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さん

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「ちびりゅうさんなら きのうの よる つきを みていただ」
かまいたちくんが いいました。びゃっこくんも おとひめさまも みんな つくえの うえに あつまっています。
「つき?」
ともくんは いいました。
「んだ」
かまいたちくんは うなずきました。
「そうそう」
おとひめさまも いいました。
「きのうの よるは きれいな まんげつ でしたものね」
「どこから つきを みていたの?」
ともくんは たずねました。
「あそこの まどの すきまからだあ」
「まどの すきま!」
ともくんは うしろの まどを ふりかえりました。
なるほど。まどには すこしだけ すきまが あいていました。
きのうの よる ともくんが しめわすれたのです。
「すきまって あの すきま?」
「んだ」
かまいたちくんが うなずきました。
「あの すきまだあ」
「それで そのあと どうなったの?」
「おら。ねちまったから そのあとの ことは わがんね」
「そのあとの ことは わたしから おはなししますわ」
おとひめさまが いいました。
「ちびりゅうさんは しばらく つきを ながめていましたが やがて…」
「やがて!」
ともくんは つばを ゴクリと のみこみました。
「ふわりと」
「ふわりと!」
ともくんは おとひめさまの ほうに からだを のりだしました。
「とびたちました」
「とんでった!」
ともくんは さけびました。
「ちびりゅうさん。どうしようと おもったんでしょうね?」
よこから びゃっこくんが くちを はさみました。
「きっと まんげつが あまりに きれいだったから つきへ いってみようと おもったに ちがいありませんわ。なんて ロマンチック!」
おとひめさまが こたえました。
とにかく ちびりゅうが いえの そとへ でたのは たしかな ことの ようです。
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