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牢獄編(三章)
120.死刑からの逃亡②
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音を殺し、ナットのいる部屋まで進む。
音が鳴ったとしても、少々足音が鳴る程度、兵士の耳に入るわけが無い。
「グゥゥゥゥウ…ガァァァァア」
ナットはいびきをかいていた。腹を出して大きないびきで牢屋中に音を鳴り響かせる姿は猛獣そのものである。
脱獄するためにしているのかは知らないが、彼のいびきで足音が完全にかき消されていた。
のろり…のろりと進み続け…ナットの部屋まで残り10歩のところ。曲がり角から見回りの兵士が来たことに気がついた。
「……!」
アルスは何かを閃き、歩くのをやめて仁王立ちになった。
わざとらしく足音を鳴らして兵士に近づいた。
《避役の長棒》で血のような赤色の物を作り、それを頭の包帯から体の包帯に流れるように引っつけた。
「うァァ……」
そうアルスはうめき声を出して、兵士に近ずいた。
暗くてよく見えないが、兵士は一歩づつ引いているような気がする。
「…か、幽霊だ…。のっ、呪われるぅ…!」
と、兵士は小走りでアルスから逃げていった。
本っ当に便利な心物だと思いながら、アルスはナットの部屋の前に来た。
ナットが起きて、右手で鍵を開けている動作をしている。
早く開けろと言っているような気がした。
ガチャン!
その通りにアルスは《避役の長棒》を合鍵に変形させて、ナットの牢を開けた。ナットもそろりそろりと牢を出ていった。
そして2人が近づくと耳打ちで会話をし始めた。
「ミシェルは起きている。多分…アルスがミシェルに治療してもらえれば、お前の脱獄はバレる。だが、治療しなければレイやラーラ、コルは助けられない…。どうする?」
「治療してもらう。ミシェルの部屋を開けるぞ。」
「おっけーだ。」
ガチャン!
そう相談し、アルスはミシェルの牢に近づいた。そしてミシェルの牢屋を開けた。ミシェルは結構堂々と外に出た。
そして、アルスに耳打ちでこう言った。
「約束通り…治療してやる。ただし治療直後は違和感があるぞ。」
「頼む」
アルスがそう返答した瞬間、ミシェルは服の中に隠していた体力の肉を取り出した。そしてアルスの包帯を脱がして怪我をしているところを見た。
「少し貰うぞ」
と、アルスの傷口からアルスの背中の人肉を引き抜いた。
「っ!」
「我慢しろ」
その後、ミシェルは自分の心物であるフラスコを牢の中から取ってきた。そしてその中に、アルスから引き抜いた肉と、牢獄の飯に使われている肉を入れた。
その後混ぜ始めた。そうすれば、牢獄の飯の方の肉はたちまち人肉のような色やつや具合となった。作られた肉はアルスの皮膚とほとんど変わらなかった。
そしてミシェルは作った肉が入ったフラスコをアルスの背中に向けた。そして、フラスコの中の肉はアルスの怪我している背中に向かって、傷口を埋めるように向かった。
音が鳴ったとしても、少々足音が鳴る程度、兵士の耳に入るわけが無い。
「グゥゥゥゥウ…ガァァァァア」
ナットはいびきをかいていた。腹を出して大きないびきで牢屋中に音を鳴り響かせる姿は猛獣そのものである。
脱獄するためにしているのかは知らないが、彼のいびきで足音が完全にかき消されていた。
のろり…のろりと進み続け…ナットの部屋まで残り10歩のところ。曲がり角から見回りの兵士が来たことに気がついた。
「……!」
アルスは何かを閃き、歩くのをやめて仁王立ちになった。
わざとらしく足音を鳴らして兵士に近づいた。
《避役の長棒》で血のような赤色の物を作り、それを頭の包帯から体の包帯に流れるように引っつけた。
「うァァ……」
そうアルスはうめき声を出して、兵士に近ずいた。
暗くてよく見えないが、兵士は一歩づつ引いているような気がする。
「…か、幽霊だ…。のっ、呪われるぅ…!」
と、兵士は小走りでアルスから逃げていった。
本っ当に便利な心物だと思いながら、アルスはナットの部屋の前に来た。
ナットが起きて、右手で鍵を開けている動作をしている。
早く開けろと言っているような気がした。
ガチャン!
その通りにアルスは《避役の長棒》を合鍵に変形させて、ナットの牢を開けた。ナットもそろりそろりと牢を出ていった。
そして2人が近づくと耳打ちで会話をし始めた。
「ミシェルは起きている。多分…アルスがミシェルに治療してもらえれば、お前の脱獄はバレる。だが、治療しなければレイやラーラ、コルは助けられない…。どうする?」
「治療してもらう。ミシェルの部屋を開けるぞ。」
「おっけーだ。」
ガチャン!
そう相談し、アルスはミシェルの牢に近づいた。そしてミシェルの牢屋を開けた。ミシェルは結構堂々と外に出た。
そして、アルスに耳打ちでこう言った。
「約束通り…治療してやる。ただし治療直後は違和感があるぞ。」
「頼む」
アルスがそう返答した瞬間、ミシェルは服の中に隠していた体力の肉を取り出した。そしてアルスの包帯を脱がして怪我をしているところを見た。
「少し貰うぞ」
と、アルスの傷口からアルスの背中の人肉を引き抜いた。
「っ!」
「我慢しろ」
その後、ミシェルは自分の心物であるフラスコを牢の中から取ってきた。そしてその中に、アルスから引き抜いた肉と、牢獄の飯に使われている肉を入れた。
その後混ぜ始めた。そうすれば、牢獄の飯の方の肉はたちまち人肉のような色やつや具合となった。作られた肉はアルスの皮膚とほとんど変わらなかった。
そしてミシェルは作った肉が入ったフラスコをアルスの背中に向けた。そして、フラスコの中の肉はアルスの怪我している背中に向かって、傷口を埋めるように向かった。
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