マインドファイターズ

2キセイセ

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全面戦争 急(五章)

243.嫉妬の終点④

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俺は魚のように釣り上げられた…。
しかし、その前に一つ不可解なことが起こった。何故あの女は俺が下から攻撃すると分かった?

フロスが現実空間で少し考えていると、アルスは何も考えずに猛烈に突進をしてきた。

「ッ!」

…引きずり出され、不可解な事が起こりフロスが初めて焦った時、猛獣のようにただ殺意を込めたアルスには、無抵抗の兎が立っているようなものであった。

「クソが…!」

彼は背中を向いて、急いで亜空間に逃げた…しかし。
ビュンッ!
《避役の長棒》は大きく伸びて、フロスの脇腹を抉り取った。

「クッ。」

一撃で決めるつもりのアルスだったが、急所を外したので歯を食いしばってしまった。
しかし…その攻撃はフロスを追い詰めるには十分だった。彼はよろめき、亜空間の中をまともに歩けないような様子であった。

「…今だ。」

ボソッとアルスはつぶやき、亜空間の中に入り込もうとした。
ここでトドメを刺してやると意気込み、《避役の長棒》を小刀に変形させた。

「待って!アルス!そっち行っちゃダメ!!」

しかし、コルの注意は彼の耳にはまともに入らなかった。彼はただ殺意のままに突き進んだ。
亜空間に入ったフロスは右に逃げた、だから俺の小刀はそっちの方に向けていた。

しかし…

「なあアルス。ずっと考えていたんだ…寝る間を惜しんでな。」

突然、フロスは後ろから肩に手をかけて、耳元で話しかけてきた。奴はニヒルとは真逆な笑みを浮かべ、舌を出して「ケケッ」と笑った。さっきまで見ていたフロスは亜空間の幻覚だった。

そして……。

「あ…ああ…っ。」

亜空間が見せてくる幻覚は、アルスにとっての醜さを詰め込んだような蛆虫でもなく、コルが見せられた仲間が無惨に殺される幻覚なんてものじゃない。



…錯乱する。嗚咽が漏れる。体がビクビクと震える。
ごめん、ごめん。ごめんなさい。忘れていて…。

丁度4ヶ月前ぐらいの、襲われる前のタンダス村。
猛獣は亜空間から解き放たれ、一緒に机を囲って、飯やチェスをした友達の阿鼻叫喚が聞こえる。
俺の第二の故郷が襲われて、更地のようになって血の雨が降る所。

「アルス!!離れて!!」
自分の姉同然の人が、手袋をつけた悪魔の手のひらで、触れられ脳死させられる瞬間を。

なんで忘れていたんだろう。なんで忘れて生きていくしか無かったんだろう。
見せられたのは…幻覚でもなんでもない。俺の忘れていた記憶。
失った追憶は、フロスによって全て現実に引き戻された。

「……全部…思い出した…。」
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