66 / 87
執着のハンカチーフ
しおりを挟む
地球へ帰れるなら帰りたい。
両親だっているし、少ないけれど友達だっている。
魔物なんて変なのに襲われる心配も無いし、蛇口を捻れば水は出てくるし、火だって簡単に点けられるし、夜になればスイッチを押せば電気がつく。電子レンジや冷蔵庫やスマホだってある便利な生活。
帰りたい……帰りたいけど……エルポープスの世界にだって大切なものがたくさん出来てしまった。
みんなとの賑やかな生活を思い出して、思わず溢れた涙をそっと拭われた。
「ありがとう……」
「何がじゃ?」
てっきりキュンキュン様が拭ってくれたのかと思ったら、俺の思考時間を待つのに飽きたのか、キュンキュン様は俺の隣から消えていて部屋の中を物色していた。
じゃあ誰が?と思ったらハンカチが浮いていた。
これは……ルノさんにあげたハンカチだ。みんな同じ生地だから間違えない様に俺が刺繍を入れたから間違いない。
「何でここに……」
ハンカチを掴もうとしたら、次々にハンカチが現れて顔を拭ってくる。
「そ……そんなにいらないって!!」
顔を覆う大量のハンカチを鷲掴み引っ剥がす。それぞれみんなの名前の刺繍が入ったハンカチ。
まさか……引き留めに来てくれたのだろうか。神の家まで?そんなにまで離れたくないって願ってくれているんだ……。
「キュンキュン様……俺は……エルポープスの世界に残りたい」
俺の答えを聞いて、ハンカチ達は安心した様に消えていった。
「そうか…………ほっ」
「ちょっと待て。何だよ今の『ほっ』て……」
明らかに安堵のため息だった。ジト目でキュンキュン様を睨みつける。
「いやな……お主がエルポープスを1度復活させた時に地球の奴にお主を引き取ってくれるか確認しに行ったらなぁ……」
行ったら何だよ?いらないって言われた?どうせ俺は凡人だし世界の役には立ってないけど地球人だぞ?間違いで飛ばされた俺を地球の神様は簡単に見捨てるのか?
「それが……お主は既に地球で死亡扱いになっておってな。普通なら周囲の人間の記憶操作程度で済むんじゃが……お主の死因がなぁ……」
え……俺の死因何なの?惨殺死体で復活出来ない位細切れだとか?
「あの神社を覚えているか?何故かそこの狛犬に頭を齧られた姿で発見されな。動く石像だの怪奇現象だと世界的に拡散されて……お主を復活させるには世界中の人間の記憶操作と情報操作が必要で……断られた」
なんて死に様……なんて扱いだ。
「そう怒るな!!あれだ!!こっちの世界で死んでくれればあっちの世界で別人として赤子からやり直すなら全然引き取ると言ってくれたぞ!!嫌なら儂の世界に招待してもいい!!」
そんなわざわざ死ぬ意味ないじゃん。大体今度はどんな死に様にされるかわかったもんじゃない。
キュンキュン様の世界は平和らしいが、人と接する事なくアニマルパラダイスで一生を過ごせる程の動物愛護精神にあふれてはいない。
「もういい……皆のところに帰る」
きっぱりすっきり、過去と決別出来たよ。
「ちょっと待て、すぐに送らせるからな。おい!!起きろ!!早く此奴を元の場所へ送り返してやれ!!特別に『神友』登録してやる!!早く起きろ!!」
「キュンキュン様と『神友』!!」
キュンキュン様の言葉にエルポープスは物凄い勢いで食いついた。
「憧れの神七柱のキュンキュン様と『神友』になれるなんて……あんたやっぱり神だぁ~!!」
涙でグチャグチャな顔で抱き着かれて思わず体が仰け反り鳥肌が全身に走った。神でもなんでも良いから早く元の場所へ帰らせて……。
ーーーーーー
「ふ~ん。じゃあ『神友』ってのになれば、あんたを通じて何時でもキュンキュン様と連絡が取れるのか」
帰り道。
ドラゴンの姿に変わったエルポープスの背中に乗っている。何故わざわざドラゴンかと聞くと『強そうに見えるから』と情けない答えが返ってきた。
いきなり俺を攫った理由はお礼を伝えたいのとゆっくり話をしたかっただけらしいけど、怖いの……レイニート様だね。が、いたから近付けなくて、まごまごしているうちにルノさん登場で、これ以上増える前に俺がレイニート様の側を離れた隙きをついたらしい。
俺の周りは凶悪なのが多すぎると文句を言われたけど……問題はお前が弱すぎる事だ。
「仕方ないだろ。神は魔界と戦うのが仕事!!その為に世界を発展させ、生命力を高める事で力に変えるんだ」
「じゃあキュンキュン様みたいに祝福を与えれば良いじゃん。世界を発展させる様なスキルを与えたら良いんだろ?」
