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五人の子どもたち、そして、ぼくと麗子ちゃんは、砂浜に散らばった。
真夏の太陽は、ぼくらの影を鮮明に描き出していた。哀しいまでに、くっきりと。
そして、影踏みの鬼は、ぼくからだった。
「いい? 始めるよ」
ぼくが言うと、みんな黙って頷いた。
ぼくは隣にいる子の影を踏み、その子はまた隣にいる子の影を踏んだ。
影を踏まれた子は、次第に姿が薄くなり、砂浜に溶け入るように消えていくのだった。
「ありがとう」の言葉だけ残して。
そうして順番に影を踏んでゆき、最後にぼくと麗子ちゃんだけが残された。
麗子ちゃんが鬼だった。
そして、麗子ちゃんは、ゆっくりとぼくの影を踏んだ。
意識が薄れていくなか、ぼくは母さんに呼びかけた。
「さよなら。母さん、麗子ちゃん」
母さんもぼくに呼びかけた。
「さよなら、悟。沢山のものを見てくるのよ。あなたのお父さんが、私にそうさせてくれたように」
それが母さんとの最後の会話だった。
真夏の太陽は、ぼくらの影を鮮明に描き出していた。哀しいまでに、くっきりと。
そして、影踏みの鬼は、ぼくからだった。
「いい? 始めるよ」
ぼくが言うと、みんな黙って頷いた。
ぼくは隣にいる子の影を踏み、その子はまた隣にいる子の影を踏んだ。
影を踏まれた子は、次第に姿が薄くなり、砂浜に溶け入るように消えていくのだった。
「ありがとう」の言葉だけ残して。
そうして順番に影を踏んでゆき、最後にぼくと麗子ちゃんだけが残された。
麗子ちゃんが鬼だった。
そして、麗子ちゃんは、ゆっくりとぼくの影を踏んだ。
意識が薄れていくなか、ぼくは母さんに呼びかけた。
「さよなら。母さん、麗子ちゃん」
母さんもぼくに呼びかけた。
「さよなら、悟。沢山のものを見てくるのよ。あなたのお父さんが、私にそうさせてくれたように」
それが母さんとの最後の会話だった。
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