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頭がぼーっとしてうまく働かない。

ぼくはおそるおそる赤いキノコに手をのばした。

「ここにいるのは親を亡くした子どもたち」

竹尾くんがつぶやいた。 

「親に捨てられてしまった子どもたち」

竹尾くんの声はまるで呪文のようだ。

「親にひどくなぐられて、死んでしまった子どもたち」

頭に羽飾りをつけた子どもたちが、ぼくと竹尾くんのまわりを輪になっておどった。

おどるおどる子どもたちがおどる。子どもたちがまわる。ゆれるゆれる羽飾り。赤や青が入りまじる。

ゴーストダンスだ。

ぼくは赤いキノコを口に入れた。ふしぎにそのキノコは甘かった。

子どもたちを見ているうち。ぼくは目がまわってきた。
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