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王都編(二章)
53.王都へ
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ガタン、ガタンガタン。
馬車はその後も、進み続けた。
力強く踏み込みを入れて、王都へと向かった。
「王都…ねえ、どんな場所だろ?」
「意外と息苦しいぞ。」
アルスがそう、心を漏らすと、王都をよく知るカタァースから、返信が帰ってきた。
それを聞いて「え~」と言ってニヤニヤして、期待を募らせているアルスに、カタァースはこれ以上に何かを言わなかった。
「あっ、そういえば、君たちのことが気になってね。色々なことを調べさせてもらったよ。」
あったことを伝えるように、カタァースは話し始めた。
「……多くの人が行方不明経験ありであったり。家族関連であったり。災難が多い人が集まった組織だねぇ」
「災難がなかったら、少年少女がここに集まることはないよ。」
ラーラが冷たくそう言った。
正論であったが、どこかに違和感があるように、コルは聞いてしまった。
「そもそもの話、ラーラ君は…"王都出身"なんだろう?」
アルスがそれを聞いた瞬間、ラーラに向かって前のめりになるように、頭を動かし目を見開いた。
「そうね」
「しかも…相当な名家出身…。なのに行方不明に……」
次の言葉をカタァースが言いかけた時、ラーラは《もう一対の手》で彼の口を塞いだ。素早い手間でやった動きの裏。彼女は冷や汗をかいていた。
「いいでしょ…過去なんて。今の方が大切なんだから。」
と、言った彼女の音色は、どこか震えて、寂しさを感じとった。
アルスやコルがこれ以上追求することは無かった。
そして、数分の時が経ち……。
馬車は止まった。
「着いたようだ。降りるぞ。」
馬車からおりると、真っ先に目に見えたのは、華々しい街であった。
大勢の人がおり、活気に満ち溢れている。
上を見上げれば、雲を突き破っているのかと思うほど高く、立派な城がドンと待ち構えている。
「すっげぇ……」
ポツンと、アルスとコプラが呟いた。
城に目が釘付けになって、周りが見えていない様子であった。
「さっ……ここからは本題の内通者探しだ。気を引き締めるぞ」
レイはそう言った。
しかし、見回してみると、隊員達はみんな自由に王都のどこかを見ている。
飯を見てよだれを垂らしているものや、まだ城を見ているものなど様々なものであった。
「はぁ…」と、大きなため息をつきながら。
しばらく待とうと思い始めた。
その時であった。
タン、タンッ、と重厚な足音が聞こえる。
高い靴を履いているのであろう。
それは、こちらに近づいてきている…ようだが。
こちらに興味は無さそうだ。
ドンッ…
こちらも注目していなかったゆえ、ラーラとその人の肩がぶつかってしまった。
「…あっ……すみません……って!」
なにかに気づいたラーラは、その高貴なオレンジ髪の女性にこう言った。
「母さん……?」
馬車はその後も、進み続けた。
力強く踏み込みを入れて、王都へと向かった。
「王都…ねえ、どんな場所だろ?」
「意外と息苦しいぞ。」
アルスがそう、心を漏らすと、王都をよく知るカタァースから、返信が帰ってきた。
それを聞いて「え~」と言ってニヤニヤして、期待を募らせているアルスに、カタァースはこれ以上に何かを言わなかった。
「あっ、そういえば、君たちのことが気になってね。色々なことを調べさせてもらったよ。」
あったことを伝えるように、カタァースは話し始めた。
「……多くの人が行方不明経験ありであったり。家族関連であったり。災難が多い人が集まった組織だねぇ」
「災難がなかったら、少年少女がここに集まることはないよ。」
ラーラが冷たくそう言った。
正論であったが、どこかに違和感があるように、コルは聞いてしまった。
「そもそもの話、ラーラ君は…"王都出身"なんだろう?」
アルスがそれを聞いた瞬間、ラーラに向かって前のめりになるように、頭を動かし目を見開いた。
「そうね」
「しかも…相当な名家出身…。なのに行方不明に……」
次の言葉をカタァースが言いかけた時、ラーラは《もう一対の手》で彼の口を塞いだ。素早い手間でやった動きの裏。彼女は冷や汗をかいていた。
「いいでしょ…過去なんて。今の方が大切なんだから。」
と、言った彼女の音色は、どこか震えて、寂しさを感じとった。
アルスやコルがこれ以上追求することは無かった。
そして、数分の時が経ち……。
馬車は止まった。
「着いたようだ。降りるぞ。」
馬車からおりると、真っ先に目に見えたのは、華々しい街であった。
大勢の人がおり、活気に満ち溢れている。
上を見上げれば、雲を突き破っているのかと思うほど高く、立派な城がドンと待ち構えている。
「すっげぇ……」
ポツンと、アルスとコプラが呟いた。
城に目が釘付けになって、周りが見えていない様子であった。
「さっ……ここからは本題の内通者探しだ。気を引き締めるぞ」
レイはそう言った。
しかし、見回してみると、隊員達はみんな自由に王都のどこかを見ている。
飯を見てよだれを垂らしているものや、まだ城を見ているものなど様々なものであった。
「はぁ…」と、大きなため息をつきながら。
しばらく待とうと思い始めた。
その時であった。
タン、タンッ、と重厚な足音が聞こえる。
高い靴を履いているのであろう。
それは、こちらに近づいてきている…ようだが。
こちらに興味は無さそうだ。
ドンッ…
こちらも注目していなかったゆえ、ラーラとその人の肩がぶつかってしまった。
「…あっ……すみません……って!」
なにかに気づいたラーラは、その高貴なオレンジ髪の女性にこう言った。
「母さん……?」
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