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推理と犯人確保
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俺はチームメンバーとチームの馬車に戻る。さて、犯人はどのように革命軍と連絡を取っているのか? まず思いつくのは念話だ。念話でやり取りされていた場合、気付けないかもしれない。俺は念話を使用できるアリエッサに確認することにした。
「なあ、アリエッサ。今回の件、念話で誰かが革命軍とやり取りしていた可能性はあるか?」
「いえ、ないと思います。私は魔法に関して鼻が効くと言いますか、魔法の発動を感じることができるのですが…… 移動中などに魔法が発動した形跡は確認していません」
念話を発する方でも受ける方でもかなり強力な魔法の発動を感じることができるらしい。アリエッサ曰く、念話はその強力さからかなり研究が進んでいるらしく、念話の発動を感知する魔道具も開発されているらしい。なので比較的検知が容易とのことだ。
それ以外の手段となると手紙か?しかし受け渡しのタイミングがわからない。日中は騎士が、夜は加えてアンが周囲を警戒している。その中で手紙を受け渡すことは可能なのか?
鳥などに括り付けて飛ばしたことも考えられるが、鳥を隠し持っていたら流石にわかるだろう。それに今回はルート変更を複数回行っている。何匹も鳥を隠し持っていて、飛ばしたら流石に誰か気づく。
後は、音による伝達などもあり得るか。世の中には音でメッセージを伝える方法もあるらしい。
「誰か、この移動中に不審な音を聞いたりしたことはないか?」
全員が首を振る。ふむ、こちらの路線もハズレのようだな。
何か抜け穴があるのでは?俺は今までの会話や行動を振り返る。皆が目を離した瞬間、もしくは皆に気づかれずに行動できた瞬間……
一つだけ見落としていた点があったことに気づく、確かにあのタイミングなら手紙を渡すことができるだろう。俺の予想が正しければ次は現行犯で捕まえることができるはずだ。
俺はカミラ姫の馬車に向かい、姫に再度のルート変更を提案する。
「ルート変更ですか。レーシェ、可能になるタイミングはあるかしら?」
「ええ、もうしばらくするとなだらかな平地に出るのでそこで変更できると思います」
「そう? じゃあそれでいきましょう」
カミラ姫はにこやかに答える。何やら嬉しそうだ。騎士が亡くなったショックから立ち直れたのであれば何よりだが。よし、これで犯人はまたルートを革命軍に伝えるだろう。そこを捕えるだけだ。
朝になり、平地に出たところでルート変更を行う。しばらくは休憩だ。流石に今攻撃することはできまい。アンには無理を言って引き続き警戒してもらっていたが、特に何も反応はなく時間が過ぎていった。
お昼休憩だ。今日も贅沢なご飯である。なんとか作り方を知りたいものだ。移動中にこれほど良いご飯を食べれるのは画期的と言っても過言ではない。普段は硬い携帯食を食べているからな……
食事が終わり、レーシャはメイドとしていつものように皆の食事を回収する。彼女は残飯や出てきたゴミを回収すると、麻の袋にいれ、道の脇に捨てた。
「さて、その中身を確認させてもらっていいかな? メイドさん」
俺はメイドに声をかけ、袋を探る。
「やっぱり手紙が入っているね。内容は暗号かな? それに匂いがついているね。この匂いで特定させていたんだね」
青ざめた表情で佇むレーシャ。予想通り、食事のゴミの中に手紙が紛れ込んでいた。改めて移動時を振り返った時に唯一単独行動が可能なタイミングはこの「ゴミを捨てる」タイミングだ。
「簡単な仕組みだね。革命軍は攻撃を仕掛け、終わったら後ろで待機する。そしてこちらの食事のタイミングで人海戦術でゴミを確保し、手紙を入手する。で、先回りして攻撃を仕掛ける」
何も答えることができないレーシャ。
「なんでこんなことをしようとしたんだ?」
「お金のためですよ。情報を渡すだけで大金がもらえます。それなら危険を犯してでも伝える価値がある、そう判断しただけです。王家に忠誠心があるわけでもないです」
「まあこうなった以上、逃げ切れるわけでもないでしょう。捕まったら死刑は免れないでしょうね。であればせめて姫様を道連れにして社会変化に貢献します! さようなら皆様! ファイア!」
犯行を認め、自暴自棄になってファイアを放つレーシャ。俺は咄嗟に馬車にプロテクトを発動するがレーシャが狙うのは上方だ。炎で革命軍に場所を伝えるつもりだろう。
「アリエッサ! 頼む!」
俺が声を張り上げるとアリエッサが応える。
「はい! ダーク!」
アリエッサが保有する魔法の1つ、ダークが発動した。ダークという魔法は、周辺に存在するものを全て吸収し、異次元に飛ばす魔法である。ファイアの魔法をダークで吸収することで音や光といった要素を消滅させる。
「まあそう来ると思っていたよ。準備しておいてよかった。後はエリス、頼む」
エリスは頷くと一閃、峰打ちでレーシャを昏倒させる。これでこの事件は一件落着だろう。
「なあ、アリエッサ。今回の件、念話で誰かが革命軍とやり取りしていた可能性はあるか?」
「いえ、ないと思います。私は魔法に関して鼻が効くと言いますか、魔法の発動を感じることができるのですが…… 移動中などに魔法が発動した形跡は確認していません」
念話を発する方でも受ける方でもかなり強力な魔法の発動を感じることができるらしい。アリエッサ曰く、念話はその強力さからかなり研究が進んでいるらしく、念話の発動を感知する魔道具も開発されているらしい。なので比較的検知が容易とのことだ。
それ以外の手段となると手紙か?しかし受け渡しのタイミングがわからない。日中は騎士が、夜は加えてアンが周囲を警戒している。その中で手紙を受け渡すことは可能なのか?
