マインドファイターズ

2キセイセ

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探索編(四章)

184.紡ぐ彼の意志④

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今現在、奴の砂時計の様子を見ていると、『増』と掘られた方向とは真逆の『減』と書かれた方向に砂が移動している。

それが…さっきの焦りと、戦闘で、突然動きが悪くなったことに関係があるとすれば、今がチャンス。
この速度で砂が移動するとすれば、チャンスタイムは3分間!

「いっ…だ。」

深く速く呼吸をして、頭のズキンッとした痛みに苦しんでいるメイソンがゆっくりと立ち上がった。

「どうした…動きが悪いな!」

立ち上がる途中で、レイは思いっきり前蹴りをメイソンの腹に入れた。2mほどメイソンがぶっ飛び、壁に強く打ち付けられた。

「鉄板が仕込んである。死ぬほど痛いだろ?」

そう問いかけたレイは、倒れこんだメイソンにゆっくりと近ずいた。情けない声をあげながら、メイソンは背中を盾にしてまるまった。

メイソンはレイに背を向けて、命乞いを始めた。

「お、王の命令だ!俺は王の罪がバレた時の身代わりなんだ!だからクズの演技をしてたんだ!だから許してくれ!」

「心底楽しそうに見えたがなぁ!!」

球をぶっ飛ばすように、丸まったメイソンの背中目掛けてレイは勢いよく蹴りを放った。

「聞いてんのかぁ!!あぁ!?」

その後も二、三回メイソンを踏みつけ、冷静となったレイは、持っていた槍を彼の上に構え、背中の当たりを狙った。

「…もういい、後でたっぷり苦しんでもらうぞ。」

そう小さな声で言った直後、レイはメイソンの背中に槍を突き刺した…。
はずだった。

ドンッ。突如、目の前にいたメイソンは消え、何者かに殴られた。慌てて後ろを見ると、そこにはメイソンがいた。

「…?」

何が起こったのかは理解できなかった…。しかし、それを考える暇は無い、慌ててレイが1回転しながら槍で後ろを薙ぎ払うと、ヒュン…とメイソンは軽々と避け、その後に反撃で腹に殴りかかった。その時にチラッと見た砂時計には、先程の何倍も速い速度で砂が動いていた。

「なぜ…速くなったり遅くなったり…!?」

奴の心物の能力。レイはそれが分かった、あの砂時計の『増』と書かれた方に砂が向かっている時には奴が加速できる。『減』に向かっているなら奴は減速できる。

減速と加速の時間は互いに3分間あるが、加速を使えばそれに応じて砂の移動するスピードも速くなり、すぐに終わる。
逆説的に、『減』に向かっている時に、減速をすればその時間をすぐに終わらせれる。

「分かったぞ…お前の心物が!」

「だからどうだって言うんだぁ!?心物もないお前に何ができる!?」

そう嘲笑うメイソンに対して、レイは鼻で笑い返した。
そして、奴の表情が少し腹立った顔に変わった瞬間、レイはこう言い放った。

「この加速の時間を終わらせてやる。」
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