背中に乗っていると、下を見なくて済むから楽だな。親切設計でちょうど掴まりやすい鱗があるし。
「祝福を与えられるのは神格6からだよ……俺に出来るのは神託を与えるぐらい。魔物に直接攻撃できる様になるのだって神格4だし……」
神の世界も中々の実力社会の様だ。
魔界の悪魔に勝てなければ世界は魔力に汚染され生命力を失っていく、世界の生命力を失えば悪魔と戦う力も失い……負のループ。世知辛い。
俺に魔力が無いのは地球の神様が強過ぎて全く悪魔を寄せ付けず、人間が魔と戦う必要が無いから、魔力を使う機能がそもそも備わってないからだそうだ。
「まあ頑張れよ。あんたが死なないでいてくれさえすれば、世界の魔物はルノさん達が退治してくれるからさ」
世界に手を出せないエルポープスが俺を攫えたのは俺がゲストの立場でエルポープスの世界の人間では無いかららしい。
神格2にどうやって上がるのかは知らないけど、レベルの上がらないもどかしさはよくわかる。気持ち悪い神だけど、それでもこれから俺の神様になるんだし応援ぐらいはしたい。
「シーナに頑張れって言われたら頑張れそうな気がする……うん!!頑張るぞ!!だから、これから何度だって遊びにくるから地球の事いろいろ教えてくれよな!!」
「…………」
「なんで無言!?酷い!!」
しょっちゅう来られても困る。
「シーナが望む物があれば俺がシーナの記憶を読んで、それを実現出来そうな人間に神託を与えて作ってもらうって事も出来るんだぞ?俺の世界の料理は地球さんの神友の神友の……神友の神友の世界を覗かせて貰って、地球さんのとこで流行ってる物を神託で伝えたから……シーナには馴染み深いだろ?俺凄いだろ?」
なるほど……伝言ゲームの末だから馴染み深いけど何かが違っていたのか。
「凄い凄い。じゃあさ、俺の記憶を覗けば米とかカレーとか味噌とかも出来るの?」
「シーナが作り方とか、育て方……どういう物かって具体的な姿が分かっていればね」
じゃあカレーは難しいか……カレールーがどうやって出来ているかなんて知らないから、何処かの神様が地球のカレーを真似て、それをまた真似て……巡ってくるのを待つしか……いや、いるじゃん!!キュンキュン様!!
キュンキュン様を経由すれば直輸入可能!!
「どうした?楽しそうだな」
「いや、未来は明るいなって思って……てか、いつつくの?ルノさんとか凄い心配してると思う……」
心配し過ぎて最悪な事態になって無いと良いけど……。
「大丈夫、神界と下界では時間の流れが違うから1分もたってないよ」
1分……流石にそこまで瞬間湯沸かし機ではないか。
両親だっているし、少ないけれど友達だっている。
魔物なんて変なのに襲われる心配も無いし、蛇口を捻れば水は出てくるし、火だって簡単に点けられるし、夜になればスイッチを押せば電気がつく。電子レンジや冷蔵庫やスマホだってある便利な生活。
帰りたい……帰りたいけど……エルポープスの世界にだって大切なものがたくさん出来てしまった。
みんなとの賑やかな生活を思い出して、思わず溢れた涙をそっと拭われた。
「ありがとう……」
「何がじゃ?」
てっきりキュンキュン様が拭ってくれたのかと思ったら、俺の思考時間を待つのに飽きたのか、キュンキュン様は俺の隣から消えていて部屋の中を物色していた。
じゃあ誰が?と思ったらハンカチが浮いていた。
これは……ルノさんにあげたハンカチだ。みんな同じ生地だから間違えない様に俺が刺繍を入れたから間違いない。
「何でここに……」
ハンカチを掴もうとしたら、次々にハンカチが現れて顔を拭ってくる。
「そ……そんなにいらないって!!」
顔を覆う大量のハンカチを鷲掴み引っ剥がす。それぞれみんなの名前の刺繍が入ったハンカチ。
まさか……引き留めに来てくれたのだろうか。神の家まで?そんなにまで離れたくないって願ってくれているんだ……。
「キュンキュン様……俺は……エルポープスの世界に残りたい」
俺の答えを聞いて、ハンカチ達は安心した様に消えていった。
「そうか…………ほっ」
「ちょっと待て。何だよ今の『ほっ』て……」
明らかに安堵のため息だった。ジト目でキュンキュン様を睨みつける。
「いやな……お主がエルポープスを1度復活させた時に地球の奴にお主を引き取ってくれるか確認しに行ったらなぁ……」
行ったら何だよ?いらないって言われた?どうせ俺は凡人だし世界の役には立ってないけど地球人だぞ?間違いで飛ばされた俺を地球の神様は簡単に見捨てるのか?
