かやりの風

8

「ばか者！　おまえたちの言う呪詛の法など、富士講にはないわ」
話を聴いて、オンバアははき捨てるように言った。
「うそだ。オンバア、このままでは俺たちの気がすまん！」
「情けない。富士講が人が呪うとは堕ちたものだ」
「なんと言われようとかまわん。呪詛の法を修してくれ」
「人を呪わば穴二つ。呪いは呪った者に必ず返ってくる。それがわからんのか」
「それでもいい。俺たちはやつらに一泡吹かせてやりたいのだ」
「なんと言われようとないものはないのだ！　帰れ、帰れ！」
オンバアに一喝されて、男たちは肩を落として帰っていった。