応王子だし、反対派の勢いを後押しするだけだから事故死に見せる方法を……とかって事か?
「不甲斐ないことですが……そうですね。克真さんに恨みはないのかと言われましたが、私と彼の間には恋愛という感情は無く……どちらかというと一番信頼していた仲間に、同志に裏切られた虚無感というか……国民の為と必死にやっていた事が独りよがりの正義感だったのではと思うと全てがどうでも良くなりました」
「独りよがりの正義感って事はないでしょう。俺だってそのまま女体化を強行しても……長い先の未来には滅亡って想像しかできないですよ」
細かなことはわからないが話の流れでは完全に滅亡ルート。女体化しても一人しか産めない体ならジワジワと数は減っていくはず。
俺の賛同に、暗かったナディユさんの顔に少し明るさが戻った気がした。
「裏切られたことは悔しいですが、小さい頃からずっと兄弟のように一緒にいて、幸せになってくれたらとも願っています。それでも、ベッドの中で兄へ愛を語るためとは言え『つまらない王子様の子守りは疲れた』とか『理想だけの夢見がちの馬鹿』と言われているのを聞いて傷ついてもいるんです」
「当然です。むしろ恨んでいいと思います」
もっと怒って、気づいた時点でUターンして二人に復讐してもいいレベルだよ。
「克真さんと出会って私、少し変わりました」
ふわっとした笑顔をナディユさんは見せてくれた。全てがどうでも良くなった人間の笑顔では無い。
「そうなんですか?良い方の変化なら光栄ですね」
「私も私の幸せを掴んで『幸せになってやったぞ、ざまぁみろ』って言ってやりたいです……ですから、克真さん……貴方にしか頼めないお願いがあります……」
俺とっていうか、俺の読んでた異世界漫画と出会って変わったんだろうな。
ナディユさんに手を握られて顔を寄せられる。これは……『恋人になってくれ』ってか?
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