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ショート動画ってどんなのがいいの?
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俺はそれから色々な同級生に話を聞きに行く。「上月くんって誰?」状態であったが友達を作りたいわけではない。これは仕事だ。そして、幸いなことに青春を謳歌している人達は皆優しい人だったので色々と話をしてくれた。
俺が考えた内容はズバリ、「青春の振り返り」である。悲しい青春と楽しい青春を交互に紹介するという形で動画を構成すると、どんな層にも刺さる動画になるだろう。そして青春であれば何かしらの形で誰もが経験しているので、盛り上がるにも十分に違いない。俺は授業中や休み時間を使って、様々なネタの案を一人作り続けた。最初はなかなかアイデアが出てこなくて辛かったが、一度書き始めると楽しくなってきてついつい夢中になってしまう。授業中の先生のしょうもない雑談ですらネタになるのではないかと考えると楽しくて仕方がない。
一週間もすれば大量のネタ候補が出来ていた。後はここから抜粋して、台本を作っていくだけだ。ただ、これに関しては第三者の目が必要だろう。俺はいつもの3人をカラオケルームに呼び出す。
「えー、今日3人に来てもらったのは、ショート動画についてネタを作ってきたので意見が欲しいからだ。青春をテーマにした動画をたくさん作って投稿する予定だが、どのネタがいいか意見が欲しい。というか、微妙なネタを落としていきたい」
俺は印刷したネタ用紙を3人に配りながら説明する。
「微妙、というのはどういう意味ですか?」
「そうだな。まずは納得感がない、あんまりピンとこない場合だ。次に、納得は出来るが笑えるものではないものも除外しよう」
「ショート動画ってどういうのを作るの? というかすごいたくさん並んでいるけど、そんな大量に投稿するの?」
「ああ。ショート動画について色々勉強したんだが、どうやら数が重要らしい。プロでも何がヒットするかはわからないようだ。そしてある日突然バズることもよくあることらしいので、とにかく色々作って色んな人に見てもらうしかない。もちろんこのシリーズが評判悪ければ新しいアイデアが必要になるが」
「動画は私が出演するの?」
「そうだな、水咲ネネの絵と他の背景をベースに音楽を流しながらネタを軽快に話していく感じだ。別途高木には録音してもらう必要があるが、数十秒なのでそれほど大変ではないはずだ」
そこからは4人で議論を重ねていく。これは微妙、これはこうしたらいいんじゃないか、そんな話をしながらネタをブラッシュアップしていく。やはり3人とも少しずつ感性が違うので好みは分かれるが、それはそれで参考になる。全員がNGを出したものは捨て、全員がOKを出したものを優先して出していき、間にそれぞれの好みに合った動画を挟んでいけば誰かにはヒットするだろうからな。
「ちなみにこのネタは健ちゃんの実体験ですか?」
「半分はそうだな。楽しい青春の話は色々な人に聞いて膨らませていったが、悲しい青春の話は俺の実体験をベースにしているぞ。まあなんだ、役に立って良かったよ」
「な、なるほど…… 道理でリアリティがあるわけですね」
「ま、まあこれから青春すればいいもんね! 上くんなら大丈夫!」
「そうだよ! まだ2年だし!」
「あ、ああ! そうだよな!」
3人の同情と励ましが心に刺さるが、気にしないことにする。今が楽しければいいんだ!ショート動画がバズればつまらない高校生活もいい経験だったと思えるだろう!
