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異世界といえばこれ
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「かぁ~!!やっぱ広い風呂は気持ち良いなぁ~!!小僧も良い仕事するじゃねぇか」
「お褒めに預かり光栄です……」
ゆったりと湯船に浸かる隊長の横で俺はぐったりと浴槽の縁に凭れていた。
疲れた……。
いきなり泥だらけの体で湯船に浸かろうとした隊長を引き止め、面倒臭がるのを言い聞かせながら体を洗わせるのに相当な労力を要した。
「そう思うならシーナに言われた通りまずは汚れを落として湯船に浸かるとこれからも守って、隊員達にも徹底させてくださいよ」
「かははっ!!覚えてたらな!!」
ルノさんもうんざりとした表情で隊長を睨んでいる。
「しかしあんな高級な石鹸どうしたんだ?ルノが血塗れだったって事はギルドで小遣い稼ぎしてきたのか」
「ええ。ついでに瘴気溜まりも幾つか潰しておきました」
石鹸はカピカピにひび割れ、泡立たない粗末な物を俺のお手製スキルで強化したんだけど、俺の力を見たルノさんにその力はまだ皆には秘密にしておこうかと言われたので黙って二人の話を聞いている。
「結構出来てたか?」
「そうですね……街の近くに3箇所、カラナータの森の中に5箇所出来ていました」
「街の中でも今日1箇所見つかった。昨日も2個潰したばかりだというのに……ちと多いな……」
「西区の事があったばかりですからね。人の心が荒むのも仕方ないでしょう。ギルドの依頼でなくとも街の外まで見回りの範囲を広げた方が良さそうですね」
何の事かさっぱりだけど仕事の話の様なので邪魔はせずにおこうと思ったのだが……空気を読まずにお腹が鳴った。
「晩御飯がまだだったね。ごめんごめん、もう上がろうか」
「おう。いっぱい食えよ?そんなガリガリじゃあ街を歩けるのはまだまだ先だな」
隊長の前じゃあ副隊長だって細身だろう、俺の腰幅ぐらいあるんじゃないかと思う隊長の二の腕を睨んで湯から上がった。
ーーーーーー
食堂もあるけれど、そのまま真っすぐルノさんの部屋へ向かったと言う事は、食堂もお風呂と大差無い状況なのだろう。
お風呂から上がり、どっと疲れの出た体で掃除をする気力は無くて、朝や昼と同じ様に二人で向かい合って食事を取った。
「ギルドとか小遣い稼ぎって話をしてましたけどギルドがあるんですか?」
「小さいけど一応ね」
「ギルドって言えばあれですか?冒険者がいて依頼があって素材とか買い取ってくれたりするんですよね?ルノさん依頼を受けていたんですか?ルノさん冒険者ですか?」
冒険者!! ギルド!! 異世界転生っぽい!!
わくわくとルノさんの話の続きを待ったけど、一人にしてごめんねと謝られて話は区切られた。
留守番中何をしてたかとか大丈夫だからもっとギルドの話を聞かせて欲しかった。
可愛くて元気が空回りしてる受付のお姉さんとかいるのかなぁ……妄想にニヤけているとガサガサとルノさんは紙袋を取り出した。
「部屋を片付けてくれたお礼だよ。お風呂まで綺麗にしてもらってこれぐらいじゃ足りないけどね」
「え?あ!!ありがとうございます!!」
紙袋を開けてみると中には白い肩掛けの鞄が入っていた。昔の映画とかで中学生が掛けていそうなシンプルなそれ。
「鞄だ!!これで外へお出掛け出来ますね」
「中庭までならね」
笑顔に笑顔で返された。
外出許可をくれないのに何故に鞄のプレゼント?
「収納箱が欲しいと言ってただろう?これは魔力を必要としない様に作られているからシーナでも扱えるよ。小さいけど大切に使ってくれたら嬉しいな」
「へ?」
貰った鞄を鑑定してみると
『収納鞄……子ども用の小型の異空間収納。時間経過普通。容量小』
「ルノさんこれ!!」
ルノさんは笑顔で頷いた。
小遣い稼ぎってこれを買う為にギルドでアルバイトをしてきてくれたんだ。
カアッと胸の中が沸騰したみたいに熱くなる。
「大切にします……絶対に……」
貰ったばかりの鞄を胸に強く抱きしめた。
とばっちり転生だったけど、カッコいい女戦士はいないけど、いきなり死ぬ目にあったけど、尊敬の眼差しを向けてくる女魔法使いはいないけど、初キスが男だったけど、美人のエルフはいないけど、可愛い獣人娘はいないけど、外出させて貰えないぐらい最悪の治安だけど……こんな異世界も悪くないんじゃないかなと感じた。
ーーーーーー
ベッドをどちらが使うかという言い合いは俺が押し切られた形で俺がベッドを使うことになった。
俺の方が体が小さいのだからソファーで十分なのに……昼寝をした事で寝付けない中、薄闇みに目を凝らすとルノさんはせっかく片付けたのにソファーには横にならず、座ったままで黙っている。
野営中などの為、座って寝る訓練は受けていると言っていたけどあれは熟睡できているのだろうか?
