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全面戦争 急(五章)
246.嫉妬の終点⑥
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「アルス…私も逃げたよ。逃げて逃げて逃げ続けた。父親が死にかけそうなのに逃げた…。でもさ…それをアルスはしょうがないって思えないんでしょ?」
そうコルが声をかけると、アルスは小さく頷いた。
「逃げてるのは自分だけじゃない。みんなも何かしら逃げたことはある。…でもさ、立ち向かわなきゃならない時には立ち向かっている。今はどっち?」
「立ち向かわなきゃ…でも…やだよ…。」
どんなに声をかけたとしても、心は近くにある《もう一対の手》を眺めていた。
それでも…彼女は諦めなかった。
「…こんな苦しみを理解してあげられずに、1人で逃げさせたり、立ち向かわせてごめんね。これからは一緒に逃げよう。そして一緒に立ち向かおう。アルスならできるよ、私、信じてるから。一緒に戦おう?」
コルは立ち上がり、背筋を伸ばしてアルスを見つめた。
彼女は手を差し伸べてくれた。その瞬間。今までの空虚のような瞳に一筋の光が差し込んだ。
「…うん。」
「今までの事を考えるのは全部、後からでいい。私が聞いてあげるから…こいつを倒して、家に帰ろう…。」
「…ああ。ごめん、へこたれてて。今"だけ"は大丈夫だ。」
差し伸べられた救いの手を、アルスはしっかりと握り、仰け反りながらも立ち上がる事ができた。
「さっさと出てこい!終わりにしてやる、フロス!!」
しかし、短時間の間にフロスはどうやら亜空間に行き、どこにいるかも分からない状況となっていた。
この状況…アルス1人ならばとっくに死んでいる、だが…《次元の眼》は彼を殺させまいと働く。
「飛び込んで!!」
コルは突然、そう叫んだ。《次元の眼》で見える攻撃の軌道は、全てを切り裂く、亜空の斬撃に対抗できる唯一の手段であった。少し遅れ、ブウン!!風圧が、彼らの髪に当たる。
しかし、間一髪で前に飛び込んでそれを避けていた。
「まずは…こっちから!!」
しかし、フロスは横に裂けた空間に体を出し、その直後に《亜空の戦斧》をアルスに向けて振り下ろした。
「ッ!!」
アルスはほんの少しだけ、反応が遅れてしまった。
しかし、次の瞬間には小さな両手の力で突き飛ばされて、それを避けた。
「初めから狙いはお前だよ。」
だが、それをも読んだフロスはこの一瞬で、アルスとコルを分断し、先に厄介なコルの方から潰すことを決めた。
そして《亜空の戦斧》を勢いで手から落とし…バシンッ!
「ッ!」
コルの顎に瞬間的に力を込めた蹴りを叩き込んだ。彼女はそのまま、背中を背に着けた。
「…頑張れ。」
と、彼女は言った。微かな声で。そして、そのまま目をつぶった。
そうコルが声をかけると、アルスは小さく頷いた。
「逃げてるのは自分だけじゃない。みんなも何かしら逃げたことはある。…でもさ、立ち向かわなきゃならない時には立ち向かっている。今はどっち?」
「立ち向かわなきゃ…でも…やだよ…。」
どんなに声をかけたとしても、心は近くにある《もう一対の手》を眺めていた。
それでも…彼女は諦めなかった。
「…こんな苦しみを理解してあげられずに、1人で逃げさせたり、立ち向かわせてごめんね。これからは一緒に逃げよう。そして一緒に立ち向かおう。アルスならできるよ、私、信じてるから。一緒に戦おう?」
コルは立ち上がり、背筋を伸ばしてアルスを見つめた。
彼女は手を差し伸べてくれた。その瞬間。今までの空虚のような瞳に一筋の光が差し込んだ。
「…うん。」
「今までの事を考えるのは全部、後からでいい。私が聞いてあげるから…こいつを倒して、家に帰ろう…。」
「…ああ。ごめん、へこたれてて。今"だけ"は大丈夫だ。」
差し伸べられた救いの手を、アルスはしっかりと握り、仰け反りながらも立ち上がる事ができた。
「さっさと出てこい!終わりにしてやる、フロス!!」
しかし、短時間の間にフロスはどうやら亜空間に行き、どこにいるかも分からない状況となっていた。
この状況…アルス1人ならばとっくに死んでいる、だが…《次元の眼》は彼を殺させまいと働く。
「飛び込んで!!」
コルは突然、そう叫んだ。《次元の眼》で見える攻撃の軌道は、全てを切り裂く、亜空の斬撃に対抗できる唯一の手段であった。少し遅れ、ブウン!!風圧が、彼らの髪に当たる。
しかし、間一髪で前に飛び込んでそれを避けていた。
「まずは…こっちから!!」
しかし、フロスは横に裂けた空間に体を出し、その直後に《亜空の戦斧》をアルスに向けて振り下ろした。
「ッ!!」
アルスはほんの少しだけ、反応が遅れてしまった。
しかし、次の瞬間には小さな両手の力で突き飛ばされて、それを避けた。
「初めから狙いはお前だよ。」
だが、それをも読んだフロスはこの一瞬で、アルスとコルを分断し、先に厄介なコルの方から潰すことを決めた。
そして《亜空の戦斧》を勢いで手から落とし…バシンッ!
「ッ!」
コルの顎に瞬間的に力を込めた蹴りを叩き込んだ。彼女はそのまま、背中を背に着けた。
「…頑張れ。」
と、彼女は言った。微かな声で。そして、そのまま目をつぶった。
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