「それが……お主は既に地球で死亡扱いになっておってな。普通なら周囲の人間の記憶操作程度で済むんじゃが……お主の死因がなぁ……」
え……俺の死因何なの?惨殺死体で復活出来ない位細切れだとか?
「あの神社を覚えているか?何故かそこの狛犬に頭を齧られた姿で発見されな。動く石像だの怪奇現象だと世界的に拡散されて……お主を復活させるには世界中の人間の記憶操作と情報操作が必要で……断られた」
なんて死に様……なんて扱いだ。
「そう怒るな!!あれだ!!こっちの世界で死んでくれればあっちの世界で別人として赤子からやり直すなら全然引き取ると言ってくれたぞ!!嫌なら儂の世界に招待してもいい!!」
そんなわざわざ死ぬ意味ないじゃん。大体今度はどんな死に様にされるかわかったもんじゃない。
キュンキュン様の世界は平和らしいが、人と接する事なくアニマルパラダイスで一生を過ごせる程の動物愛護精神にあふれてはいない。
「もういい……皆のところに帰る」
きっぱりすっきり、過去と決別出来たよ。
「ちょっと待て、すぐに送らせるからな。おい!!起きろ!!早く此奴を元の場所へ送り返してやれ!!特別に『神友』登録してやる!!早く起きろ!!」
「キュンキュン様と『神友』!!」
キュンキュン様の言葉にエルポープスは物凄い勢いで食いついた。
「憧れの神七柱のキュンキュン様と『神友』になれるなんて……あんたやっぱり神だぁ~!!」
涙でグチャグチャな顔で抱き着かれて思わず体が仰け反り鳥肌が全身に走った。神でもなんでも良いから早く元の場所へ帰らせて……。
ーーーーーー
「ふ~ん。じゃあ『神友』ってのになれば、あんたを通じて何時でもキュンキュン様と連絡が取れるのか」
帰り道。
ドラゴンの姿に変わったエルポープスの背中に乗っている。何故わざわざドラゴンかと聞くと『強そうに見えるから』と情けない答えが返ってきた。
いきなり俺を攫った理由はお礼を伝えたいのとゆっくり話をしたかっただけらしいけど、怖いの……レイニート様だね。が、いたから近付けなくて、まごまごしているうちにルノさん登場で、これ以上増える前に俺がレイニート様の側を離れた隙きをついたらしい。
俺の周りは凶悪なのが多すぎると文句を言われたけど……問題はお前が弱すぎる事だ。
「仕方ないだろ。神は魔界と戦うのが仕事!!その為に世界を発展させ、生命力を高める事で力に変えるんだ」
「じゃあキュンキュン様みたいに祝福を与えれば良いじゃん。世界を発展させる様なスキルを与えたら良いんだろ?」
背中に乗っていると、下を見なくて済むから楽だな。親切設計でちょうど掴まりやすい鱗があるし。
「祝福を与えられるのは神格6からだよ……俺に出来るのは神託を与えるぐらい。魔物に直接攻撃できる様になるのだって神格4だし……」
神の世界も中々の実力社会の様だ。
魔界の悪魔に勝てなければ世界は魔力に汚染され生命力を失っていく、世界の生命力を失えば悪魔と戦う力も失い……負のループ。世知辛い。
俺に魔力が無いのは地球の神様が強過ぎて全く悪魔を寄せ付けず、人間が魔と戦う必要が無いから、魔力を使う機能がそもそも備わってないからだそうだ。
「まあ頑張れよ。あんたが死なないでいてくれさえすれば、世界の魔物はルノさん達が退治してくれるからさ」
世界に手を出せないエルポープスが俺を攫えたのは俺がゲストの立場でエルポープスの世界の人間では無いかららしい。
神格2にどうやって上がるのかは知らないけど、レベルの上がらないもどかしさはよくわかる。気持ち悪い神だけど、それでもこれから俺の神様になるんだし応援ぐらいはしたい。
「シーナに頑張れって言われたら頑張れそうな気がする……うん!!頑張るぞ!!だから、これから何度だって遊びにくるから地球の事いろいろ教えてくれよな!!」
「…………」
「なんで無言!?酷い!!」
しょっちゅう来られても困る。
