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エピローグ

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サクラに到着後、俺達はカミラ姫と行動を共にするが、比較的のんびりした時間を過ごす。気をつけるべきは暗殺者だが、遠巻きに監視している領主の騎士達もいるのでリスクは少ないだろう。

俺は、カミラ姫からの依頼をチームに共有した。女王になりたいという野望は隠してくれとの希望を受けていたのでそれ以外の部分を話す。依頼を受けるかどうかはその時決める、という言葉に安心したようなメンバー達。とりあえずはこのまま進めて大丈夫そうだ。

ある夜、ホテルで待機していると、カミラ姫がやってくる。
「カミト様。例の件ですが、チーム夢の羽を連れ来てもらえますか?」
スカウトに動き出すのだろう。
「わかりました。アリエッサ、夢の羽のメンバーを姫様の部屋まで連れてきてもらえるか?」
「はい、探してきます」
俺が行くとふとしたことで二重生活がバレるリスクがある。鉄仮面のアリエッサなら大丈夫だろう。

そこから2時間。アンやエッジと雑談をしていると、カミラ姫とアリエッサが戻ってきました。
「少し面食らった様子ですが、基本的には前向きに考えていただけるようです。ただ、チームメイトが一人いないのでそいつに相談してからでもいいか、と言われました。チーム全体で慎重に検討する姿勢は良いですね」
いないチームメイトとは俺のことだろう。チームをきちんと考える姿勢にカミラ姫の評価は高まった様子だ。だめだこりゃ、とならなくてよかった。

その後は様々なイベントや面会、会議の警備としてチームメンバーの誰かが付く体制を維持する。それ以外のメンバーはホテルで待機だ。サクラの中にまで革命軍は入り込めていないのか、何も起きることなく全ての行事が終了する。

そしてサクラからの帰り道。こちらも何事もなくキエまで送り届けることができた。メイドはサクラで補充している。今までのクエストの話をしたりして盛り上がる車内。楽しい旅行だった、と言って良いだろう。


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俺はサクラに戻り、久しぶりに変身して冒険者ギルドに向かう。夢の羽のメンバーはいつも通り、いつもの場所に集合しているので声をかける。
「すまなかった。ようやく帰ってきたよ。そっちはどうだった?」
「おお、カミト! 無事に帰ってきてよかった。こっちはまあ変わらずだが一点ややこしい話があってな……」
「おかえり、カミト。多分びっくりすると思うよ」
「ええ、私もびっくりしたもの。突然すぎるスカウトだったから」
「スカウト?」
 俺は知らないふりをして聞き返す。確実に姫の話だろう……
「まあ、まずは依頼を受けよう。そこで話すよ。久しぶりにフルメンバーだ。ちょっと厳しめの依頼を探してみるか」

 クエストに向けた移動中、俺はライエルからスカウトの話を聞く。「あまり世間に知られていないが能力のあるチームを探していて貴方達に注目しました」と言われたらしい。褒めるのが上手な姫だ。

「で、親衛隊に入ってほしいと言われたんだ。基本的にはサクラ近辺での情報収集や先鋭隊になるらしいが…… カミトはどう思う?」 
「いいんじゃないか? たまには魔物退治以外の活動をするのも楽しいだろうし」
「そうか、良かった。みんな賛成してくれてな、カミトの意見を待っていたんだ」

こうしてチーム夢の羽もカミラ姫の手足となって活動することが決定する。この事が今後どう影響するかはまだわからない。だが、確実に何か変わっていくだろう、そう俺は考えた。


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王都で行われる定例御前会議。王も参加する会議にて、カミラが革命軍に襲撃されたこと、そしてメイドがスパイだったということが説明される。

「僭越ながら私から希望がございます」
「私の課題として、このような攻撃に弱いことが挙げられます。その可能性を減らすため、身辺を警護する私兵を増やしたいです」
「ふむ構わないだろう」
王は即座に同意する。王家として雇用しているメイドがスパイだった以上、リスクは減らす必要がある。

「それと、」
カミラの「それと、」は極めて重要なセリフだと大臣や官僚は理解している。この先が本当の意味でカミラが希望することだからである。

「私はあくまで防御に徹するつもりはありません。それでは常に死の脅威に怯えるだけになってしまうからです。私は独自に脅威を調査し、排除するための親衛隊を結成したいと考えています。規模としては数十名ほど、任務内容は革命軍やその他危害を及ぼす可能性のある組織の発見、情報収集、逮捕・討伐です」
「そのような行為は軍隊に任せてはいただけないのでしょうか?」
軍務大臣が発言する。
「軍隊は今回の革命軍のテロ行為に対応できなかったように、小回りが利きにくい点が課題だと考えています。また、情報が大人数に回るため隠密行動が敵に筒抜けになるリスクも避けられません」
「なるほど…… しかし先制攻撃はリスクが高いですぞ。」

「その点も考慮しています。既にリーダー候補は確保しています。サクラで活動する冒険者、LV10のカミト様です。その他かのヘッズオブドラゴンのチームもメンバーとなっていただく予定です」
ざわめく会場。カミラ姫は世界最強が自身の部下になると宣言したわけである。世界最強を自由に自分の駒として使う、その宣言は他の王族や軍関係者に大きな衝撃を与えた。ただ反対する理由もない。冒険者は自由な存在であり、自身の警護を任せる者もいる。決してルール違反の行動ではない。

「サクラで直接彼とはお話ししましたが、彼であれば任せて問題ないと考えています。さて、このまま進めて問題ないでしょうか?」
ニッコリと微笑むカミラ姫に会議場の皆は思う、やはりこの姫には敵わないと。
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