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カミラ姫との出会い
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俺達は移動用の魔物に引っ張られながらキエの街へ向かう。
「カミラ姫どんな感じなんだろうなあ。頭が天才っていう人に会ったことないから想像もつかないんだが」
「まあ、良くて変人、悪くて奇人でしょうね。まともな人ではないでしょう」
アリエッサは辛辣だ。
「強いのかな……?」
「天才でさらに武力も強かったら流石に反則キャラすぎないか?」
エリスはやはり戦い面が気になるようだ。
「そういえばカミラ姫の魔法って聞いたことないですね。ちょっと気になりますね」
アンが言う。確かにカミラ姫に関する話の中で、魔法に関して言及されていることはない。
「まあ、王族は代々魔法が強力な者を迎え入れるという伝統がありますからね、何か強力な魔法を保有して居てもおかしくはないですね」
エッジの解説が入った。どのような魔法が手に入るかはランダムとされているが、その強さについては遺伝性も認められるとされている。
「時間は山ほどあるだろうから聞いてみようか。とんでもない魔法だったらチームに勧誘してみるか」
「流石に王族をスカウトして冒険者にするのは無理があるのでやめてくださいね。私が怒られます」
「王族に会うの初めてなんで緊張します……!」
「すごい美人だったりしてな」
「あー期待しているかもしれないが、普通に疲れるだけだぞ。礼儀作法にうるさいからな。特にアンは昼間でも寝るんじゃないぞ」
「マスターの言う通りですがカミラ姫はそこまで堅苦しくないそうです。まあそうでもないと騎士を使わず冒険者を雇うなんていう話にはならないですからね」
そんな話をしながら時は過ぎていく。
特に何も起こることがないまま3日、俺達はキエの街に到着した。
「ふう、体がバキバキだぜ」
「しばらくは使いたくないです……」
「揺れるのがしんどいですね。冒険者ギルドに言って最高級のものを借りましたが、それでもやはり馬車と比べると疲れを感じます」
「…… 疲れた……」
俺もだが、メンバー皆疲れ切っているようだ。そりゃ姫様は馬車移動になるだろう。とりあえず約束の日時には間に合ったようでと良かったが、ただただ疲れた移動だった。
約束の夜19時に、料理屋に向かう。キエで1番の高級料理店らしい。どれくらい美味なのか楽しみだ。
「19時に約束していたものなのですが」
「はい、お待ちしておりました。お連れの方は先に到着しておりますのでご案内します」
店員の案内に従い後をついて行く。
個室のドアを開けると、そこには8名の者が座っていた。しかしカミラ姫が誰かはすぐにわかった。オーラが圧倒的に違う。
「お待ちいただいたようで申し訳ございません」
「いえ、こちらが早過ぎただけですのでお気になさらず。どうぞ座ってください」
俺達は席に座る。
「早速自己紹介といきましょうか。私が第1王姫のカミラよ。どうぞよろしくね。じゃあ次はブロットで」
カミラ姫は、笑顔で告げる。笑顔の似合う素敵な女性だ。思ってたイメージと違い、快活そうだな。理知的で物静かなイメージをしていたが想像とは違っていた。
「ブロットです。姫様の執事をしております。第1秘書だと思っていただければ問題ございません。どうぞよろしくお願いします」
執事だと言うブロットは中年のダンディな男性だ。まさに執事、というイメージ通りである。ピシッとした服がよく似合う。
「では次は私が。姫様のメイドをしておりますレーシェです。この旅では姫様の身の回りのお世話をさせていただいております」
「基本的にブロットとミミが私の世話役だと思ってもらえればいいですよ。さて、騎士の紹介は私からしましょう。右から順にジェニファー、ノラ、テレサ、ナンシー、アリシアです。私の護衛として今回は同行してもらいました。冒険者でいうとLV4~5くらいになりますね」
騎士は全員女性だ。姫の護衛となると全員女性なのだろうか。
「あ、今回は女性のみですが、王都で待機してもらっている騎士には男性もいますよ? 長期間の移動になるので女性のみとさせていただきました」
まるで俺の疑問を読み取ったかのようにカミラ姫が補足する。
「では、そちらも自己紹介いただけますか?」
俺、アリエッサ、エリス、アン、エッジの順に自己紹介を行う。
「ありがとう。どうぞよろしくね。じゃあ続けて今回の旅の目的を説明するね」
カミラ姫が続ける。よく話す女性だ。
「今回サクラに来た目的は、簡単にいうとより魔物を駆除し、領土を広げる仕組みを作ろうと思ってね。その相談に来たの。冒険者に足りないのは規律、領主の騎士に足りないのは給与。だからそのいいところどりをしたチームを作ろうと思ってね」
「10チームくらい作ってしまえばそのチームをローテーションさせればかなり効率的に魔物は駆除できるはず。そのチーム作りと陣頭指揮を領主と冒険者ギルドにお願いしにきたの」
「なるほど、事情は理解しました。しかしなぜそのようなことを?」
アリエッサが疑問を提示する。
「貴族への報酬として土地が必要だからね。王家が貴族を抑えることに今は成功しているけど、適切な報酬を与えないと反発の芽が生まれるわ。国の中で戦うことに意味はない。だから早めに対応しておこうと思ってね」
