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着実な前進、だが少しの不安
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雑談配信や、マシュマロ配信、コラボ配信を行い、少しずつチャンネル登録者を増やしたところで次に歌ってみた動画を投稿する。「男の子の目的は何?」だ。可愛らしい声に、川らしい動画で、水咲ネネのイメージにピッタリの動画になっている。
:可愛い!
:女の子っぽくていいね!
:初見ですが、歌上手ですね。チャンネル登録します
コメント欄も1曲目と同じくらい高評価だ。特にこの曲で水咲ネネを知ってくれたというコメントを見ると狙いが当たったようで嬉しいものだ。普段の雑談配信などでは少し素の可愛らしい水咲ネネを、そして歌ってみたではアーティストでアイドルな水咲ネネを、こういった様子を少しずつ見せることでファンは確実に増えている。
SNSも地道な投稿やレスポンスで、コメント数が多くなってきている。全体的にいい流れが出来てきていると言って良いだろう。そしていい流れの結果として、登録者の伸びも良い。
『もうすぐ1万人だね! すごいスピード!』
『2曲目もヒットしたしね。高木ちゃんは才能あるよやっぱ』
『いえいえ、綾香さんの曲と下井草ちゃんの動画あってこそなんで…… でも嬉しい!』
水咲ネネはVキャストの新人の中でも成長率が早く、注目株として扱われているようだ。先輩方の評判も高く、特に歌ってみた動画は費用がかかることからなかなかチャレンジできないこと、としてそれを投稿している姿勢も評価されているようである。事務所や先輩からの覚えも良いというのはいい傾向である。何かしらのバックアップが期待できる可能性が高まるからな。やはり評価は高くて損をすることはない。
この調子で取り組みを続けるだけでもそれなりの伸びを維持できるのは間違いない、この流れが続けばだが。今は新人という肩書きがあるが、数ヶ月もすると使えなくなるだろう。それでもこのまま成長できるのか? そういった点は全くわからない。そう考えると次の一手をそろそろ考え始めてもいいだろうな。
しかし次の一手とはなんだろうか? 色々なVtuberを見ながら考える。1番無難なのはゲーム配信だが…… 高木曰くゲームは苦手らしい。ゲーム配信をする上で、ゲームが苦手なのは致命的だ。視聴者は上手なプレイを見て「ないすー」とコメントするのが文化のような世界である。下手なプレイは一歩間違えると批判の嵐、炎上騒動にさえなるリスクがある。ゲームはしばらくはやめておいた方がいいだろうな。
Vキャスト的な進化であれば過激配信か。下ネタ系配信や実写系配信あたりが思いつくが…… これも水咲ネネのイメージとは合わない。どちらもまだ早いな。これからキャラがついていく中で自然の流れでそうなったら考えても良いだろうが、自らそっちの道に進むのはまだ決める段階ではない。過激配信はコアなファンはつくかもしれないが、多数派にはウケないキャラクターになるリスクがある。現時点ではその判断は早すぎるだろう。
後は、大手Vtuberとのコラボもありか。一番の理想はGURU UPの変人枠あたりだろう。VVV? あそこは基本的に他箱とのコラボをしない上に、こちらから提供できるメリットが少なすぎる。GURU UPの変人枠であれば興味本位でコラボしてくれる可能性がある。実態はわからないが、彼らは自身の興味の赴くままに活動している様子が見てとれる。本当に戦略立ててやっているのであれば理解不能な謎配信を繰り返しているからな。それが人気の理由といえば間違いないのだが、あの規模で炎上上等・批判上等の配信ができるのは「本物」だからだろう。1時間耐久で蝉になって鳴き続ける配信を見た時には驚いたものだ。何せ全員ずっと「みーんみーん」と言い続けているだけだからな。正気の沙汰ではない。
しかし彼らとコラボするのであればもう少しエッジが必要かもしれない。水咲ネネは正統派だからな。Vキャストが色物揃いとはいえ、彼らの興味を引くほどの尖った何かは用意していない……
うーん、色々考えながら動画投稿サイトを徘徊していた時だった。
「今、Vtuberなら全員ショート動画をやるべき!」というタイトルの動画が目に止まる。ショート動画? クリックした動画では、Vtuberが、ショート動画について語っていた。
「いやあ、ショート動画は絶対やったほうがいいよ。一発当たるだけでかなりの再生数が見込めるし、チャンネル登録者も伸びるからね。今時成長しているVtuberでショート動画を使ってない人はいないんじゃないかな? ぜっとさんなんかまさにショート動画の申し子だよね。天才だと思うよ彼女は」
ぜっとさんという人がすごいのか、そう思い検索してみた。ショート動画とは縦長の数十秒の動画のようだ。ぜっとのチャンネル欄にはそのような動画がズラーっと並んでいる。そしてどれも数十万再生されている。
「なるほどなー これは面白いな。ついつい見てしまう」
ぜっとの動画は数十秒しかないにも関わらず起承転結がはっきりしており、オチでクスッと笑えるようになっていた。動画の内容は完全オリジナルと思われるものもあれば配信の切り抜きと思われるものもある。どれも編集は非常に凝っているわけではないが、綺麗にまとめられていて、ついつい全部見たくなるクオリティだ。
:可愛い!
