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初めての従者
下僕にしてください
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お腹も膨れて満足したし……さて後片付けだと立ち上がった。
「コマンドから『調理を終了』を選べばいいよ。次料理する時には全部片付けられてるから……」
袖を捲る俺にテーブルに突っ伏したまま勝利君が力ない声で教えてくれた。
「へぇ……便利だね」
『調理を終了』を選ぶと、一瞬でキッチンが消えた。
そしてダイニングテーブルも一緒に消えてテーブルに突っ伏していた勝利君は地面に落ちた。
「……ミャオちゃん……消すときは一言、言って欲しいなぁ」
「ごめん、消すよ」
「ミャオちゃんが冷たい……」
倒れた恰好のままのわざとらしく「シクシク……」と声を上げる勝利君を置いて、街へ続く矢印の方向に体を向けた。
「俺としては戦闘回数増えるの嬉しいけど、夜はエンカウント率上がるよ?今日は一日中歩いたんだし、野営した方が良いんじゃない?」
……成る程。
→『野営』
ベッドの上に体を投げ出した。
「ミャオちゃん……だから、一言声を掛けてよ……」
勝利君がベッドに上がって来た。
触れていないうちに野営をすれば周りから見えなくなると思ってわざと声を掛けなかったのに。
「入れるんだ……」
「従者接続してるからね……残念でした」
ベッと舌を出して俺の横に体を投げ出した。
体をねじって距離を取ろうと移動した手を掴まれる。
「警戒しなくても、ミャオちゃんが『接続』を選択しない限り手を出せないから……」
またそうやって騙すつもりなんじゃ……。
「そこは信じてよ……俺、ちゃんと我慢してるでしょ?」
上に乗っかられて組み敷かれる。
この体勢で何を信じろとっ!?
体を暴れさせてもびくともしない。
勝利君の顔がゆっくり近づいて来る。
「しょ……勝利君!!やだっ!!」
唇が触れる瞬間、バチッ!!と音がして勝利君の体が弾かれた。
「……ね?ミャオちゃんの意思無しじゃ接続できないから……安心して……」
ギュッと抱きしめられた。
これは平気なのか……基準はわからない。
「だから……そんな怯えた顔しないで……」
傷ついた様に寂しそうな笑顔を見せた。
うん……ちょっと、だいぶんアレだけど、俺を守ろうとしてくれているのだけは伝わる。
勝利君に無理矢理この世界に連れてこられた訳ではない……俺がいることに驚いていたから、勝利君にとってもこれはきっと予想外の出来事。
勝利君が悪い訳じゃないのに助けてもらっておいて俺は……。
「ごめん…勝「ミャオちゃんと早くまた接続したいっ!!こんな事なら魔王になって陵辱側に回れば良かったぁぁぁっ!!」
パシーンッ!!
乾いた音が林の中にこだました。
「ミャオちゃん……お風呂入る?」
ジト目で勝利君を睨み付ける。
「や……疚しい気持ちはありませんっ!!疲れてるからお風呂入りたいでしょ?汚れ落としたいでしょ?」
……確かに御風呂には入りたい。
「お風呂なんてどうやって……ドラム缶?」
「無人島な訳じゃないから……これだよ」
勝利君は鞄を地面に置くとズルズルと大きなプールを引きずり出した。
「これに魔法で水を入れて、横の箱に魔法で火を燃やせばお湯になるんだよ。一緒に「一緒は嫌」
言い切る前にきっぱり断り、背を向けてベッドに寝転んだ。
「周りの木に幕を張るから!絶対覗きなんてしないから!!ミャオちゃんにゆっくり、さっぱりしてもらいたいだけだよ~!!」
ベッドに飛び乗って来た勝利君に小指を差し出されて……つい小指を絡めて指切りした。
入れると知ったら、やっぱり入りたいもん……お風呂。
勝利君の準備してくれた広々とした湯船?に体を沈めると、そのままとけ込んでしまいそうなほど体の疲れがほどけていく。
「はぁぁ……気持ち良い……」
「湯加減どう?」
「ん~ちょうど良い……ありがとう……勝利君」
勝利君は約束通り外で待ってくれている。
俺が『接続』を選ばなければ勝利君も口で言っている様な事は出来ないし、広いから一緒に入っても良かったかなぁ?
