軌跡旅行

2キセイセ

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第一章 結界編

1.窮屈の中

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「昔々、200年前のこと、“勇者”と呼ばれる人が、人類を滅ぼそうとする魔族という種族と、争い始めました。勇者様は4つの神の内の一人である、“邪神”サーデスに敗れてしまいました。人類の命運はそこまでだと思われましたが、勇者様は最後の力で魔族が入れない“結界”を作り、生き残った人類を守りました」

ドンドン、ドンドン。

懐かしい、父がよく読んでくれた昔話を思い出した。……ん?…………誰かに呼ばれている、起こされてるのか?

「……んっ……」

「起きて!フレイン!」

なんだ、マリンか。朝から元気だなぁ……。

「もう7時!」

「うるせえ、魔族と人間じゃ、時間感覚が違うんだろ、人間は8時に起きるの!」

俺は布団を被り直して二度寝しようとするが、マリンは俺の腹をポコポコ叩きてきた。

「ぐふぅ!?」

「早く起きないと、朝食食べ損ねるよ?」

「うっ……分かったから…」

やっと降りてくれた。俺はベッド降りて3階から2階への階段を下った。

「今日もありがとな、マリン」

「いいよ、私はフレインに拾ってもらったんだし。普通の人なら魔族と人間のハーフなんて拾わないでしょ。」

そうなのだ。マリンは4年前に、この“結界”に入ってきた。マリンは結界の中で忌み嫌われていた。

その頃は、俺は15、マリンは12だった。

そりゃそうだ、魔族は人間を滅ぼしかけた、その魔族の血を持つ奴が来たんだが来たんだ。そりゃ嫌われる。

そんときはただの女の子としか思ってなかったんだが…マリンに事情を聞いて、親がいないとわかったら、もう面倒見るしかなくなったってことだ。

しかも、兵士とかと目が合うたびにマリンを連れ去ろうとしてくる、だからここで隠れて過ごしている。

「んじゃ、いただきます!」

「いただきまーす!」

今日のメニューは、パンとスープとサラダだ。美味しい。

「フレイン髪伸びた?」

「そうか?」

「そうだよ~、でもいいじゃん、フレインの黒髪はこのぐらいあった方がいいと思う!ストレートだし……でもせっかくの黒目が隠れちゃうな~…」

ははっ…照れるな、俺はそんな世間話をしながら朝食を完食した。

「ごちそうさま!」

「いっつも、早いね。そんな焦らなくてもいいよ。」

「それはそうだな…」

「それにしても…怖いね、兵士。」

「結界の外に…抜け出せれば……いいのに」

「いつか…ここから出て、兄に会いたいんだ」

「そうだよな…俺も父さんに会いたいし」

「でも、出れないよね…力がないし…」

空気が重くなってしまった、こんなことを考えてはいけない。 どうせ出れないなら、考えないほうが楽だ

「まぁ、私はフレインが助けてくれたから、今までの生活より幸せだけどね」

「ははっ、俺を落とそうとしてんのか?」

「違うしっ!」

こんな日常がずっと続けばいいと思ってた。


だけど、現実は残酷だ。
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