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7.監禁されちゃってる?

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「おい、おい、おい~!! 3日後、結婚式やるとかなんとか言ってた話は何処に消えたんだよー!?」

 ――あの『早く飲め』事件から3日はゆうに経っていた。

(……ってかあれ不味いと思いきや、旨かったんだよな。【大好評、ナマコ汁!!】なんつって~! あははは~!! ……ま、気分はスッゲー最悪だけどな)

 あの時、ナマコ汁をすっごいチューチュー飲んでお腹いっぱいになって。本当、いつ寝たのか覚えてないくらい本当ぐっすり寝た。
 今はそれから5日は経っていて、熱はすっかり下がった。……が、個人的にはボロ負けした気持ちだ。あんなものを、マジで旨かったとか今もまだ思ってるなんて……。俺、どっかおかしくなったのかもしれない。

(てか、アイツ……あれから来てないんだけど? 人を色々と傷物にしておいて……ふざけんな~! まさか、ガチで監禁する方向で行く――)


「貴方ね!? わたくしのシコシコ~ル様を奪った不届き者はっ!!」

 バァ~~ンッ!! と、いきなり扉が開き。装飾品をこれでもかと身体中につけまっている、ギラギラした女の人が入室して来た。

(はぁ? 誰だよ……? いや、その身体中についてるアクセサリー……色の統一とかを何でしないんだ? 赤、緑、青、黄色、ピンク…ぅうっ! 目が痛くなってきた……)

「ちょっと、聞いていますのっ!?」

 俺の目が、それらの色達に攻撃されていた時。そのカラフル人が俺の近くに来ていたようだ。

「へっ? ああ、う~ん……? そう言われましても……。シコ……様が、勝手にですね~」

 もう、シコ様って呼ぼう。フルネームとか呼びたくないし。言って欲しいって呼び名も、絶対に嫌だし。

「貴方っ!! 素晴らしきシコシコ~ル様がされることに不満がありますのっ!? 分かりましたわ! 貴方、下賤な非国民ですわね!?」
「はぁ、まぁ……。この国のこと知らないし~? え、じゃぁ……。カラフルさん、教えてくれる? 皆、ちゃんと教えてくれねぇ~んだよ」
「カ、カラフルさんって、誰よっ!?」
「君だけど、何かピッタリじゃない?」

 声にならない声を上げ、顔を真っ赤にしてキ~キ~怒ってて……ちょっと面白い。
 近所にいる犬、こんな感じだったわ~とか思ってたら。カラフルさんは、何だかんだ言いながらも、この国のことを教えてくれた――――。


(ふむ、ふむ……。やっぱり、シコ様は偉い御方らしい)

【ナマコ神】っていう存在がこの星を作り、その“神の化身”がシコ様であって。それで、この星を安定させてくれるというのだ。
 でも、そのシコ様にも欠点があり。この星を安定させる度、シコ様には体内に淀みが溜まる。

 だから、それを解消出来るのが【愛し人】と呼ばれる、シコ様と同時に産まれてくる“半身”だという。
 もし、シコ様自身を安定させなければ、いつかは【ナメコ神】という存在になり。この星の生命力を、全て吸い尽くしてしまうという。

(なんだそりゃ、だよな……? ナマコから、ナメコとか……ギャグだろ)

「あ~。じゃあ、もう1つ聞きたいんだけどさ……。シコ様って、気が付かれないように背後からザックリ攻撃出来る技……とか持ってたりする?」
「背後からザックリ? う~ん……。攻撃的なものでしたら、【海苔玉】と呼ばれるものがありますけど……。あ、シコシコ~ル様の神聖なナマコを後ろの何かに生やせば、スパッ切れるかもしれませんわ。刃のように、鋭く尖らせることも可能だと聞いたことがありますから」

(そ・れ・だ!! 【海苔玉】は多分、あの禍々しい黒い球体のことだろうから、取り敢えずは今は置いといて。また、ナマコだよ!いつも、ナマコだよ!!)

 本当、最悪だ。ナマコに腱を切られて、貞操も奪われて、その汁も飲まされて……。
 あの時、後ろに下がんなきゃ切られなかったのか……? と、後悔する。
 過去に戻りたい。いや、むしろ……産まれる前からやり直して、俺のこのポジションを羨んでいる誰かに譲りたい。

(ん? 待てよ……。そういや、何で今なんだ? 俺が拐われたって、俺がこの星のこと全く知らないくらいだから……本当に小さい時だよな?)

 前に聞いた時は、頭が混乱し過ぎて質問とか出来る気力もなかったけど……。よくよく考えるとおかしい。何で、今更になって連れ戻そうとしたんだろうか? もしかして……――俺の居場所、ずっと知らなかった?

 いま思うと、シコ様のナマコだと思われるものは。もう逃がさないって感じでずっとストーカーして来たし……。

(え、じゃあ……。逃げられる可能性も、ゼロじゃない? 何か、存在を隠せる……何かがあれば――――)


「ちょっと! 人に聞いておいて、何ポケッとしてますの!?」
「あっ、ごめん! ありがとう、カラフルさん。凄い優しい人なんだねっ! こんなに丁寧に教えてくれるなんて、いいセールスマンになれそうだよ」
「はぁ? それが何か分かりませんけど、褒め言葉なら大歓迎ですわよ!」

 顎を上にあげ、得意げな顔をしているカラフルさんは、なんだか悪い人には見えない。

 そして、カラフルさんは「あっ! お茶会の時間になってしまいますわ! では、ごきげんよう」と言って、慌ただしく部屋から去って行った。
 それを見て、この星の人達も色々と大変なんだな~と思い。あれ? カラフルさんって……一体、何しにし来たんだっけ? と、衝撃的な新事実により。カラフルさんがここに何をしに来たのか、俺はすっかり忘れてしまっていた。


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