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第41話 桜舞う夜の告白
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【Side 智也】
――俺は少し浮かれていたのかもしれない。
確かに、就活が本格化してからは、今までにない程に多忙を極めていた。疲れ果て、死んだように眠りにつくような日も、大学に行けない日も、行ったところで彼女に会えない日もあった。
でも、就活のほうは、説明会への参加や、履歴書・エントリーシートの作成を頑張り、面接のためにとあちこちへ飛び回った結果、本命はこれからとはいえ幾つかの内定をもらうこともできて。
大学の研究もとりあえず順調。好きな女の子とも、会えれば満更でもない雰囲気が流れるのである。少し距離を縮めて接しても嫌がる素振りはなく、むしろ可愛い反応が返ってくるのだ。
正に順風満帆と言っていい。
忙しさからくる多少の疲れすら充足感に変わるような日々に、俺は柄にもなく心を浮つかせていた。
ただ、そんな中、告白のタイミングだけが悩みの種で。
本当は、ちゃんと本命から内定をもらい、もう少し自分に自信を付けてから告白したいと思っていた。大事にしたい存在だからこそ、彼女に見合った自分になってから告白したいと、そう思っていた。
しかし、最近の市川は前にも増して可愛いのだ。
一緒に歩いていれば、嫌でも野郎どものムカつく視線に気付く程。
この調子では、俺が告白する前に他の誰かに取られてしまうのではないかと思わせる程。
俺の気持ちを知ってか知らずか、会う度にその可愛さを増していた。
だから、そろそろどうにかしなければと。ただの先輩後輩の仲から早く脱しなければと。浮かれつつも気ばかりが逸るようになっていた頃のこと。大学では新学期が始まり、市川が正式に俺の下に就くことになった。
――それは、研究室のみんなで市川の歓迎会をしたその帰り。大学に咲く桜の花が美しくて、二人で並んで見た後の事だった。
アルコールが入っているせいか、フワフワとした空気を纏う彼女がまた可愛くて。
桜の花びらが舞う中、外灯に照らされる彼女の横顔がとても綺麗で。
(もう少しだけ、一緒にいたい……)
本当はそう思っていた時だった。
彼女を好きだと思う気持ちが溢れ、思わず口から滑り落ちそうになったので。
(あと少し。あと少し頑張れば夏には結果が出る。……絶対取る。それから、ちゃんと告白しよう)
慌ててそう自分に言い聞かせて立ち上がり、彼女の手を引いて立たせようとした、その瞬間だった。
「だって、ほら、あんまり遅いと親御さんが心配する」
本当に、ただ何気なく言った言葉。
それを聞いた彼女の表情がガラリと変わり、ドキリとして。
「……市川?」
呟くように名前を呼ぶと、彼女がキュッと俺の手を握り締めた。
*
「……いないんです」
「……え?」
「私、親がいないんです。……三年前の冬に、……事故で亡くしてて」
俯きながら、泣きそうな声で、絞り出すように紡がれた言葉。
その言葉の意味を理解した瞬間、ザッと血の気が引いた。
(まさか。……そんな……)
頭の中が真っ白になり、言葉が出ない。
(だって……)
いつもニコニコしている彼女だった。
健気で、一生懸命で、真面目で。確かに少し何もかもを一人でやろうとしなければと思っている節があるが、でもそれすらも、俺が側にいて見守らなければと思わせるような。そんな、普通の可愛い女の子。
(親がいない? だって、そんな素振り今まで全然……。三年前の、冬?)
そこまで考えた時、とある日の彼女の様子を思い出した。
それまでも、冬休み前の試験等で慌しい日々を過ごす中、たまに顔を合わせる度にどことなく元気が無くなっていっているような気はしていたのだ。
それでも表情はニコニコとしていて。会話をしてもいつも通りで。だから、ただ単に試験で忙しく疲れているだけなのだろうと思っていた。
――でも、確かにあの日は様子が変だった。
特別講義があった日の昼休み、俺は研究室まで本を取りに行った。
研究室には彼女がいて、ちょうどドアを開けた時に鉢合わせ、互いに驚いたのを覚えている。
その時に会った彼女は顔色が明らかに悪く、今にも倒れてしまいそうで。思わず声をかけたが、まるで俺を避けるかのように帰って行ったのだ。
(あれは……、あの日はたしか……、)
「クリスマス・イヴ……?」
俺のその言葉に、俯く彼女の手がビクリと震えた。
「……私が高二の時のイヴでした。ウチの両親、毎年イヴだけは二人でデートしていて、私も、いつまでも仲が良い父と母を羨ましいと思ってた……」
震える声で紡がれる言葉。
「だからその年も、夕方から出かけて行く二人を笑って見送ったんです。いつもみたいに、あんまり遅くならない内に帰ってきてねって。家族のクリスマスは明日しようねって。……だから、ちゃんとケーキ買ってきてねって……。私、ッ、言ったのに…………っ」
泣かせたかった訳じゃない。
悲しませたかった訳じゃないのに。
震える彼女の手と声が悲しくて、声をかけたいのに言葉が出てこない。
大事にするどころか、彼女の弱さに気付けないまま悲しませて、それを慰めることもできない自分。
(……くそっ! なにやってんだよ俺!)
そんな自分の不甲斐なさに苛立ちすら覚えた瞬間。
「お酒入ると、ダメですね。……ごめ、なさ……、急に、こんな話……」
彼女が顔を上げてそんな事を言うから。
目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうなのに。
それでも平気なフリをしようと、笑顔を作ろうとするから。
俺は堪らず手を伸ばし、震える彼女を抱き締めた。
「……ごめん。辛いこと思い出させた。……本当に、ごめん。……市川は一人で頑張ってたんだな。大変だったろ」
俺が謝れば、腕の中の彼女が首を横に振る。
「……いえ、……大丈夫です。ウチ、隣に幼なじみが住んでるんですけど。……その子がすごく優しくて、ご両親も良い方たちで。昔から家族ぐるみで仲良くさせてもらってて、……今もすごく親身になってくれてて。
その時はまだ未成年だったから、なんかやっぱり色んな話が出たみたいなんですが、……とりあえず、何も心配しなくていいからって。
大学も、諦めないといけないのかなって思ってたのを、気持ちの整理をする時間が必要だからって。……後押ししてくれて、手続きとかも手伝ってくれて」
彼女がポツリポツリと話す。その内容を聞きながら、今まで決して一人だった訳じゃなく、ちゃんと支えてくれる人たちがいたのだという事に安堵した。
「……ただ、私、なんにも返せてないなって、たまにすごく申し訳なくなるんです。してもらうばっかりで、私からは何もできていないなって。立ち直ることも上手く出来なくて、迷惑かけてばっかりで。両親にだって、親孝行とか全然できなかったのを、今になってすごく後悔してる……」
感情のままに紡がれる言葉が、途中消え入る。
初めて抱き締めた華奢な身体。
そのあまりの儚さに、強く抱き締めることにすら躊躇った瞬間、「すごく救われているんです」と、ふと、彼女が言葉を続けた。
「幼なじみ……、知佳っていうんですけど、この前の命日も、私のほう大事だからってイヴなのに一緒に居てくれて。
もちろん、私も知佳のこと大事なんですよ。幸せになってほしいって思う。だからそのためなら、私にできることは何だってしようと思ってた。……ちゃんと思ってたんです。……それなのに。
知佳、最近恋をしてるみたいなんですよね。だから、私、応援したいんです。相手の人も良い人みたいだし。……すごく応援したい。…………でも……、応援したいのに、……ッ……寂しくて……。先輩たちも来年にはいなくなっちゃうのに、知佳までいなくなっちゃうみたいで、……すごく寂しくて…………」
そう言う彼女の声が震えていて。
切なくて、俺まで泣きそうになって。
彼女を抱き締める腕に、少しだけ、力が込もった。
「……俺がいる」
ずっと伝えたい言葉があった。
ずっと伝えたい想いがあった。
それをようやく切り出せた今、俺の背中に回された彼女の手が、キュッと握り締められる。
「俺が一人にしない。学生だし、ガキで、まだなんの力もなくて頼りないかもしれないけど。……ずっと側にいて、必ず護る」
そしてその言葉を言うために、俺はひとつ、息を吸った。
「…………好きだ」
風が吹いて、桜の花びらが舞い散る中。
彼女は震えながら、俺の腕の中で、ただ一つ小さく頷いた。
――俺は少し浮かれていたのかもしれない。
確かに、就活が本格化してからは、今までにない程に多忙を極めていた。疲れ果て、死んだように眠りにつくような日も、大学に行けない日も、行ったところで彼女に会えない日もあった。
でも、就活のほうは、説明会への参加や、履歴書・エントリーシートの作成を頑張り、面接のためにとあちこちへ飛び回った結果、本命はこれからとはいえ幾つかの内定をもらうこともできて。
大学の研究もとりあえず順調。好きな女の子とも、会えれば満更でもない雰囲気が流れるのである。少し距離を縮めて接しても嫌がる素振りはなく、むしろ可愛い反応が返ってくるのだ。
正に順風満帆と言っていい。
忙しさからくる多少の疲れすら充足感に変わるような日々に、俺は柄にもなく心を浮つかせていた。
ただ、そんな中、告白のタイミングだけが悩みの種で。
本当は、ちゃんと本命から内定をもらい、もう少し自分に自信を付けてから告白したいと思っていた。大事にしたい存在だからこそ、彼女に見合った自分になってから告白したいと、そう思っていた。
しかし、最近の市川は前にも増して可愛いのだ。
一緒に歩いていれば、嫌でも野郎どものムカつく視線に気付く程。
この調子では、俺が告白する前に他の誰かに取られてしまうのではないかと思わせる程。
俺の気持ちを知ってか知らずか、会う度にその可愛さを増していた。
だから、そろそろどうにかしなければと。ただの先輩後輩の仲から早く脱しなければと。浮かれつつも気ばかりが逸るようになっていた頃のこと。大学では新学期が始まり、市川が正式に俺の下に就くことになった。
――それは、研究室のみんなで市川の歓迎会をしたその帰り。大学に咲く桜の花が美しくて、二人で並んで見た後の事だった。
アルコールが入っているせいか、フワフワとした空気を纏う彼女がまた可愛くて。
桜の花びらが舞う中、外灯に照らされる彼女の横顔がとても綺麗で。
(もう少しだけ、一緒にいたい……)
本当はそう思っていた時だった。
彼女を好きだと思う気持ちが溢れ、思わず口から滑り落ちそうになったので。
(あと少し。あと少し頑張れば夏には結果が出る。……絶対取る。それから、ちゃんと告白しよう)
慌ててそう自分に言い聞かせて立ち上がり、彼女の手を引いて立たせようとした、その瞬間だった。
「だって、ほら、あんまり遅いと親御さんが心配する」
本当に、ただ何気なく言った言葉。
それを聞いた彼女の表情がガラリと変わり、ドキリとして。
「……市川?」
呟くように名前を呼ぶと、彼女がキュッと俺の手を握り締めた。
*
「……いないんです」
「……え?」
「私、親がいないんです。……三年前の冬に、……事故で亡くしてて」
俯きながら、泣きそうな声で、絞り出すように紡がれた言葉。
その言葉の意味を理解した瞬間、ザッと血の気が引いた。
(まさか。……そんな……)
頭の中が真っ白になり、言葉が出ない。
(だって……)
いつもニコニコしている彼女だった。
健気で、一生懸命で、真面目で。確かに少し何もかもを一人でやろうとしなければと思っている節があるが、でもそれすらも、俺が側にいて見守らなければと思わせるような。そんな、普通の可愛い女の子。
(親がいない? だって、そんな素振り今まで全然……。三年前の、冬?)
