ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

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119.同じくらいの幸せを(完結)

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「お前達、ごめんな~?」
『ピュ~! ピュ~!』
『きゅいっ! きゅいっ!』


 森に着くなり。ケモフ達とキィラが、俺に突進してきた。


 ――俺は、直ぐにダンジョンを展開する。


 光粒の種を、ダンジョンを仕舞った状態でも出せるのだと分かる以前の時は。仕舞っているダンジョン内に、生き物が留まってしまうと、どうなるのかが分からない恐怖もあり。わざわざ皆を外に出してから、ダンジョンを消していた。

 ちょうど、光粒の種が身体から出せる事実を知った後くらいに……。ダンジョンを消した時、ケモフを一匹出し忘れてしまったことがあって。俺は、慌ててダンジョンを展開し、中を確認すると――ケモフは、元気にゴロゴロとしていた。

 それで……。俺のダンジョン内では、動く生き物すらも問題なく留めておくことが可能だということも、証明出来た。

 前から、ダンジョンを消す度に。ケモフ達とキィラが、俺に激しく抗議してくるってのもあったから……。その後。一度だけ、そいつら全員を入れたままにした事がある。

 けど、ダンジョンを仕舞ってる時は、その内部を直接視認することが出来なくて……。把握出来ないのに、何かが自分の中にいる事実に、身体中がムズムズしてきてしまい――気付けば、ポンポンポンと全員を外に出してしまっていた。


 だから、余程のことがない限り。俺は、それをもう二度としたくないと思っている――。



「わ~い!! 走れるぞ~~~っ!!」


 輝灰が、タンジョンの奥へとバタバタと走って行き。直ぐに、姿が見えなくなった。


「輝白、あっちに行こう?」
「……? うん、分かった」


 輝黒と輝白は。2人で手を繋ぎ、歩いて行った。


「輝赤! おままごとしよ~!!」
「うん、いいよ……」


 輝紫が、ロンウェルから貰っていた、おままごとセットの置いているところへ走って行き。輝赤も、輝紫の後ろを追い掛けるように走って行く。


 ダンジョンに入ってから、思うがまま行動している他の子達とは違い。輝緑は、モジモジとしながら俺達の側から離れなかった。


「ん? 輝緑、どうした……? もう、好きにして良いんだぞ?」


 俺は、外に行く時『ちゃんと、子供達を見なきゃいけない!!』と肩に力が入ってしまって。けっこう、子供達を怒っちゃったりするからな……。

 それで……。俺の側によくいる輝緑は、その顔色を伺って、色々と気を遣っているのかもしれない。


「お母さん、お父さん……。一緒に居て良い……?」


 輝緑は、駄目かな? 駄目かな? とチラチラと、主にレイドを見ていた。


 ああ、そうか、そうか。輝緑は、俺達の側にいたかったんだな~? ん~……。俺は、本当はいつでもウェルカムなんだけどさ。レイドは、輝緑にそうお願いされても、他の子達と遊んでこいって殆ど言うんだよな……。

 レイドなりに、輝緑が俺達にべったり過ぎて。同年代の兄弟とは、全然遊ぼうとしないのが心配なんだろう。

 まあ、その親として心配する気持ちは、凄く分かるから。俺も輝緑には、子供のうちにたくさん遊んでおけ~! って可哀想に思いながらも、そう言うんだけど……。その後に、しょぼくれている輝緑を見てられなくて。結局は、レイドも俺も側に呼んじゃうんだけどな。



「少し疲れたから、遊んではやれないが……。それでも良いか?」


 レイドは、本当に疲れているのだろう。腰を下ろして、目頭をグリグリとしている。


「えっ!? う、うんっ!!」


 おぉ……? 輝緑の申し出に、初めからオッケー出すのは珍しいな~!


 輝緑は、嬉しそうにニコニコ笑って。レイドのすぐ隣にちょこんと座った。

 そんな微笑ましい2人の姿を、近くで眺めていたら。輝緑が見上げてきて――「お母さんも、ここに来て!」と自分の隣を叩いて、可愛らしい笑顔を向けてきた。


 ん~! スゲー可愛い~!!