「シーナが望む物があれば俺がシーナの記憶を読んで、それを実現出来そうな人間に神託を与えて作ってもらうって事も出来るんだぞ?俺の世界の料理は地球さんの神友の神友の……神友の神友の世界を覗かせて貰って、地球さんのとこで流行ってる物を神託で伝えたから……シーナには馴染み深いだろ?俺凄いだろ?」
なるほど……伝言ゲームの末だから馴染み深いけど何かが違っていたのか。
「凄い凄い。じゃあさ、俺の記憶を覗けば米とかカレーとか味噌とかも出来るの?」
「シーナが作り方とか、育て方……どういう物かって具体的な姿が分かっていればね」
じゃあカレーは難しいか……カレールーがどうやって出来ているかなんて知らないから、何処かの神様が地球のカレーを真似て、それをまた真似て……巡ってくるのを待つしか……いや、いるじゃん!!キュンキュン様!!
キュンキュン様を経由すれば直輸入可能!!
「どうした?楽しそうだな」
「いや、未来は明るいなって思って……てか、いつつくの?ルノさんとか凄い心配してると思う……」
心配し過ぎて最悪な事態になって無いと良いけど……。
「大丈夫、神界と下界では時間の流れが違うから1分もたってないよ」
1分……流石にそこまで瞬間湯沸かし機ではないか。
78
お気に入りに追加
2,573
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
【完結】欠陥品と呼ばれていた伯爵令息だけど、なぜか年下の公爵様に溺愛される
ゆう
BL
アーデン伯爵家に双子として生まれてきたカインとテイト。
瓜二つの2人だが、テイトはアーデン伯爵家の欠陥品と呼ばれていた。その訳は、テイトには生まれつき右腕がなかったから。
国教で体の障害は前世の行いが悪かった罰だと信じられているため、テイトに対する人々の風当たりは強く、次第にやさぐれていき・・・
もう全てがどうでもいい、そう思って生きていた頃、年下の公爵が現れなぜか溺愛されて・・・?
※設定はふわふわです
※差別的なシーンがあります
嫌われ愛し子が本当に愛されるまで
米猫
BL
精霊に愛されし国フォーサイスに生まれたルーカスは、左目に精霊の愛し子の証である金緑石色の瞳を持っていた。
だが、「金緑石色の瞳は精霊の愛し子である」という情報は認知されておらず、母親であるオリビアは気味が悪いとルーカスを突き放し、虐げた。
愛されることも無く誰かに求められることも無い。生きている意味すら感じれなくなる日々を送るルーカスに運命を変える日が訪れ少しずつ日常が変化していき·····
トラウマを抱えながら生きるルーカスが色んな人と出会い成長していきます!
ATTENTION!!
・暴力や虐待表現があります!
・BLになる(予定)
・書いたら更新します。ですが、1日1回は更新予定です。時間は不定期
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
甥っ子と異世界に召喚された俺、元の世界へ戻るために奮闘してたら何故か王子に捕らわれました?
秋野 なずな
BL
ある日突然、甥っ子の蒼葉と異世界に召喚されてしまった冬斗。
蒼葉は精霊の愛し子であり、精霊を回復できる力があると告げられその力でこの国を助けて欲しいと頼まれる。しかし同時に役目を終えても元の世界には帰すことが出来ないと言われてしまう。
絶対に帰れる方法はあるはずだと協力を断り、せめて蒼葉だけでも元の世界に帰すための方法を探して孤軍奮闘するも、誰が敵で誰が味方かも分からない見知らぬ地で、1人の限界を感じていたときその手は差し出された
「僕と手を組まない?」
その手をとったことがすべての始まり。
気づいた頃にはもう、その手を離すことが出来なくなっていた。
王子×大学生
―――――――――
※男性も妊娠できる世界となっています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる