30 / 65
ACT1:闘技場都市の支配者
五歩
しおりを挟む
(さて、どう戦うか?)
操縦籠《クレイドル》の中央に立ち、『モルドヴォス』との間に横たわる市街地の映像を見渡す――スラムめいた裏路地を別にすれば、それほど立て込んだ街路ではない。輜重械が通ることを考慮して、道路自体も広めに作られている。
だが、身長30mの巨大ロボットが通れるかとなると、話は別だ。普通に地上を移動すれば、街に甚大な被害を及ぼしてしまうだろう。
現時点でもあの物質化した光の投槍『欺陽槍』は使えたはずだ。だがあの廃墟で戦った時とは違う。マリオンが残した『魂跡華』は使い切り、威力の下がった状態。
しかも映像面に表示される霊力――カイルダインの通常使うエネルギーは、現状さほどのプール量がない。
「カイルダイン、光槍は何本撃てる?」
〈現在の霊力プールでは十本がいいところです〉
「心細いな」
〈威力の面でも、モルドヴォスを破壊するにはいささか足りないかと〉
「じゃあやっぱり殴らなきゃダメか」
カイルダインの戦闘スタイルはどう見ても格闘メイン。マッシブな拳と、俊敏さを形に示す脚部がそれを雄弁に物語っている。強敵相手であればなおのこと接近戦を挑むべきだ。
(何を考えているのかは、分かります。あれに接近する方法、ですね?)
「そうだ。街を壊さずに――やれるか?」
(お任せ下さい。駐械場からここまでより距離がありますので、流石に一回のジャンプでは無理ですが――)
キィィイイイイイイイン――
操縦籠に鋭い音が共鳴する。1テンポ置いて、目の前の映像面に独鈷杵のような形のマークが表示され、それがこちらとモルドヴォスとの間へ次々と移動した。
実際の空間にそれがあるわけではない。ちょうどアクションゲームで表示されるヒントのようなものだ、と俺は理解した。
「なるほど、このマークの位置が、カイルダインで踏める場所か!」
(そうです。市街地の地盤を走査したところ、私の重量と着地の衝撃に耐えうる区画がいくつか特定できました。意識を集中して、「跳ぶ」と念じてください。場所によってはかなりの距離があいていますが、できます――助走なしで)
「解った。行くぜ!」
表示された―マーカーは五個。平均すれば一歩400mスケールの、三プラス二段跳び。
一歩目。
カイルダインの巨体が鉄色のちぎれ雲となって宙に舞う。
二歩目!!
市場の中央を占める円形の広場に、差し渡し5mを超える足跡が深々と印され、崩れた石畳の間から粘土層が露出して――
「三歩!」
もっとも間の空いた部分を一気に飛び越える。
空中を進むカイルダインの影が幾重にも折り重なった屋根の上に落ち、その凹凸に合わせて影の輪郭がざわめくように動く。
「キィイック!」
次の着地点は家畜の水やり場になっている、タイルで飾られた掘割の前。着地から切れ目なく踏み切った軸足を後方に高く振り上げ、やや前傾姿勢でカイルダインが跳ぶ。
間近に迫るその姿に、モルドヴォスは一瞬たじろいだように腕を動かした。肘関節のあたりから肉色の触手が伸び、腰の装甲に取り付けられていた突剣を絡めとる。
伸びる触手に操られたその剣が、左右からカイルダインを襲った。装甲の隙間を狙って突き入れられようとする切っ先を、背部に折りたたまれた翼のパーツを展開して弾いた――カイルダインと共鳴した俺には、その情報は自身の一部のような直感的な認識として捉えることができた。
(見える! いや、感じるぞ! |お前を通じてあらゆる情報が俺の中に!)
配管を流れる蒸気と熱水の動きが。絹糸束筒内で収縮する撚糸の軋みが。装甲の表面を吹き抜けていく風が。すべてが俺のものとして感じられる。
(そう、 私たちは今、一つです!)
独鈷杵マークの最後の一個はモルドヴォスの前方30m。神殿前の広場だ。着地と同時に地を蹴って、カイルダインの械体が滑るように突進する。
――食らえ!
