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「学校はどうだ」
「まあまあ」
どういっていいのかわからないから、ぼくはとりあえずそう答えておいた。
父さんと母さんが離婚したのが、三年前。なぜ別れたのかぼくは聞いたことがない。大人には大人の事情があるんだろう。ぼくは口をはさまないようにしている。
だけど、それから月に一度、延々とぼくと父さんは会いつづけることになった。
この月に一度の感動的な親子の対面ってやつ。ぼくはおおいに疑問だった。
もとから無口な父さんと話すことは、もうあまりない。こうして会って、黙って公園のベンチに座って、池をながめる。そこになんの意味があるんだろう。
ぼくは父さんの横顔をそっと見た。父さんは少し疲れているみたいだ。
目の前で魚がはねた。
「もう行くか」
父さんがベンチから立ち上がった。
こうして月に一度の儀式は、終わりを告げるのだ。
「まあまあ」
どういっていいのかわからないから、ぼくはとりあえずそう答えておいた。
父さんと母さんが離婚したのが、三年前。なぜ別れたのかぼくは聞いたことがない。大人には大人の事情があるんだろう。ぼくは口をはさまないようにしている。
だけど、それから月に一度、延々とぼくと父さんは会いつづけることになった。
この月に一度の感動的な親子の対面ってやつ。ぼくはおおいに疑問だった。
もとから無口な父さんと話すことは、もうあまりない。こうして会って、黙って公園のベンチに座って、池をながめる。そこになんの意味があるんだろう。
ぼくは父さんの横顔をそっと見た。父さんは少し疲れているみたいだ。
目の前で魚がはねた。
「もう行くか」
父さんがベンチから立ち上がった。
こうして月に一度の儀式は、終わりを告げるのだ。
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