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男の子の気持ちを教えてください
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俺、上月健斗にとって、学校はあまり面白い場所ではない。理由は簡単である。話が合う友達が少ないからだ。特にやりたいことが見つからず帰宅部なので、部活の友達は少ない。そして同じ帰宅部の同級生にはアニメ好きや漫画好きが多いが、そっちの方面には詳しくない。自分は読書が好きだ。ミステリー小説やライトノベルを読むことが楽しみなのだが、特に誰かと内容について話したいとも思わない。その結果、自然とクラスの中でもほとんどぼっち状態になってしまった。これでは学校生活は楽しくない。
恋愛をしたい、とまでは言わないけどなんか高校生っぽい青春を過ごしたい、そう考えるもライトノベルで描かれる青春ラブコメ展開になりそうな気配はない。突然転校してきた美人な女の子が実は幼稚園の時の幼馴染で…… なんていう展開に期待するしかないが、宝くじが当たる方が確率は高そうだ。
今日もつまらない授業が終わり、皆が下校していく。特に何事もない一日の締めとして、気になっていたライトノベルの本の続きを読む。途中までしか読めてないから結論が気になるんだよな。一刻も早く読みたいという気持ちでページをめくっていく。
……また新キャラの妹が出てきたぞ。どうしていつもお兄ちゃんのことが大好きな妹が出てくるんだ? 作者はリアルな妹がどんなものかわかっていないな…… 繰り返されるお馴染みの展開にげんなりしながら本を閉じる。次の刊は、妹が主役ならスルーかな。
「ねえ、上月くん。ちょっといい?」
「ん?」
声をかけられたので顔を上げると、クラスメイトの高木だった。高木はクラスの数少ない友達少ない仲間(だと勝手に認識している)である。見た目は可愛いのだが、他人と喋るとなると挙動不審になることから、最初は興味を持っていた男子達も今ではすっかりスルーする存在になっている。そんな高木に話しかけられるなんて珍しい。
「どうした?」
「ちょっと男子の意見が欲しいことがあってね。恋愛についてなんだけど」
「お、おお…… 役に立てるかはわからないけど」
「とりあえず意見聞かせてほしい。相談内容読むね」
高木はスマホで何かを見ながら、読み上げる。
「僕は高校3年生です。クラスに好きな人がいるのですが、時々話をするだけの関係です。ただ、最近よく目があうんです。その子のことをさりげなく見るのが趣味なのですが、ぱっと目が合うことがあるんです。彼女は何事もなかったかのように目を逸らすのですが…… それが1日に何回かあります。今度課外授業で同じ班になるのですが、その際に距離を縮めていっても問題ないでしょうか? 意見をお聞かせください」
「…… お前がずっと見ているから相手が視線を感じてるだけだろ! 勘違いにも程がある! ストーカー扱いされてキモがられるだけだから大人しくしとけ!」
「…… そうなんだ? 目が合うってのはいいことじゃないの?」
「そいつがずっとその子のことを見ているんじゃなければな…… それか目があった時にニコッとしてくれるとか恥ずかしそうにしているとかならまだ可能性はあるかもだが、普通に逸らされているんじゃ希望はないだろ……」
「そうなんだ。ありがとう」
高木は一生懸命スマホに打ち込んでいる。こいつはどんな男子の相談に乗っているんだ?