暖かいお風呂が心にも余裕を出来てくる。
初めどうなるもんかと思ったけど……勝利君がいてくれるから、これからの事に不安が無くなった。
勝利君自身が不安要素な部分では有るけど……。
「勝利君……本当にありがと」
「どう致しまして」
優しい声に耳がくすぐられた……その時……
『スライムが現れた』
目の前にウィンドウが飛び出した。
モンスター?こんな時に!?
「ミャオちゃん!行ける!?」
「待って、いま出る」
「ちょっと開けるよ?完全防水だから大丈夫、命令だけ出してくれる?」
幕の間からコントローラーを渡されて湯船につかったまま操作を始めた。
→『攻撃』『魔法』『道具』『防御』『逃げる』
敵の姿も勝利君の姿も見えないけどコマンドだけはくっきりと見える。
「ミャオちゃん、攻撃ね」
勝利君に指示されるまま『攻撃』を選んだ。
急いで湯船から上がり、体を拭いている間に戦闘は終わってしまっていた。
ドラゴンを一撃で倒すぐらいだからスライムぐらい……いや、勝利君の事だしスライムが最弱とは限らない。
戦闘は終わりかと思ったが、新しいウィンドウが現れた。
『スライムを倒した……スライムが下僕申請してきた。従えますか?』
『はい』 『いいえ』
取り敢えずローブだけを羽織って幕から顔を出した。
「勝利君……どうしたら良い?何か前と違う……」
そうして目を向けた勝利君の向こう側には……ぷるんぷるんの青いスライムが跳ねている。
「さ……触りたい!!」
下僕って従えるって仲間にするってこと?
ペットに出来るの!?
「従魔にする?従魔とは接続とかいらないから……安心してミャオちゃんの好きにして良いよ?」
勝利君の目が一瞬光った様な気がするけど……あのプニプニ、プルプルな体を思う存分つつきたい!!ぎゅううううっ!!てしたい!!
『はい』を選ぶと『誰の従魔にしますか?』と質問が返ってきた。
「あれ……勝利君の名前しかない……」
「従魔は従者のお供だから、1人に付き3匹の従魔がつけられる。俺を選んでくれれば大丈夫」
『スライムがショーリの従魔になりました』
「コマンドから『調理を終了』を選べばいいよ。次料理する時には全部片付けられてるから……」
袖を捲る俺にテーブルに突っ伏したまま勝利君が力ない声で教えてくれた。
「へぇ……便利だね」
『調理を終了』を選ぶと、一瞬でキッチンが消えた。
そしてダイニングテーブルも一緒に消えてテーブルに突っ伏していた勝利君は地面に落ちた。
「……ミャオちゃん……消すときは一言、言って欲しいなぁ」
「ごめん、消すよ」
「ミャオちゃんが冷たい……」
倒れた恰好のままのわざとらしく「シクシク……」と声を上げる勝利君を置いて、街へ続く矢印の方向に体を向けた。
「俺としては戦闘回数増えるの嬉しいけど、夜はエンカウント率上がるよ?今日は一日中歩いたんだし、野営した方が良いんじゃない?」
……成る程。
→『野営』
ベッドの上に体を投げ出した。
「ミャオちゃん……だから、一言声を掛けてよ……」
勝利君がベッドに上がって来た。
触れていないうちに野営をすれば周りから見えなくなると思ってわざと声を掛けなかったのに。
「入れるんだ……」
「従者接続してるからね……残念でした」
ベッと舌を出して俺の横に体を投げ出した。
体をねじって距離を取ろうと移動した手を掴まれる。
「警戒しなくても、ミャオちゃんが『接続』を選択しない限り手を出せないから……」
またそうやって騙すつもりなんじゃ……。
「そこは信じてよ……俺、ちゃんと我慢してるでしょ?」
上に乗っかられて組み敷かれる。
この体勢で何を信じろとっ!?
