マインドファイターズ

2キセイセ

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全面戦争 急(五章)

242.嫉妬の終点③

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煌びやかに鈍く光る《亜空の戦斧》の刀身は空よりも高く振り上げられ、奈落よりも深くに落ちる勢いでコルの胴体を狙った。

空間を斬る以上、斬る空間と同じ場所にある物体もまとめて斬られる。つまり、自然の摂理に存在するどんな物体であっても…フロスの刃を防ぐ事はできない。

しかし、その刹那。
キンッ!

「…"心物は壊れないよな!"」

自然の摂理から逸脱した、変形させていない原型の《避役の長棒》ならば、やつの刃を防ぐ事が出来る。
奴のハルバードの起動は読み切っていた。

そして、途中まで斬り裂いていた空間の裂け目から、アルスは現実空間へと帰った。

「危なかったなぁ弟!"3回目"も守れないのかと思ったぜ。」

「…うるせぇ!全部お前が原因だろ!!」

しかしフロスは、「そうだ」と堂々と認めた直後、アルスに向かってケヒッとほほくそ笑み、こう続けた。

「俺のことは意思のある"厄災"って考えてくれよ。お前が貰った幸運に対して、降り掛かってくる不幸なんだよ、俺は。」

「じゃあ…なんだよ。それが人を殺す理由かぁ!?」

「…人を殺すのはお前を不幸にするための通過点だ。別に殺人自体に理由は無い。でも…お前は大層な理由がなきゃ躊躇しちゃうもんなぁ…。だから"仲間は心臓を撃たれたんだろ?"」

「うるせぇなぁ!!」

もう感情は無くせ、このままだとフロスのペースに引き込まれるだけだ。あいつの挑発の目的は怒らせて攻撃を単調にさせることじゃない!ただただ俺の精神を殺したいんだ!

そして、俺は《避役の長棒》を大きく鋭利なハサミにしてフロスを切断してやろうとした。ジャキン…。

「危ないなぁ、そんなカッカすんなよ。」

ブンッ!しかし、フロスは《亜空の戦斧》を使い亜空間へと逃げ込んだ。

「アルス…!多分あいつに正面から攻撃を当てることは不可能だと思う!私が不意をつく!だから隙を作って!!」

だが、奴が亜空間に逃げ込んで、こちらの会話が聞こえなくなった途端、コルはアルスに即興でコンビネーションの提案をした。うんと1つ頷き、快くそれを始めた。

2人が互いが背中を合わせ、互いの背中を見る。そして耳打ちで会話をしていた。
これにより、フロスがどこから現れようが対処できる。

「……アルス!!下!」

しかし、それはアルスが予想のできなかった下から裂け目ができていた。コルの警告が無ければ、そこに落ちていたであろう。

「…ぶねぇ!」

と、驚きながらも、アルスは的確にフロスを追い詰める次の選択をとっていた。《避役の長棒》をフロスの持つハルバードに突き出た。

「おらぁ!」

そして《避役の長棒》を上手く変形させ、ハルバードを掴んで離さないようにした。それを持つアルスが後ろに倒れ込み、釣り上げるようにしてフロスを亜空間から引きずり出した!

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