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全面戦争 前夜(五章)
202.全面戦争 前夜②
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「いや…辛かったわ…。」
王になったカタァースを即位を祝福会が終わった。
彼はマーベインと共に王座を去り、自分の家に帰っていた。
帰るために王都から離れる彼をマーベインは疑問に思った。
「カタァースさんって引っ越すのか?」
「いや、引っ越さない。王城は別居だ、休日ぐらいはは自分の家に引きこもらせてくれ。」
「そうか…お互い頑張ろうぜ。命令には可能な限り従うからさ。」
「ありがたい限りだよ。そんときにゃ特別ボーナスやるよっ」
と、冗談じみた事をカタァースは口にした。
しかし、次に行った言葉は冗談抜きの本気で言った言葉に聞こえた。
「マーベイン、お前は単独で全ての兵士が束になっても勝てる。全面戦争、レジサイドは真っ先にお前を狙いに来るだろう…くれぐれも気を緩めるなよ。」
「何言ってんだ、その状況で気を緩める奴がいるか?それより、そっちを護衛の1人や2人はつけておけよ。」
「ああ、もちろんだ。」
歩きながら話していた2人に、とうとう曲がり道がやってきた。
マーベインは右に、カタァースは左に向かい2人は別れを告げた。
「生き残れよ、王様。」
「そっちもな、隊長。」
マーベインはその後、自分の家に帰った。
そしてドアを開ければ毎度のようにスノが出迎えてくれた。
「おかえり兄貴。帰るの遅かったからスープ冷めた。」
「ただいま。鍋であっためりゃいいだろ。明日は俺が作るわ。」
「はーい」
2人はなんの変哲のない会話を交わした。しかし、何気ない会話を繰り返した兄妹にしか気が付かない違和感があった。
「お前…殺り合うのが怖いのか?」
「別に。死ぬのが怖いだなんて思わないし…」
「思ってんじゃねえか。 」
「そうかな…。死ぬのは怖くないけど…みんなが死ぬのは寂しくて怖いな…。」
「そんなの誰だって怖いだろ。だから守り切ってみせるんだろ、大事な人を。」
当たり前に思った自分の価値観をマーベインはスノに話した。
するとスノは一つため息をついて、下を向いた。
「兄貴には…それが出来る自信があるんでしょ…。でも、私には激戦で守り切れる自信が無いの。」
顔に不安を浮かべていたスノに、マーベインは一息置いて、スノに再度話しかけながらスノの昔話をした。
「なぁ、スノ。お前が2歳の頃、俺達の街は大家事になった事がある。人は泣き叫び、建物は崩れて、街は酷い有様だった…。父と母もそこで死別してしまった。だが、俺はお前の手を握って、逃げ続けた。みんな燃えて…不安に駆られながらも逃げ切った。」
「…?」
「そうするしか無かったんだ。見捨てることができない大事なモンなら、死ぬ気で守れ。それが…やれる事だ。」
王になったカタァースを即位を祝福会が終わった。
彼はマーベインと共に王座を去り、自分の家に帰っていた。
帰るために王都から離れる彼をマーベインは疑問に思った。
「カタァースさんって引っ越すのか?」
「いや、引っ越さない。王城は別居だ、休日ぐらいはは自分の家に引きこもらせてくれ。」
「そうか…お互い頑張ろうぜ。命令には可能な限り従うからさ。」
「ありがたい限りだよ。そんときにゃ特別ボーナスやるよっ」
と、冗談じみた事をカタァースは口にした。
しかし、次に行った言葉は冗談抜きの本気で言った言葉に聞こえた。
「マーベイン、お前は単独で全ての兵士が束になっても勝てる。全面戦争、レジサイドは真っ先にお前を狙いに来るだろう…くれぐれも気を緩めるなよ。」
「何言ってんだ、その状況で気を緩める奴がいるか?それより、そっちを護衛の1人や2人はつけておけよ。」
「ああ、もちろんだ。」
歩きながら話していた2人に、とうとう曲がり道がやってきた。
マーベインは右に、カタァースは左に向かい2人は別れを告げた。
「生き残れよ、王様。」
「そっちもな、隊長。」
マーベインはその後、自分の家に帰った。
そしてドアを開ければ毎度のようにスノが出迎えてくれた。
「おかえり兄貴。帰るの遅かったからスープ冷めた。」
「ただいま。鍋であっためりゃいいだろ。明日は俺が作るわ。」
「はーい」
2人はなんの変哲のない会話を交わした。しかし、何気ない会話を繰り返した兄妹にしか気が付かない違和感があった。
「お前…殺り合うのが怖いのか?」
「別に。死ぬのが怖いだなんて思わないし…」
「思ってんじゃねえか。 」
「そうかな…。死ぬのは怖くないけど…みんなが死ぬのは寂しくて怖いな…。」
「そんなの誰だって怖いだろ。だから守り切ってみせるんだろ、大事な人を。」
当たり前に思った自分の価値観をマーベインはスノに話した。
するとスノは一つため息をついて、下を向いた。
「兄貴には…それが出来る自信があるんでしょ…。でも、私には激戦で守り切れる自信が無いの。」
顔に不安を浮かべていたスノに、マーベインは一息置いて、スノに再度話しかけながらスノの昔話をした。
「なぁ、スノ。お前が2歳の頃、俺達の街は大家事になった事がある。人は泣き叫び、建物は崩れて、街は酷い有様だった…。父と母もそこで死別してしまった。だが、俺はお前の手を握って、逃げ続けた。みんな燃えて…不安に駆られながらも逃げ切った。」
「…?」
「そうするしか無かったんだ。見捨てることができない大事なモンなら、死ぬ気で守れ。それが…やれる事だ。」
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