そこまで考えた時、とある日の彼女の様子を思い出した。
それまでも、冬休み前の試験等で慌しい日々を過ごす中、たまに顔を合わせる度にどことなく元気が無くなっていっているような気はしていたのだ。
それでも表情はニコニコとしていて。会話をしてもいつも通りで。だから、ただ単に試験で忙しく疲れているだけなのだろうと思っていた。
――でも、確かにあの日は様子が変だった。
特別講義があった日の昼休み、俺は研究室まで本を取りに行った。
研究室には彼女がいて、ちょうどドアを開けた時に鉢合わせ、互いに驚いたのを覚えている。
その時に会った彼女は顔色が明らかに悪く、今にも倒れてしまいそうで。思わず声をかけたが、まるで俺を避けるかのように帰って行ったのだ。
(あれは……、あの日はたしか……、)
「クリスマス・イヴ……?」
俺のその言葉に、俯く彼女の手がビクリと震えた。
「……私が高二の時のイヴでした。ウチの両親、毎年イヴだけは二人でデートしていて、私も、いつまでも仲が良い父と母を羨ましいと思ってた……」
震える声で紡がれる言葉。
「だからその年も、夕方から出かけて行く二人を笑って見送ったんです。いつもみたいに、あんまり遅くならない内に帰ってきてねって。家族のクリスマスは明日しようねって。……だから、ちゃんとケーキ買ってきてねって……。私、ッ、言ったのに…………っ」
泣かせたかった訳じゃない。
悲しませたかった訳じゃないのに。
震える彼女の手と声が悲しくて、声をかけたいのに言葉が出てこない。
大事にするどころか、彼女の弱さに気付けないまま悲しませて、それを慰めることもできない自分。
(……くそっ! なにやってんだよ俺!)
そんな自分の不甲斐なさに苛立ちすら覚えた瞬間。
「お酒入ると、ダメですね。……ごめ、なさ……、急に、こんな話……」
彼女が顔を上げてそんな事を言うから。
目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうなのに。
それでも平気なフリをしようと、笑顔を作ろうとするから。
俺は堪らず手を伸ばし、震える彼女を抱き締めた。
「……ごめん。辛いこと思い出させた。……本当に、ごめん。……市川は一人で頑張ってたんだな。大変だったろ」
俺が謝れば、腕の中の彼女が首を横に振る。
「……いえ、……大丈夫です。ウチ、隣に幼なじみが住んでるんですけど。……その子がすごく優しくて、ご両親も良い方たちで。昔から家族ぐるみで仲良くさせてもらってて、……今もすごく親身になってくれてて。
その時はまだ未成年だったから、なんかやっぱり色んな話が出たみたいなんですが、……とりあえず、何も心配しなくていいからって。
大学も、諦めないといけないのかなって思ってたのを、気持ちの整理をする時間が必要だからって。……後押ししてくれて、手続きとかも手伝ってくれて」
彼女がポツリポツリと話す。その内容を聞きながら、今まで決して一人だった訳じゃなく、ちゃんと支えてくれる人たちがいたのだという事に安堵した。
「……ただ、私、なんにも返せてないなって、たまにすごく申し訳なくなるんです。してもらうばっかりで、私からは何もできていないなって。立ち直ることも上手く出来なくて、迷惑かけてばっかりで。両親にだって、親孝行とか全然できなかったのを、今になってすごく後悔してる……」
感情のままに紡がれる言葉が、途中消え入る。
初めて抱き締めた華奢な身体。
そのあまりの儚さに、強く抱き締めることにすら躊躇った瞬間、「すごく救われているんです」と、ふと、彼女が言葉を続けた。
「幼なじみ……、知佳っていうんですけど、この前の命日も、私のほう大事だからってイヴなのに一緒に居てくれて。
もちろん、私も知佳のこと大事なんですよ。幸せになってほしいって思う。だからそのためなら、私にできることは何だってしようと思ってた。……ちゃんと思ってたんです。……それなのに。
知佳、最近恋をしてるみたいなんですよね。だから、私、応援したいんです。相手の人も良い人みたいだし。……すごく応援したい。…………でも……、応援したいのに、……ッ……寂しくて……。先輩たちも来年にはいなくなっちゃうのに、知佳までいなくなっちゃうみたいで、……すごく寂しくて…………」
そう言う彼女の声が震えていて。
切なくて、俺まで泣きそうになって。
彼女を抱き締める腕に、少しだけ、力が込もった。
「……俺がいる」
ずっと伝えたい言葉があった。
ずっと伝えたい想いがあった。
それをようやく切り出せた今、俺の背中に回された彼女の手が、キュッと握り締められる。
「俺が一人にしない。学生だし、ガキで、まだなんの力もなくて頼りないかもしれないけど。……ずっと側にいて、必ず護る」
そしてその言葉を言うために、俺はひとつ、息を吸った。
「…………好きだ」
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