「カミラ姫どんな感じなんだろうなあ。頭が天才っていう人に会ったことないから想像もつかないんだが」
「まあ、良くて変人、悪くて奇人でしょうね。まともな人ではないでしょう」
アリエッサは辛辣だ。
「強いのかな……?」
「天才でさらに武力も強かったら流石に反則キャラすぎないか?」
エリスはやはり戦い面が気になるようだ。
「そういえばカミラ姫の魔法って聞いたことないですね。ちょっと気になりますね」
アンが言う。確かにカミラ姫に関する話の中で、魔法に関して言及されていることはない。
「まあ、王族は代々魔法が強力な者を迎え入れるという伝統がありますからね、何か強力な魔法を保有して居てもおかしくはないですね」
エッジの解説が入った。どのような魔法が手に入るかはランダムとされているが、その強さについては遺伝性も認められるとされている。
「時間は山ほどあるだろうから聞いてみようか。とんでもない魔法だったらチームに勧誘してみるか」
「流石に王族をスカウトして冒険者にするのは無理があるのでやめてくださいね。私が怒られます」
「王族に会うの初めてなんで緊張します……!」
「すごい美人だったりしてな」
「あー期待しているかもしれないが、普通に疲れるだけだぞ。礼儀作法にうるさいからな。特にアンは昼間でも寝るんじゃないぞ」
「マスターの言う通りですがカミラ姫はそこまで堅苦しくないそうです。まあそうでもないと騎士を使わず冒険者を雇うなんていう話にはならないですからね」
そんな話をしながら時は過ぎていく。
特に何も起こることがないまま3日、俺達はキエの街に到着した。
「ふう、体がバキバキだぜ」
「しばらくは使いたくないです……」
「揺れるのがしんどいですね。冒険者ギルドに言って最高級のものを借りましたが、それでもやはり馬車と比べると疲れを感じます」
「…… 疲れた……」
俺もだが、メンバー皆疲れ切っているようだ。そりゃ姫様は馬車移動になるだろう。とりあえず約束の日時には間に合ったようでと良かったが、ただただ疲れた移動だった。
約束の夜19時に、料理屋に向かう。キエで1番の高級料理店らしい。どれくらい美味なのか楽しみだ。
「19時に約束していたものなのですが」
「はい、お待ちしておりました。お連れの方は先に到着しておりますのでご案内します」
店員の案内に従い後をついて行く。
個室のドアを開けると、そこには8名の者が座っていた。しかしカミラ姫が誰かはすぐにわかった。オーラが圧倒的に違う。
「お待ちいただいたようで申し訳ございません」
「いえ、こちらが早過ぎただけですのでお気になさらず。どうぞ座ってください」
俺達は席に座る。
「早速自己紹介といきましょうか。私が第1王姫のカミラよ。どうぞよろしくね。じゃあ次はブロットで」
カミラ姫は、笑顔で告げる。笑顔の似合う素敵な女性だ。思ってたイメージと違い、快活そうだな。理知的で物静かなイメージをしていたが想像とは違っていた。
「ブロットです。姫様の執事をしております。第1秘書だと思っていただければ問題ございません。どうぞよろしくお願いします」
執事だと言うブロットは中年のダンディな男性だ。まさに執事、というイメージ通りである。ピシッとした服がよく似合う。
「では次は私が。姫様のメイドをしておりますレーシェです。この旅では姫様の身の回りのお世話をさせていただいております」
「基本的にブロットとミミが私の世話役だと思ってもらえればいいですよ。さて、騎士の紹介は私からしましょう。右から順にジェニファー、ノラ、テレサ、ナンシー、アリシアです。私の護衛として今回は同行してもらいました。冒険者でいうとLV4~5くらいになりますね」
騎士は全員女性だ。姫の護衛となると全員女性なのだろうか。
「あ、今回は女性のみですが、王都で待機してもらっている騎士には男性もいますよ? 長期間の移動になるので女性のみとさせていただきました」
まるで俺の疑問を読み取ったかのようにカミラ姫が補足する。
「では、そちらも自己紹介いただけますか?」
俺、アリエッサ、エリス、アン、エッジの順に自己紹介を行う。
「ありがとう。どうぞよろしくね。じゃあ続けて今回の旅の目的を説明するね」
カミラ姫が続ける。よく話す女性だ。
「今回サクラに来た目的は、簡単にいうとより魔物を駆除し、領土を広げる仕組みを作ろうと思ってね。その相談に来たの。冒険者に足りないのは規律、領主の騎士に足りないのは給与。だからそのいいところどりをしたチームを作ろうと思ってね」
「10チームくらい作ってしまえばそのチームをローテーションさせればかなり効率的に魔物は駆除できるはず。そのチーム作りと陣頭指揮を領主と冒険者ギルドにお願いしにきたの」
「なるほど、事情は理解しました。しかしなぜそのようなことを?」
アリエッサが疑問を提示する。
「貴族への報酬として土地が必要だからね。王家が貴族を抑えることに今は成功しているけど、適切な報酬を与えないと反発の芽が生まれるわ。国の中で戦うことに意味はない。だから早めに対応しておこうと思ってね」
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