軌跡旅行

ウィーダム編

24.脱走者達

「そうなのか？なら、会わせてやりたいところだが……」

「無理ですよね……」

マリンはラキに話しかけた

「ああ、出られないからな。」

「でも！私の兄は出れたんですよね！だったら！」

そうマリンは目を輝かせながら言った

「あいつはすげえことをした」

「すごいこと？」

「そう、あいつの逃げた手段は誰にも真似できない。まるで全てが奇跡だ」

「奇跡？」

「あいつは自分の母親が連れて行かれた、連れて行くには人を箱に入れるんだ、その箱に一緒に入って魔族の大陸に行った」

「それで……？」

「そこからはわからん、だがある日伝言が来た」

「なんて？」

「『入った場所の後ろ。スティールより』とな。これで脱走完了したことがわかったんだ」

「何のことか分からないが、行ってみると……あったよ」

俺は、その場所に行き。目を向けた。しかし、あるのはただの壁だった

「あっ、おはようフレイン、来たんだね」

そこにはアカリがいた。俺は挨拶を返した後、アカリに質問した。

「アカリ、この壁ってなんかあったか？」

「うーん……何かありそうな気がする……」

「その壁は…隠し扉か？」

スペアがラキに質問した、確かに……何かあるかもしれないな……

「よく気づいたな、ここは斬新な隠し扉だぜ」

「へぇ……」

俺はその壁を押してみた、しかし何も起こらなかった

「開かないな……」

「そりゃあそうだろ、破壊するタイプの隠し扉だからな」

破壊するタイプの隠し扉ってなんだよ、そう思いながらよく見てみると、たしかにここだけ老朽化が進んでいるような気がしてきた。

「どうする？出るか？」

「いや、さっき言ってた惜しい男も気になる」

「ああ、惜しい男ね、この壁は元々すごく硬かった、その男はこの壁をここまで破壊したんだ。」

「それは、どんな武器を使ったんですか？」

マリンはラキに聞いた。

「なんでも試しただけだな」

「例えば？」

「鉄パイプとか、斧とかだな」

「なるほど……じゃあ、スペアはこの壁壊せる？」

「無理だな」

「即答かよ」

スペアの答えに思わずツッコミを入れてしまった。

「でも、スティールはどうしてこの壁の存在に気いたの？」「知らん、奴は初めて入ったときから全ての場所を知ってたりしているからな」

「えっ、それってどういう意味？」

「そのままの意味だ。」

……こいつ、やっぱり変だよな……まあいいか、今は脱出を優先しよう

「その惜しい男ってどんなやつなんだ？やっぱマッチョか？」

「いや、お前と同じぐらいの体格だ」

「俺と同じ？」

「何なら顔も似てるぜ、性格も」

「………？」

「“フレイロ”ってあんたのお父さんだよな？」

俺は驚きすぎて声が出なかった。そうだ、フレイロは俺の父親だ。