「パァアンチ!!!!」
落雷を思わせる衝撃音とともに、鉄拳がモルドヴォスの装甲に激突。表面を覆った銅系合金の細かな破片が宙に舞う。保存護令械の巨体が弾かれてよろめき、十数mほど後方へ下がって神殿の半壊した壁にもたれかかった。
「硬い! なんて装甲だ、前に戦った渉猟械とは比べ物にならない!!」
あの時はいとも簡単に拳が敵の背面へ突き抜けた。だが目の前の械体にはまだ、わずかな凹みと傷がついた程度だ。
(これは予想以上でした。古いだけあってよく出来ています。堅牢さでは私に匹敵しますね)
モルドヴォスは神殿の瓦礫に手を差し入れ、付属の武器らしい大型の鎚矛を引き出した。体勢を立て直し――
踏み込んできた。重い一撃が肩の装甲にヒット、衝撃が操縦籠まで伝わる。
「くっ!」
凄まじい速さ。重量のある槌頭の慣性をねじ伏せ、鋭い角度で切り返して立て続けに襲い掛かる。カイルダインは猛攻の前に数合の間、防戦を強いられた。
〈ずいぶんと……楽しませてくれる!!〉
カイルダインが怒りをあらわにする。
「お、おい。大丈夫なのか!?」
〈この程度……傷もついていませんとも。ですが、完全械態ではない今の段階では、あれと戦うには少々仕込みが必要のようですね〉
「それにこの場所じゃ、あまり大きな動きはできない――市外に広がる台地に、やつを誘い出そう」
神殿の東側にはわずかな空き地と民家、それに市壁の東門が見える。まだ避難中の市民もいる。これらを出来るだけ守りながら、モルドヴォスを城壁の外へ出さねばならない。
* * * * * * *
アースラは駐械場へ駆け込み、専用械サーガラックの乗械壇を駆け上がった。
「姫様! サーガラック、異状ありません!」
交代で警備に当たっていた兵士が彼女に挙手礼をとって叫ぶ。
「ご出座なさるので?」
「うむ、ご苦労! ペイリスもすぐに『ザインガルス』で出る。装具を預かってやってくれ」
「承りました!」
兵士は一礼して乗械壇を駆け下り、渉猟械ザインガルスの位置まで走っていった。
サーガラックの操縦籠は彼女が鎧を着けたまま搭乗できるように設計されている――というより、この鎧そのものがサーガラックの操縦籠の『一部』ともいえる。
騎士ペイリスのザインガルスをはじめ、一般の遊猟械は鎧の一部を外して軽装にならねば、かさばった部位がつっかえて操縦できない。
アースラは操縦籠を内側から閉鎖し、鎧ごと鞍に収まった。操縦桿の間に突き出た台座の上に取り付けられたヒスイの擬宝珠に手をかざし、詠じて曰く――
「我観ず、万尋の深淵より来たれ竜王――サーガラック、顕現!」
オオオオオオオオ……
くぐもった咆哮が械体を震わせ、闘将械『サーガラック』が起動する。
蓋の裏側とその両隣の壁面が暗転し、外部の光景が映し出された。
サーガラックの眼から送られるその映像には、翼あるもののように滞空し街の上を駆け抜ける、銀色の巨体が捉えられていた。
「なッ……!?」
絶句する。
(あのような動き、いかなる護令械にもできたということを聞かぬ! いったい何なのじゃ、あれは)
十数秒の後、ヴォルターの操る械体は、歩数にして五歩のうちに千三百タラットの距離を収め、モルドヴォスに鉄拳の一撃を見舞った。
〈ペイリス、今のを見たな!〉
伝声管を通して増幅されたアースラの声が響いた。
〈は、この目でしかと。ですが、見たものが信じられませぬ〉
〈妾もじゃ〉
この時、アースラは直感していた。
何としてもあの械体と、これを佩用する騎士ヴォルター――否、恐らくは真正なるメレグの修道僧であるあの青年を、王国の陣容に加えねばならぬ。自らの手元に置き、妖魔王の侵略に対する防衛戦力の一角を担うものとせねばならぬ。どのような手段に訴えてでも。
――そのためにもまずは! モルドヴォスを、ロランド・ナジのなれの果てを討たねばならん!