「じゃあ次、いくね。僕は28歳のサラリーマンです。今度職場の後輩と一緒に出張の予定があるのですが、その際にどうにかして関係を持ちたいです。彼女は私のことをよく「可愛い」と言ってくれる職場の人気者です。一度ご飯に誘ったのですが、今は忙しいと断られました。ここからどうやって近づいていくのかアドバイスをください」
「社会人の恋愛エピソード!? 社会人は全くわからないが…… 女の子が男に対する「可愛い」は脈なしだよ。ご飯に断られている時点でさらにないな。出張の時に仕事のかっこいい姿を見せてアピールするしかないんじゃないか?」
「可愛い、は脈なしなの?」
「ああ、ぬいぐるみと付き合いたい思う女子はいないだろ? 同じだよ…… 俺も昔それに騙されたことあってな……」
何を隠そう、中学の時に、可愛いと言ってくれていた女子に告白して振られたことがある。「そういう対象として見れない」とさ。まあ冷静に考えるとそりゃそうだ。
「なるほどね。ありがとう、助かったよ」
「社会人の恋愛相談にも乗っているのか?」
「あ、いやそういうわけじゃなくてね…… ちょっと勉強! 私恋愛のこと全くわからないからさ。ちょっと勉強してみたくなったんだよね。興味本位というか」
「ああ、なるほどな。俺もそんなに言うほど経験はないから参考になるかはわからないが……」
「ううん、そんなことないよ、勉強になった! じゃあね」
そう言って高木は席に戻っていく。よくわからないが、高校生ともなれば恋愛に対して興味を持つお年頃か。俺は帰宅の準備を始めた。
高木は困っていた。雑談のネタとしてなんとなく「皆さんの恋愛に関して相談を募集します!」とSNSに投稿したところたくさんの恋愛相談ネタが届いたのだが、なんて回答していいのかが全くわからなかったからだ。高木には本の知識しかない。いくつかは答えられそうなのもあったが、男性目線の質問にはよくわからないものがたくさんあった。
「誰かに聞いてみるか……」
人と話すのが苦手な高木だが、この状況ではそうは言ってもられない。流石に恋愛トーク募集して、自分は全く話せない、では雑談企画が丸潰れになる。
「あ、上月くんならいいかも」
上月はいつも本を読んでいる大人しい男の子。友達はそれほど多くなさそうで、1人でいることが多い。放課後の誰もいないタイミングを見計らって聞いてみると、意外と詳しいようで色々な意見をもらうことができた。後はこれを配信で話すだけだ。
「こんばんはー。今日は恋愛に関して皆さんの相談を募集したのでそれを話していきたいと思います。えーとまずは……」
:恋愛経験はあるの?
「恋愛経験ですか? ありますよー! すごいたくさんあるというわけではないけど、任せてください!」
他の配信者が話していた内容や、少女漫画のネタ、上月から聞いた内容を披露する。意外と話は盛り上がり、1時間の配信を無事に終了させることができた。
「ありがとうございました。よかったらチャンネル登録と高評価、お願いします」
:お疲れ、楽しかったよー
:勉強になりました!
:またやってほしい!
「そうですね、第二回も考えています! その際は相談送ってくださいねー」
恋愛をしたい、とまでは言わないけどなんか高校生っぽい青春を過ごしたい、そう考えるもライトノベルで描かれる青春ラブコメ展開になりそうな気配はない。突然転校してきた美人な女の子が実は幼稚園の時の幼馴染で…… なんていう展開に期待するしかないが、宝くじが当たる方が確率は高そうだ。
今日もつまらない授業が終わり、皆が下校していく。特に何事もない一日の締めとして、気になっていたライトノベルの本の続きを読む。途中までしか読めてないから結論が気になるんだよな。一刻も早く読みたいという気持ちでページをめくっていく。
……また新キャラの妹が出てきたぞ。どうしていつもお兄ちゃんのことが大好きな妹が出てくるんだ? 作者はリアルな妹がどんなものかわかっていないな…… 繰り返されるお馴染みの展開にげんなりしながら本を閉じる。次の刊は、妹が主役ならスルーかな。
「ねえ、上月くん。ちょっといい?」
「ん?」
声をかけられたので顔を上げると、クラスメイトの高木だった。高木はクラスの数少ない友達少ない仲間(だと勝手に認識している)である。見た目は可愛いのだが、他人と喋るとなると挙動不審になることから、最初は興味を持っていた男子達も今ではすっかりスルーする存在になっている。そんな高木に話しかけられるなんて珍しい。
「どうした?」
「ちょっと男子の意見が欲しいことがあってね。恋愛についてなんだけど」
「お、おお…… 役に立てるかはわからないけど」
「とりあえず意見聞かせてほしい。相談内容読むね」
高木はスマホで何かを見ながら、読み上げる。
「僕は高校3年生です。クラスに好きな人がいるのですが、時々話をするだけの関係です。ただ、最近よく目があうんです。その子のことをさりげなく見るのが趣味なのですが、ぱっと目が合うことがあるんです。彼女は何事もなかったかのように目を逸らすのですが…… それが1日に何回かあります。今度課外授業で同じ班になるのですが、その際に距離を縮めていっても問題ないでしょうか? 意見をお聞かせください」
「…… お前がずっと見ているから相手が視線を感じてるだけだろ! 勘違いにも程がある! ストーカー扱いされてキモがられるだけだから大人しくしとけ!」
「…… そうなんだ? 目が合うってのはいいことじゃないの?」
「そいつがずっとその子のことを見ているんじゃなければな…… それか目があった時にニコッとしてくれるとか恥ずかしそうにしているとかならまだ可能性はあるかもだが、普通に逸らされているんじゃ希望はないだろ……」
「そうなんだ。ありがとう」
高木は一生懸命スマホに打ち込んでいる。こいつはどんな男子の相談に乗っているんだ?