 なんだか、子供に好かれてるのって。俺がやってきたことを、ちゃんとその子に認められてる感じがして……安心する。


「んじゃ~! 俺も、輝緑の隣に座っちゃうぞ~?」


 そこに座って、輝緑を抱き寄せ。子供特有のぷにぷにスベスベな頬っぺを、自分の頬にすりすりと擦り合わせた。


「きゃはははっ!! お母さん、くすぐったいっ!」
「ん~? 俺はくすぐったくないも~ん!」


 輝緑の可愛い抵抗をいなし。俺が、すりすり攻撃をしまくってたら――レイドも参戦してきた。


 ――けど、レイドは……。俺に、くすぐり攻撃をしてきた。


「……ひゃっ! レ、レイド!! 俺じゃなくて、輝緑に……っ! ――ひゃははははっ!!」
「ん? ヤツにいいようにされていた、輝緑が不憫だったのでな……。俺が、しっかりとその仇を討つつもりだ」


 えっ? 輝緑の頬を、すりすりしてただけなのに……。なんで、俺は、身体全体をこちょこちょされなちゃいけないんだっ!?


 それから、レイドに思う存分擽られ。俺は、笑いすぎて――意識が落ちた。



 △▼△▼△▼△▼


「ん……。あ、れ……?」


 俺は、少しボーとしてから。レイドにされた、屈辱的なことをハッと思い出す。


「あんの、クソ――あ……」


 俺に並ぶように――レイド、輝緑、輝灰、輝赤、輝紫、輝白、輝黒が居て……。皆、気持ち良さそうにスヤスヤと眠っている。


「はは……! 皆、可愛いな~」


 一気に大所帯になることを、初めは不安に思ってたけど……。レイドも、積極的に子供達の面倒見てくれてるし。何よりも――子供達が、とっても可愛いんだ。
 だから、日々成長していく、この子達を見るのが楽しくて。いつからか、不安は感じなくなっていた。


 当たり前のように、俺の隣に陣取っているレイドへと、視線を落とす。

 目を瞑っているからか。いつもより、少しだけ幼く見える。

 その、あどけない表情をしているレイドを。じっと見ていたら……。何だか、じわじわと愛おしさが溢れ出してきた。

 あの時の、レイド――いや、今でも……。レイドは、深い愛情を俺に与えてくれている。


 俺は同じくらい、返せているだろうか……?


 胸がギュッと締まり。無意識のうちに、俺の手がレイドの頬に触れていた。

 何だか、急に自分の気持ちを伝えたくなって。その気持ちに素直に従った――。


「レイド、ありがとう。俺を諦めないでくれて、俺を愛してくれて……」


 するり、とレイドの頬に手を滑らせた。


「――レイド、愛してるよ。レイドのことを……心から愛してる」


 レイドの唇に、自分の唇をゆっくりと重ねる。


 数秒の間だけ、触れるだけのキスをし。唇を離すと、赤いルビーのような目に見詰められていた。


「あっ! レ、レイド……。ごめん! 起こしちゃって……」


 俺、寝てる人に何やってんだよ……!

 今更ながら、自分のしたことが恥ずかしくなってしまい。羞恥で、顔がカッカッと赤くなっているのが分かる。

 けど、レイドは目を細め――。


「ヤツ、俺も。ヤツのことを……心から愛している」


 とても幸せそうに、微笑んでいた。




 ☆★☆★☆★☆★



「お母――むぐっ!?」

「輝緑、静かに! 今は、そっとしておかないと……(小声)」

「輝白、別に良いんじゃないか? 当分、あの状態になってしまうから、誰かが止めないと……(小声)」

「駄目だよ、輝黒……。あのように、愛を確かめ合うのは……。とても、大事なことらしいからね(小声)」

「なに、なに~? 皆で、何こそこそしてるの~? (小声)」

「ああ、輝紫。今、お母さんとお父さんは、大事な話をしてるから……。そっとしておこうねって、皆で言っていたんだよ(小声)」

「へぇ~? そうなんだぁ~。――あっ、輝赤も起きたんだね! おはよ~! (小声)」

「うん……。おはよう。…………。ねぇ、輝白。輝緑が、ピクピクしてるけど……。それ、大丈夫……? (小声)」

「え? 輝赤、何を――あっ! 輝緑、ごめん……! (小声)」

「酷いよぉ~! シクシクシク~……。(小声)」

「本当に、ごめ――」


「いやっふう~~っ!! 今日も、探検だぁあああ~~~~~~っ!!! (大声)」


「「「「「あっ!輝灰っ!! (大声)」」」」」



「あっ、ぅあ!! み、皆……! お、お、起きてたんだな~!? えっと~、その~……」

「ん? 気がつかなかったな……。一体、いつ起きていたんだ?」


「「「「「イマ、オキタンダ~~(棒読み)」」」」」



「よお~しっ!! 今日は、もっと奥の方まで行くぞ~~~~っ!!! (大声)」


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