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2キセイセ

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牢獄編(三章)

122.死刑からの逃亡④

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アルスは黒いフードを被り、コソコソと物音を殺してレイ達の物に近ずく、ナットが注目を集めているのか、少し警備が手薄な気がした。


……いたわ。

こっちを見て助けてーなんて言っている奴がいた。幸運だ。
ここの道に…アレがあったなんてな。

「…アルスー、助けてー。」

コルだ。いつもは本当に大人しそうなのに、今は牢にすがって今にも救出されることを望んでいる。

アルスは急いでコルの独房に近づき、ガチャンと牢を開けた。
その後、アルスはナットが逃げている方向とは逆の方向に指さした。

それをコルはそっちに行けと察し、そこから逃げていった。

「よしっ…最後に、レイとラーラ。」

そう、アルスはそのまま道を進み、レイ達が囚われている部屋に向かった。

足音を無くし、壁に背をつけて背後の確認など、1歩1歩を重く踏み込んで進んだ。

「!」

その時、アルスはレイ達のいる部屋が厳重な警備となっていることに気がついた。警備している人はたったの1人…。

それも、マーベインという最も危険な兵士が。

「…」

息を殺し、足音も殺し、気配すら殺し。
アルスはラーラと手や目、頭の動きだけで会話していた。
低いベッドからの体制のメッセージをしっかり受け取り、アルスは一歩づつラーラの牢に近ずいていた。

「……おい」
 
マーベインとはすれ違いになって避けたと思った瞬間、マーベインは急にその場で止まった。そして、長剣を抜き、こちらの首元に向かって刃を当てた。

「……」

最後の賭けだ。アルスはこのまま何もしなかった。
まるで、ここに自分が存在していないような態度を貫いた。

「ここで引き返せば、お前が逃げた事実は黙っておいてやる。さあ、これでも逃げれるか?」

「……真っ平御免だぜ。」

アルスはそう言って、着ていた《避役の長棒》で作った黒いフードの頭の位置から、木材を作り、それをマーベインのこめかみに叩き込もうとした…その時!

「!?」

「逃げる…でいいんだな、他の兵士もこれを見ていた…。残念だ。」

四角い木材がマーベインに向かって伸びていった。
しかし、あるところに付けばずっと止まっていた。そして、木材には無数の切り目が刻まれていた。

「《避役の長棒》…便利だな。そして、鍵を作って脱獄したな。」

見透かされ、一瞬、硬直状態になったアルスに、マーベインは全力で腹を殴った。アルスはクラクラと頭を振り回している。

そんなアルスに長剣を持って近づき、再び剣を突き立てた。

「だが、いくら逃げようと、俺の《守護者の刃》(ガーディアン・ブレード)で叩き潰してやる。」
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