「じゃあ次、いくね。僕は28歳のサラリーマンです。今度職場の後輩と一緒に出張の予定があるのですが、その際にどうにかして関係を持ちたいです。彼女は私のことをよく「可愛い」と言ってくれる職場の人気者です。一度ご飯に誘ったのですが、今は忙しいと断られました。ここからどうやって近づいていくのかアドバイスをください」
「社会人の恋愛エピソード!? 社会人は全くわからないが…… 女の子が男に対する「可愛い」は脈なしだよ。ご飯に断られている時点でさらにないな。出張の時に仕事のかっこいい姿を見せてアピールするしかないんじゃないか?」
「可愛い、は脈なしなの?」
「ああ、ぬいぐるみと付き合いたい思う女子はいないだろ? 同じだよ…… 俺も昔それに騙されたことあってな……」
何を隠そう、中学の時に、可愛いと言ってくれていた女子に告白して振られたことがある。「そういう対象として見れない」とさ。まあ冷静に考えるとそりゃそうだ。
「なるほどね。ありがとう、助かったよ」
「社会人の恋愛相談にも乗っているのか?」
「あ、いやそういうわけじゃなくてね…… ちょっと勉強! 私恋愛のこと全くわからないからさ。ちょっと勉強してみたくなったんだよね。興味本位というか」
「ああ、なるほどな。俺もそんなに言うほど経験はないから参考になるかはわからないが……」
「ううん、そんなことないよ、勉強になった! じゃあね」
そう言って高木は席に戻っていく。よくわからないが、高校生ともなれば恋愛に対して興味を持つお年頃か。俺は帰宅の準備を始めた。
高木は困っていた。雑談のネタとしてなんとなく「皆さんの恋愛に関して相談を募集します!」とSNSに投稿したところたくさんの恋愛相談ネタが届いたのだが、なんて回答していいのかが全くわからなかったからだ。高木には本の知識しかない。いくつかは答えられそうなのもあったが、男性目線の質問にはよくわからないものがたくさんあった。
「誰かに聞いてみるか……」
人と話すのが苦手な高木だが、この状況ではそうは言ってもられない。流石に恋愛トーク募集して、自分は全く話せない、では雑談企画が丸潰れになる。
「あ、上月くんならいいかも」
上月はいつも本を読んでいる大人しい男の子。友達はそれほど多くなさそうで、1人でいることが多い。放課後の誰もいないタイミングを見計らって聞いてみると、意外と詳しいようで色々な意見をもらうことができた。後はこれを配信で話すだけだ。
「こんばんはー。今日は恋愛に関して皆さんの相談を募集したのでそれを話していきたいと思います。えーとまずは……」
:恋愛経験はあるの?
「恋愛経験ですか? ありますよー! すごいたくさんあるというわけではないけど、任せてください!」
他の配信者が話していた内容や、少女漫画のネタ、上月から聞いた内容を披露する。意外と話は盛り上がり、1時間の配信を無事に終了させることができた。
「ありがとうございました。よかったらチャンネル登録と高評価、お願いします」
:お疲れ、楽しかったよー
:勉強になりました!
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「そうですね、第二回も考えています! その際は相談送ってくださいねー」
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