体を暴れさせてもびくともしない。
勝利君の顔がゆっくり近づいて来る。
「しょ……勝利君!!やだっ!!」
唇が触れる瞬間、バチッ!!と音がして勝利君の体が弾かれた。
「……ね?ミャオちゃんの意思無しじゃ接続できないから……安心して……」
ギュッと抱きしめられた。
これは平気なのか……基準はわからない。
「だから……そんな怯えた顔しないで……」
傷ついた様に寂しそうな笑顔を見せた。
うん……ちょっと、だいぶんアレだけど、俺を守ろうとしてくれているのだけは伝わる。
勝利君に無理矢理この世界に連れてこられた訳ではない……俺がいることに驚いていたから、勝利君にとってもこれはきっと予想外の出来事。
勝利君が悪い訳じゃないのに助けてもらっておいて俺は……。
「ごめん…勝「ミャオちゃんと早くまた接続したいっ!!こんな事なら魔王になって陵辱側に回れば良かったぁぁぁっ!!」
パシーンッ!!
乾いた音が林の中にこだました。
「ミャオちゃん……お風呂入る?」
ジト目で勝利君を睨み付ける。
「や……疚しい気持ちはありませんっ!!疲れてるからお風呂入りたいでしょ?汚れ落としたいでしょ?」
……確かに御風呂には入りたい。
「お風呂なんてどうやって……ドラム缶?」
「無人島な訳じゃないから……これだよ」
勝利君は鞄を地面に置くとズルズルと大きなプールを引きずり出した。
「これに魔法で水を入れて、横の箱に魔法で火を燃やせばお湯になるんだよ。一緒に「一緒は嫌」
言い切る前にきっぱり断り、背を向けてベッドに寝転んだ。
「周りの木に幕を張るから!絶対覗きなんてしないから!!ミャオちゃんにゆっくり、さっぱりしてもらいたいだけだよ~!!」
ベッドに飛び乗って来た勝利君に小指を差し出されて……つい小指を絡めて指切りした。
入れると知ったら、やっぱり入りたいもん……お風呂。
勝利君の準備してくれた広々とした湯船?に体を沈めると、そのままとけ込んでしまいそうなほど体の疲れがほどけていく。
「はぁぁ……気持ち良い……」
「湯加減どう?」
「ん~ちょうど良い……ありがとう……勝利君」
勝利君は約束通り外で待ってくれている。
俺が『接続』を選ばなければ勝利君も口で言っている様な事は出来ないし、広いから一緒に入っても良かったかなぁ?
暖かいお風呂が心にも余裕を出来てくる。
初めどうなるもんかと思ったけど……勝利君がいてくれるから、これからの事に不安が無くなった。
勝利君自身が不安要素な部分では有るけど……。
「勝利君……本当にありがと」
「どう致しまして」
優しい声に耳がくすぐられた……その時……
『スライムが現れた』
目の前にウィンドウが飛び出した。
モンスター?こんな時に!?
「ミャオちゃん!行ける!?」
「待って、いま出る」
「ちょっと開けるよ?完全防水だから大丈夫、命令だけ出してくれる?」
幕の間からコントローラーを渡されて湯船につかったまま操作を始めた。
→『攻撃』『魔法』『道具』『防御』『逃げる』
敵の姿も勝利君の姿も見えないけどコマンドだけはくっきりと見える。
「ミャオちゃん、攻撃ね」
勝利君に指示されるまま『攻撃』を選んだ。
急いで湯船から上がり、体を拭いている間に戦闘は終わってしまっていた。
ドラゴンを一撃で倒すぐらいだからスライムぐらい……いや、勝利君の事だしスライムが最弱とは限らない。
戦闘は終わりかと思ったが、新しいウィンドウが現れた。
『スライムを倒した……スライムが下僕申請してきた。従えますか?』
『はい』 『いいえ』
取り敢えずローブだけを羽織って幕から顔を出した。
「勝利君……どうしたら良い?何か前と違う……」
そうして目を向けた勝利君の向こう側には……ぷるんぷるんの青いスライムが跳ねている。
「さ……触りたい!!」
下僕って従えるって仲間にするってこと?
ペットに出来るの!?
「従魔にする?従魔とは接続とかいらないから……安心してミャオちゃんの好きにして良いよ?」
勝利君の目が一瞬光った様な気がするけど……あのプニプニ、プルプルな体を思う存分つつきたい!!ぎゅううううっ!!てしたい!!
『はい』を選ぶと『誰の従魔にしますか?』と質問が返ってきた。
「あれ……勝利君の名前しかない……」
「従魔は従者のお供だから、1人に付き3匹の従魔がつけられる。俺を選んでくれれば大丈夫」
『スライムがショーリの従魔になりました』
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