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探索編(四章)
177.服従への抵抗③
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「なるほど…服従、ですか。」
スノは少し立ち止まり考えたあと、そう呟いた。
ラーラが「服従?」と尋ねると、彼女はそれについて解説した。
「前に送られた、マーベインからの手紙を見たと思います。そこで書いてあったのは、ディラノスは心物を持っており、その力は洗脳のようなものであること。だから今、私達を洗脳して戦力を補強したい…というふうに考えているでしょう。」
「なるほど…なら王様はここにいる…?!」
「そういうことですね。」
と、ラーラの問いにスノは平然と答え。
この無数の鎧を前にして、ただ前へ歩いていた。
ラーラはそれを見て、彼女の力などを考慮した上で叫んで警告をした。
「ちょっと、さすがに危険よ!?」
「怯えちゃだめです。あのクソ王の思うがままです。」
「えぇ!?」
「それが、奴の心物の発動条件なんですから。」
「…っ」
怯えるなと言われ、スンと震えが止まるような人などいない。
それはスノも分かっていたことだ。だから、彼女は冷や汗を流していたラーラにこう言った。
「私の背中だけ見てください、恐怖なんて微塵も感じさせませんから。」
ラーラは言われた通り、大きく見えた彼女の背中を見下ろした。大柄な鎧を着た人に詰められる彼女は、さながら暗闇の中に光る小さい光源のように、存在感を目に焼き付けさせていた。
「おっ、コルから手紙だ。」
紙を、《次元の眼》に簡易的にくるんだだけの手紙がどこからか届いた。殴り書きの字で、こう書かれてある。
『王様は奥の方にいる』
それをそっくりそのまま、ナットはスノに伝えた。
そして、スノはひしひしと絶望が迫ってくるのを感じた。
「この兵士の大群をくぐり抜けて、あいつの元にたどり着いたとて…相手が王な以上、何も出来そうにない。この戦い、私達に…メリット無いですよね?」
「説得もできない以上…ここは撤退か?」
「いや、撤退をすれば4番隊は、壊滅……。待って、こんな騒ぎなのになんで私達しかここに来てない…?」
その事実に気がついた瞬間。彼女達の希望はどん底に突き落とされた。首が吹き飛ぶぐらい振り回して後ろを見れば、一気に寮が全て占領されていたことが判明した。
「いつの間に!?」
「クッソ!コルもいねぇ!」
振り返れば命を狙う兵士が、前を見れば命を狙う兵士が。
ディラノスによって、彼らを服従させるための場は完成されていたのだった。
そして、正面の兵士達が道を開け始めた。
その奥から、1台の馬車がこちらに近づいてくる。
「四番隊副隊長…そして、2人の新米よ。今から…"貴様らの仲間の1人を殺す"。さぞ、怖かろう?」
その声が聞こえたと同時に、ディラノス王は目の前に君臨した。
スノは少し立ち止まり考えたあと、そう呟いた。
ラーラが「服従?」と尋ねると、彼女はそれについて解説した。
「前に送られた、マーベインからの手紙を見たと思います。そこで書いてあったのは、ディラノスは心物を持っており、その力は洗脳のようなものであること。だから今、私達を洗脳して戦力を補強したい…というふうに考えているでしょう。」
「なるほど…なら王様はここにいる…?!」
「そういうことですね。」
と、ラーラの問いにスノは平然と答え。
この無数の鎧を前にして、ただ前へ歩いていた。
ラーラはそれを見て、彼女の力などを考慮した上で叫んで警告をした。
「ちょっと、さすがに危険よ!?」
「怯えちゃだめです。あのクソ王の思うがままです。」
「えぇ!?」
「それが、奴の心物の発動条件なんですから。」
「…っ」
怯えるなと言われ、スンと震えが止まるような人などいない。
それはスノも分かっていたことだ。だから、彼女は冷や汗を流していたラーラにこう言った。
「私の背中だけ見てください、恐怖なんて微塵も感じさせませんから。」
ラーラは言われた通り、大きく見えた彼女の背中を見下ろした。大柄な鎧を着た人に詰められる彼女は、さながら暗闇の中に光る小さい光源のように、存在感を目に焼き付けさせていた。
「おっ、コルから手紙だ。」
紙を、《次元の眼》に簡易的にくるんだだけの手紙がどこからか届いた。殴り書きの字で、こう書かれてある。
『王様は奥の方にいる』
それをそっくりそのまま、ナットはスノに伝えた。
そして、スノはひしひしと絶望が迫ってくるのを感じた。
「この兵士の大群をくぐり抜けて、あいつの元にたどり着いたとて…相手が王な以上、何も出来そうにない。この戦い、私達に…メリット無いですよね?」
「説得もできない以上…ここは撤退か?」
「いや、撤退をすれば4番隊は、壊滅……。待って、こんな騒ぎなのになんで私達しかここに来てない…?」
その事実に気がついた瞬間。彼女達の希望はどん底に突き落とされた。首が吹き飛ぶぐらい振り回して後ろを見れば、一気に寮が全て占領されていたことが判明した。
「いつの間に!?」
「クッソ!コルもいねぇ!」
振り返れば命を狙う兵士が、前を見れば命を狙う兵士が。
ディラノスによって、彼らを服従させるための場は完成されていたのだった。
そして、正面の兵士達が道を開け始めた。
その奥から、1台の馬車がこちらに近づいてくる。
「四番隊副隊長…そして、2人の新米よ。今から…"貴様らの仲間の1人を殺す"。さぞ、怖かろう?」
その声が聞こえたと同時に、ディラノス王は目の前に君臨した。
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