寝返りを打ってルノさんに背中を向けると自分のステータスを呼び出した。
レベルが上がってないので数値的なものは何も上がってないけれど『持ち物』に『収納鞄』が増えた。
実はさっき気付いていたんだけど、何とこの収納鞄『お手製可』の文字が付いているのだ。
せっかく貰った収納鞄をいきなり『お手製』にしてしまって良いものかと悩んだけど、やっぱり機能は高い方が良い。
こっそりお手製にしようと枕元に置いておいた鞄を、毛布の中に静かに引っ張りこんだ。
ただの雑巾がお手製にしただけであの能力、カピカピで泡立たず、なんかザラザラして油臭かった石鹸も滑らかな泡を立てる香り高い石鹸に変わり、あの隊長の垢を綺麗さっぱり落とす驚異の洗浄力も見せた。それなのに肌に優しい成分配合の特典付き。
この収納鞄はどうなってしまうのだろうと期待に胸が高まる。
お手製した時、光を発するから毛布でしっかり隠し、ドキドキしながら『お手製可』をタッチした。
一瞬の発光のあと手元に残った収納鞄に鑑定をかけると……きました!!
『お手製の収納鞄……物を無限に収納できる鍵付きの収納鞄。時間経過無し』
容量は無限大になって時間経過もなくなった。しかも……鑑定すると中身の確認も出来る。
まだ中身はお手製の雑巾(S)×1しか無いけれど、一覧になっている雑巾の下にある『取り出し』の文字をタッチすると雑巾が目の前に現れた。異世界転生者の基本、チート級アイテムボックスを手に入れた。
ルノさんには感謝しかないなぁ。
俺がこうして生きているのもそうだけど、異世界で生きていく為の能力を手に入れていけるのも全部ルノさんのおかげだ。
戦闘は全く出来そうにないけど、ルノさんの役に立ちたい……せめてルノさんの生活向上のお手伝いができたらな。
料理に関するステータスだって高いんだし、料理なんてレンチンとかのレトルトばっかりだったけど何らかの力で上手くやれるんじゃないかと期待している。
予算に余裕はないと言っていたからお風呂も食事も詰所で済ます事ができたらきっと生活だって楽になるはず……女神様……期待しています。
出来上がったばかりのお手製収納鞄を抱きしめて、ゆっくりと目を閉じた。
「お褒めに預かり光栄です……」
ゆったりと湯船に浸かる隊長の横で俺はぐったりと浴槽の縁に凭れていた。
疲れた……。
いきなり泥だらけの体で湯船に浸かろうとした隊長を引き止め、面倒臭がるのを言い聞かせながら体を洗わせるのに相当な労力を要した。
「そう思うならシーナに言われた通りまずは汚れを落として湯船に浸かるとこれからも守って、隊員達にも徹底させてくださいよ」
「かははっ!!覚えてたらな!!」
ルノさんもうんざりとした表情で隊長を睨んでいる。
「しかしあんな高級な石鹸どうしたんだ?ルノが血塗れだったって事はギルドで小遣い稼ぎしてきたのか」
「ええ。ついでに瘴気溜まりも幾つか潰しておきました」
石鹸はカピカピにひび割れ、泡立たない粗末な物を俺のお手製スキルで強化したんだけど、俺の力を見たルノさんにその力はまだ皆には秘密にしておこうかと言われたので黙って二人の話を聞いている。
「結構出来てたか?」
「そうですね……街の近くに3箇所、カラナータの森の中に5箇所出来ていました」
「街の中でも今日1箇所見つかった。昨日も2個潰したばかりだというのに……ちと多いな……」
「西区の事があったばかりですからね。人の心が荒むのも仕方ないでしょう。ギルドの依頼でなくとも街の外まで見回りの範囲を広げた方が良さそうですね」
何の事かさっぱりだけど仕事の話の様なので邪魔はせずにおこうと思ったのだが……空気を読まずにお腹が鳴った。
「晩御飯がまだだったね。ごめんごめん、もう上がろうか」
「おう。いっぱい食えよ?そんなガリガリじゃあ街を歩けるのはまだまだ先だな」
隊長の前じゃあ副隊長だって細身だろう、俺の腰幅ぐらいあるんじゃないかと思う隊長の二の腕を睨んで湯から上がった。
ーーーーーー
食堂もあるけれど、そのまま真っすぐルノさんの部屋へ向かったと言う事は、食堂もお風呂と大差無い状況なのだろう。
お風呂から上がり、どっと疲れの出た体で掃除をする気力は無くて、朝や昼と同じ様に二人で向かい合って食事を取った。
「ギルドとか小遣い稼ぎって話をしてましたけどギルドがあるんですか?」
「小さいけど一応ね」
「ギルドって言えばあれですか?冒険者がいて依頼があって素材とか買い取ってくれたりするんですよね?ルノさん依頼を受けていたんですか?ルノさん冒険者ですか?」
冒険者!! ギルド!! 異世界転生っぽい!!
