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牢獄編(三章)

126.外の空気

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「っしゃぁ!」

アルスは壁を乗り越えて、外に出ることに成功した。
そして、そのまま壁にそって走り続けた。

壁の角を曲がり、視界に見えたのは黄緑髪の小柄な人であった。

「コル!こっちだ!」

アルスはそう声をかけた。彼女はバッと振り返りアルスの顔を確認した。汗をかいて、やりきったような顔であった。

「…ナットは?」

彼女は、少し間を置いたあと不安を感じたのかアルスにそう聞いた。アルスはそっちもナットが見つかっていないということを察した。

その瞬間、緊張感が溢れ出した。

「呼んだー?」

それを吹き飛ばすかのようにニョキっとナットは顔を出した。
2人はほっと息をついたあと、どこに行くかを考えた。

何秒か考えたあと、コルは案をほか2人に話した。

「よかった…。次、山に籠っちゃう…?それとも…森?」

「サバイバルじゃねえんだぞ?」

ちょっとドヤ顔で言っていたコルの自信を打ち砕くように、アルスはズバッと彼女の意見を切り捨てた。ナットが後ろを向いて鼻で笑っていたのが、コルにとって癪だった。

「とりあえず、どこか人目がない場所に移動するか。で、アルスは普通の服を《避役の長棒》で作って、自分の服を作ってくれ。そんで日用品を買うんだ。残り二人を助けるまではここを拠点として動きたいな。」

「「…おお」」

「微妙な反応やめろよ!」

ナットの提案に、2人は納得したようだ。
彼の言った通りに、アルスは太陽の下を歩ける服を買いに行った。しかし…金がない…。

「ここらで日当の仕事は?」

「あるっちゃある。」

「おっけー、2人は適当に食材取ってきてくれ。」

「はーい」

アルスが中心となり、この脱獄後の生活のどのようなものにするかを決めた。そして、3人は決めたとおりに動いた。

ナット達は山へ食材を取りに、流れている川などから魚が泳いでいた。熊という盗人に奪われないように、身長に一匹、2匹と捕まえていた。

「…まじでサバイバルやってんじゃん。」

「そうだね」

と、コルは落ち着いている様子で、ナットに微笑みかけながら巧みな手つきで魚を次々と取っていった。見ているナットは少し引いてこう聞いた。

「お前….なんか、謎の才能あるよな」

「……」

彼女はそれを褒め言葉と受け取り、えっへんと言っているように100%のドヤ顔を披露した後、ちょっとニヤニヤしていた。

その頃、アルスはというと…。

「1日、働かせてください!」

「はい、分かったから!しっかり働いてよね!」

十軒ぐらいの店を周り、ついには大きめの個人経営の宿屋に落ち着いた。ほとんどゴリ推しで職を手に入れた。
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