2時間ほどの議論を重ねた結果として15個ほどの案が残った。半分は没になったが、半分残ったと思えば優秀だろう。多分。
「下井草、動画編集についてだがどうやって学ぶのがいい?」
「あーそうですね、私が教えることもできますが、本を何冊か読むのがいいと思います!今は電子書籍で色々出ているので、おすすめの本教えますね。編集ソフトはリンクを送ります! まあ動画に関してはこだわり出すとキリがないので、「出来る範囲でやる」ということを意識することをお勧めします。色々やり出して全く作成が進まないというのはあるあるなので……」
「なるほど、わかった。ありがとう、気を付けるよ」
下井草と綾香は学校に戻った。少し部活に顔を出してから帰るらしい。俺は高木と二人で帰り道を歩く。
「動画編集とか大丈夫? 負担重くない?」
「大丈夫だ。一回やってみたかったしな。それに経験としても将来役に立ちそうだ。動画編集経験あります、バズらせたこともあります!って言えれば動画編集者には就職できそうだしな」
「そっか、そう言うんだったら助かるけど。わざわざ私のためにありがとうね」
「気にするな、これも水咲ネネが一流Vtuberになるために必要なステップだ。目指すは打倒VVV、革命を起こそう!」
「いつの間にか私達革命軍になってるの……?」
「ああ、世界を変えるんだ! 大手事務所による独占体制を打破し、真の人民の人民による人民のためのVtuber世界を実現するんだ!」
「今、別に抑圧とかされてなくない……?」
「気持ちだよ、気持ち。大事なのはパッションだ!」
俺が考えた内容はズバリ、「青春の振り返り」である。悲しい青春と楽しい青春を交互に紹介するという形で動画を構成すると、どんな層にも刺さる動画になるだろう。そして青春であれば何かしらの形で誰もが経験しているので、盛り上がるにも十分に違いない。俺は授業中や休み時間を使って、様々なネタの案を一人作り続けた。最初はなかなかアイデアが出てこなくて辛かったが、一度書き始めると楽しくなってきてついつい夢中になってしまう。授業中の先生のしょうもない雑談ですらネタになるのではないかと考えると楽しくて仕方がない。
一週間もすれば大量のネタ候補が出来ていた。後はここから抜粋して、台本を作っていくだけだ。ただ、これに関しては第三者の目が必要だろう。俺はいつもの3人をカラオケルームに呼び出す。
「えー、今日3人に来てもらったのは、ショート動画についてネタを作ってきたので意見が欲しいからだ。青春をテーマにした動画をたくさん作って投稿する予定だが、どのネタがいいか意見が欲しい。というか、微妙なネタを落としていきたい」
俺は印刷したネタ用紙を3人に配りながら説明する。
「微妙、というのはどういう意味ですか?」
「そうだな。まずは納得感がない、あんまりピンとこない場合だ。次に、納得は出来るが笑えるものではないものも除外しよう」
「ショート動画ってどういうのを作るの? というかすごいたくさん並んでいるけど、そんな大量に投稿するの?」
「ああ。ショート動画について色々勉強したんだが、どうやら数が重要らしい。プロでも何がヒットするかはわからないようだ。そしてある日突然バズることもよくあることらしいので、とにかく色々作って色んな人に見てもらうしかない。もちろんこのシリーズが評判悪ければ新しいアイデアが必要になるが」
「動画は私が出演するの?」
「そうだな、水咲ネネの絵と他の背景をベースに音楽を流しながらネタを軽快に話していく感じだ。別途高木には録音してもらう必要があるが、数十秒なのでそれほど大変ではないはずだ」
そこからは4人で議論を重ねていく。これは微妙、これはこうしたらいいんじゃないか、そんな話をしながらネタをブラッシュアップしていく。やはり3人とも少しずつ感性が違うので好みは分かれるが、それはそれで参考になる。全員がNGを出したものは捨て、全員がOKを出したものを優先して出していき、間にそれぞれの好みに合った動画を挟んでいけば誰かにはヒットするだろうからな。
「ちなみにこのネタは健ちゃんの実体験ですか?」
「半分はそうだな。楽しい青春の話は色々な人に聞いて膨らませていったが、悲しい青春の話は俺の実体験をベースにしているぞ。まあなんだ、役に立って良かったよ」
「な、なるほど…… 道理でリアリティがあるわけですね」
「ま、まあこれから青春すればいいもんね! 上くんなら大丈夫!」
「そうだよ! まだ2年だし!」
「あ、ああ! そうだよな!」
3人の同情と励ましが心に刺さるが、気にしないことにする。今が楽しければいいんだ!ショート動画がバズればつまらない高校生活もいい経験だったと思えるだろう!
2時間ほどの議論を重ねた結果として15個ほどの案が残った。半分は没になったが、半分残ったと思えば優秀だろう。多分。
「下井草、動画編集についてだがどうやって学ぶのがいい?」
「あーそうですね、私が教えることもできますが、本を何冊か読むのがいいと思います!今は電子書籍で色々出ているので、おすすめの本教えますね。編集ソフトはリンクを送ります! まあ動画に関してはこだわり出すとキリがないので、「出来る範囲でやる」ということを意識することをお勧めします。色々やり出して全く作成が進まないというのはあるあるなので……」
「なるほど、わかった。ありがとう、気を付けるよ」
下井草と綾香は学校に戻った。少し部活に顔を出してから帰るらしい。俺は高木と二人で帰り道を歩く。
「動画編集とか大丈夫? 負担重くない?」
「大丈夫だ。一回やってみたかったしな。それに経験としても将来役に立ちそうだ。動画編集経験あります、バズらせたこともあります!って言えれば動画編集者には就職できそうだしな」
「そっか、そう言うんだったら助かるけど。わざわざ私のためにありがとうね」
「気にするな、これも水咲ネネが一流Vtuberになるために必要なステップだ。目指すは打倒VVV、革命を起こそう!」
「いつの間にか私達革命軍になってるの……?」
「ああ、世界を変えるんだ! 大手事務所による独占体制を打破し、真の人民の人民による人民のためのVtuber世界を実現するんだ!」
「今、別に抑圧とかされてなくない……?」
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