わくわくとルノさんの話の続きを待ったけど、一人にしてごめんねと謝られて話は区切られた。
留守番中何をしてたかとか大丈夫だからもっとギルドの話を聞かせて欲しかった。
可愛くて元気が空回りしてる受付のお姉さんとかいるのかなぁ……妄想にニヤけているとガサガサとルノさんは紙袋を取り出した。
「部屋を片付けてくれたお礼だよ。お風呂まで綺麗にしてもらってこれぐらいじゃ足りないけどね」
「え?あ!!ありがとうございます!!」
紙袋を開けてみると中には白い肩掛けの鞄が入っていた。昔の映画とかで中学生が掛けていそうなシンプルなそれ。
「鞄だ!!これで外へお出掛け出来ますね」
「中庭までならね」
笑顔に笑顔で返された。
外出許可をくれないのに何故に鞄のプレゼント?
「収納箱が欲しいと言ってただろう?これは魔力を必要としない様に作られているからシーナでも扱えるよ。小さいけど大切に使ってくれたら嬉しいな」
「へ?」
貰った鞄を鑑定してみると
『収納鞄……子ども用の小型の異空間収納。時間経過普通。容量小』
「ルノさんこれ!!」
ルノさんは笑顔で頷いた。
小遣い稼ぎってこれを買う為にギルドでアルバイトをしてきてくれたんだ。
カアッと胸の中が沸騰したみたいに熱くなる。
「大切にします……絶対に……」
貰ったばかりの鞄を胸に強く抱きしめた。
とばっちり転生だったけど、カッコいい女戦士はいないけど、いきなり死ぬ目にあったけど、尊敬の眼差しを向けてくる女魔法使いはいないけど、初キスが男だったけど、美人のエルフはいないけど、可愛い獣人娘はいないけど、外出させて貰えないぐらい最悪の治安だけど……こんな異世界も悪くないんじゃないかなと感じた。
ーーーーーー
ベッドをどちらが使うかという言い合いは俺が押し切られた形で俺がベッドを使うことになった。
俺の方が体が小さいのだからソファーで十分なのに……昼寝をした事で寝付けない中、薄闇みに目を凝らすとルノさんはせっかく片付けたのにソファーには横にならず、座ったままで黙っている。
野営中などの為、座って寝る訓練は受けていると言っていたけどあれは熟睡できているのだろうか?
寝返りを打ってルノさんに背中を向けると自分のステータスを呼び出した。
レベルが上がってないので数値的なものは何も上がってないけれど『持ち物』に『収納鞄』が増えた。
実はさっき気付いていたんだけど、何とこの収納鞄『お手製可』の文字が付いているのだ。
せっかく貰った収納鞄をいきなり『お手製』にしてしまって良いものかと悩んだけど、やっぱり機能は高い方が良い。
こっそりお手製にしようと枕元に置いておいた鞄を、毛布の中に静かに引っ張りこんだ。
ただの雑巾がお手製にしただけであの能力、カピカピで泡立たず、なんかザラザラして油臭かった石鹸も滑らかな泡を立てる香り高い石鹸に変わり、あの隊長の垢を綺麗さっぱり落とす驚異の洗浄力も見せた。それなのに肌に優しい成分配合の特典付き。
この収納鞄はどうなってしまうのだろうと期待に胸が高まる。
お手製した時、光を発するから毛布でしっかり隠し、ドキドキしながら『お手製可』をタッチした。
一瞬の発光のあと手元に残った収納鞄に鑑定をかけると……きました!!
『お手製の収納鞄……物を無限に収納できる鍵付きの収納鞄。時間経過無し』
容量は無限大になって時間経過もなくなった。しかも……鑑定すると中身の確認も出来る。
まだ中身はお手製の雑巾(S)×1しか無いけれど、一覧になっている雑巾の下にある『取り出し』の文字をタッチすると雑巾が目の前に現れた。異世界転生者の基本、チート級アイテムボックスを手に入れた。
ルノさんには感謝しかないなぁ。
俺がこうして生きているのもそうだけど、異世界で生きていく為の能力を手に入れていけるのも全部ルノさんのおかげだ。
戦闘は全く出来そうにないけど、ルノさんの役に立ちたい……せめてルノさんの生活向上のお手伝いができたらな。
料理に関するステータスだって高いんだし、料理なんてレンチンとかのレトルトばっかりだったけど何らかの力で上手くやれるんじゃないかと期待している。
予算に余裕はないと言っていたからお風呂も食事も詰所で済ます事ができたらきっと生活だって楽になるはず……女神様……期待しています。
出来上がったばかりのお手製収納鞄を抱きしめて、ゆっくりと目を閉じた。
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