鳥などに括り付けて飛ばしたことも考えられるが、鳥を隠し持っていたら流石にわかるだろう。それに今回はルート変更を複数回行っている。何匹も鳥を隠し持っていて、飛ばしたら流石に誰か気づく。
後は、音による伝達などもあり得るか。世の中には音でメッセージを伝える方法もあるらしい。
「誰か、この移動中に不審な音を聞いたりしたことはないか?」
全員が首を振る。ふむ、こちらの路線もハズレのようだな。
何か抜け穴があるのでは?俺は今までの会話や行動を振り返る。皆が目を離した瞬間、もしくは皆に気づかれずに行動できた瞬間……
一つだけ見落としていた点があったことに気づく、確かにあのタイミングなら手紙を渡すことができるだろう。俺の予想が正しければ次は現行犯で捕まえることができるはずだ。
俺はカミラ姫の馬車に向かい、姫に再度のルート変更を提案する。
「ルート変更ですか。レーシェ、可能になるタイミングはあるかしら?」
「ええ、もうしばらくするとなだらかな平地に出るのでそこで変更できると思います」
「そう? じゃあそれでいきましょう」
カミラ姫はにこやかに答える。何やら嬉しそうだ。騎士が亡くなったショックから立ち直れたのであれば何よりだが。よし、これで犯人はまたルートを革命軍に伝えるだろう。そこを捕えるだけだ。
朝になり、平地に出たところでルート変更を行う。しばらくは休憩だ。流石に今攻撃することはできまい。アンには無理を言って引き続き警戒してもらっていたが、特に何も反応はなく時間が過ぎていった。
お昼休憩だ。今日も贅沢なご飯である。なんとか作り方を知りたいものだ。移動中にこれほど良いご飯を食べれるのは画期的と言っても過言ではない。普段は硬い携帯食を食べているからな……
食事が終わり、レーシャはメイドとしていつものように皆の食事を回収する。彼女は残飯や出てきたゴミを回収すると、麻の袋にいれ、道の脇に捨てた。
「さて、その中身を確認させてもらっていいかな? メイドさん」
俺はメイドに声をかけ、袋を探る。
「やっぱり手紙が入っているね。内容は暗号かな? それに匂いがついているね。この匂いで特定させていたんだね」
青ざめた表情で佇むレーシャ。予想通り、食事のゴミの中に手紙が紛れ込んでいた。改めて移動時を振り返った時に唯一単独行動が可能なタイミングはこの「ゴミを捨てる」タイミングだ。
「簡単な仕組みだね。革命軍は攻撃を仕掛け、終わったら後ろで待機する。そしてこちらの食事のタイミングで人海戦術でゴミを確保し、手紙を入手する。で、先回りして攻撃を仕掛ける」
何も答えることができないレーシャ。
「なんでこんなことをしようとしたんだ?」
「お金のためですよ。情報を渡すだけで大金がもらえます。それなら危険を犯してでも伝える価値がある、そう判断しただけです。王家に忠誠心があるわけでもないです」
「まあこうなった以上、逃げ切れるわけでもないでしょう。捕まったら死刑は免れないでしょうね。であればせめて姫様を道連れにして社会変化に貢献します! さようなら皆様! ファイア!」
犯行を認め、自暴自棄になってファイアを放つレーシャ。俺は咄嗟に馬車にプロテクトを発動するがレーシャが狙うのは上方だ。炎で革命軍に場所を伝えるつもりだろう。
「アリエッサ! 頼む!」
俺が声を張り上げるとアリエッサが応える。
「はい! ダーク!」
アリエッサが保有する魔法の1つ、ダークが発動した。ダークという魔法は、周辺に存在するものを全て吸収し、異次元に飛ばす魔法である。ファイアの魔法をダークで吸収することで音や光といった要素を消滅させる。
「まあそう来ると思っていたよ。準備しておいてよかった。後はエリス、頼む」
エリスは頷くと一閃、峰打ちでレーシャを昏倒させる。これでこの事件は一件落着だろう。
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