:女の子っぽくていいね!
:初見ですが、歌上手ですね。チャンネル登録します
コメント欄も1曲目と同じくらい高評価だ。特にこの曲で水咲ネネを知ってくれたというコメントを見ると狙いが当たったようで嬉しいものだ。普段の雑談配信などでは少し素の可愛らしい水咲ネネを、そして歌ってみたではアーティストでアイドルな水咲ネネを、こういった様子を少しずつ見せることでファンは確実に増えている。
SNSも地道な投稿やレスポンスで、コメント数が多くなってきている。全体的にいい流れが出来てきていると言って良いだろう。そしていい流れの結果として、登録者の伸びも良い。
『もうすぐ1万人だね! すごいスピード!』
『2曲目もヒットしたしね。高木ちゃんは才能あるよやっぱ』
『いえいえ、綾香さんの曲と下井草ちゃんの動画あってこそなんで…… でも嬉しい!』
水咲ネネはVキャストの新人の中でも成長率が早く、注目株として扱われているようだ。先輩方の評判も高く、特に歌ってみた動画は費用がかかることからなかなかチャレンジできないこと、としてそれを投稿している姿勢も評価されているようである。事務所や先輩からの覚えも良いというのはいい傾向である。何かしらのバックアップが期待できる可能性が高まるからな。やはり評価は高くて損をすることはない。
この調子で取り組みを続けるだけでもそれなりの伸びを維持できるのは間違いない、この流れが続けばだが。今は新人という肩書きがあるが、数ヶ月もすると使えなくなるだろう。それでもこのまま成長できるのか? そういった点は全くわからない。そう考えると次の一手をそろそろ考え始めてもいいだろうな。
しかし次の一手とはなんだろうか? 色々なVtuberを見ながら考える。1番無難なのはゲーム配信だが…… 高木曰くゲームは苦手らしい。ゲーム配信をする上で、ゲームが苦手なのは致命的だ。視聴者は上手なプレイを見て「ないすー」とコメントするのが文化のような世界である。下手なプレイは一歩間違えると批判の嵐、炎上騒動にさえなるリスクがある。ゲームはしばらくはやめておいた方がいいだろうな。
Vキャスト的な進化であれば過激配信か。下ネタ系配信や実写系配信あたりが思いつくが…… これも水咲ネネのイメージとは合わない。どちらもまだ早いな。これからキャラがついていく中で自然の流れでそうなったら考えても良いだろうが、自らそっちの道に進むのはまだ決める段階ではない。過激配信はコアなファンはつくかもしれないが、多数派にはウケないキャラクターになるリスクがある。現時点ではその判断は早すぎるだろう。
後は、大手Vtuberとのコラボもありか。一番の理想はGURU UPの変人枠あたりだろう。VVV? あそこは基本的に他箱とのコラボをしない上に、こちらから提供できるメリットが少なすぎる。GURU UPの変人枠であれば興味本位でコラボしてくれる可能性がある。実態はわからないが、彼らは自身の興味の赴くままに活動している様子が見てとれる。本当に戦略立ててやっているのであれば理解不能な謎配信を繰り返しているからな。それが人気の理由といえば間違いないのだが、あの規模で炎上上等・批判上等の配信ができるのは「本物」だからだろう。1時間耐久で蝉になって鳴き続ける配信を見た時には驚いたものだ。何せ全員ずっと「みーんみーん」と言い続けているだけだからな。正気の沙汰ではない。
しかし彼らとコラボするのであればもう少しエッジが必要かもしれない。水咲ネネは正統派だからな。Vキャストが色物揃いとはいえ、彼らの興味を引くほどの尖った何かは用意していない……
うーん、色々考えながら動画投稿サイトを徘徊していた時だった。
「今、Vtuberなら全員ショート動画をやるべき!」というタイトルの動画が目に止まる。ショート動画? クリックした動画では、Vtuberが、ショート動画について語っていた。
「いやあ、ショート動画は絶対やったほうがいいよ。一発当たるだけでかなりの再生数が見込めるし、チャンネル登録者も伸びるからね。今時成長しているVtuberでショート動画を使ってない人はいないんじゃないかな? ぜっとさんなんかまさにショート動画の申し子だよね。天才だと思うよ彼女は」
ぜっとさんという人がすごいのか、そう思い検索してみた。ショート動画とは縦長の数十秒の動画のようだ。ぜっとのチャンネル欄にはそのような動画がズラーっと並んでいる。そしてどれも数十万再生されている。
「なるほどなー これは面白いな。ついつい見てしまう」
ぜっとの動画は数十秒しかないにも関わらず起承転結がはっきりしており、オチでクスッと笑えるようになっていた。動画の内容は完全オリジナルと思われるものもあれば配信の切り抜きと思われるものもある。どれも編集は非常に凝っているわけではないが、綺麗にまとめられていて、ついつい全部見たくなるクオリティだ。
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