操縦桿を握る手に否応なく力がこもる。
〈とにかくあの男だけに任せて我らが手をこまねいていてよいわけはない。行くぞ! 市壁の外に出て、神殿の裏手まで走る!〉
〈は、しからば拙者、僭越ながら先陣仕ります!〉
応、と叫んでサーガラックを突進させ、城門を潜り抜ける。市外の台地はその大重量を受け止めてなお崩れない強固さと、それゆえに耕す者を受け付けない不毛さを併せ持って拡がっていた。
ペイリスの遊猟械ザインガルスが先に立ち、軽量な械体を利して疾走する。その背中をにらみつつ、サーガラックが走る。
その手に携えるのは生身のアースラと同じく、両手持ちの巨大な鋼の斧だ。
操縦籠《クレイドル》の中央に立ち、『モルドヴォス』との間に横たわる市街地の映像を見渡す――スラムめいた裏路地を別にすれば、それほど立て込んだ街路ではない。輜重械が通ることを考慮して、道路自体も広めに作られている。
だが、身長30mの巨大ロボットが通れるかとなると、話は別だ。普通に地上を移動すれば、街に甚大な被害を及ぼしてしまうだろう。
現時点でもあの物質化した光の投槍『欺陽槍』は使えたはずだ。だがあの廃墟で戦った時とは違う。マリオンが残した『魂跡華』は使い切り、威力の下がった状態。
しかも映像面に表示される霊力――カイルダインの通常使うエネルギーは、現状さほどのプール量がない。
「カイルダイン、光槍は何本撃てる?」
〈現在の霊力プールでは十本がいいところです〉
「心細いな」
〈威力の面でも、モルドヴォスを破壊するにはいささか足りないかと〉
「じゃあやっぱり殴らなきゃダメか」
カイルダインの戦闘スタイルはどう見ても格闘メイン。マッシブな拳と、俊敏さを形に示す脚部がそれを雄弁に物語っている。強敵相手であればなおのこと接近戦を挑むべきだ。
(何を考えているのかは、分かります。あれに接近する方法、ですね?)
「そうだ。街を壊さずに――やれるか?」
(お任せ下さい。駐械場からここまでより距離がありますので、流石に一回のジャンプでは無理ですが――)
キィィイイイイイイイン――
操縦籠に鋭い音が共鳴する。1テンポ置いて、目の前の映像面に独鈷杵のような形のマークが表示され、それがこちらとモルドヴォスとの間へ次々と移動した。
実際の空間にそれがあるわけではない。ちょうどアクションゲームで表示されるヒントのようなものだ、と俺は理解した。
「なるほど、このマークの位置が、カイルダインで踏める場所か!」
(そうです。市街地の地盤を走査したところ、私の重量と着地の衝撃に耐えうる区画がいくつか特定できました。意識を集中して、「跳ぶ」と念じてください。場所によってはかなりの距離があいていますが、できます――助走なしで)
「解った。行くぜ!」
表示された―マーカーは五個。平均すれば一歩400mスケールの、三プラス二段跳び。
一歩目。
カイルダインの巨体が鉄色のちぎれ雲となって宙に舞う。
二歩目!!
市場の中央を占める円形の広場に、差し渡し5mを超える足跡が深々と印され、崩れた石畳の間から粘土層が露出して――
「三歩!」
もっとも間の空いた部分を一気に飛び越える。
空中を進むカイルダインの影が幾重にも折り重なった屋根の上に落ち、その凹凸に合わせて影の輪郭がざわめくように動く。
「キィイック!」
次の着地点は家畜の水やり場になっている、タイルで飾られた掘割の前。着地から切れ目なく踏み切った軸足を後方に高く振り上げ、やや前傾姿勢でカイルダインが跳ぶ。
間近に迫るその姿に、モルドヴォスは一瞬たじろいだように腕を動かした。肘関節のあたりから肉色の触手が伸び、腰の装甲に取り付けられていた突剣を絡めとる。
伸びる触手に操られたその剣が、左右からカイルダインを襲った。装甲の隙間を狙って突き入れられようとする切っ先を、背部に折りたたまれた翼のパーツを展開して弾いた――カイルダインと共鳴した俺には、その情報は自身の一部のような直感的な認識として捉えることができた。
(見える! いや、感じるぞ! |お前を通じてあらゆる情報が俺の中に!)
配管を流れる蒸気と熱水の動きが。絹糸束筒内で収縮する撚糸の軋みが。装甲の表面を吹き抜けていく風が。すべてが俺のものとして感じられる。
(そう、 私たちは今、一つです!)
独鈷杵マークの最後の一個はモルドヴォスの前方30m。神殿前の広場だ。着地と同時に地を蹴って、カイルダインの械体が滑るように突進する。
――食らえ!
「パァアンチ!!!!」
落雷を思わせる衝撃音とともに、鉄拳がモルドヴォスの装甲に激突。表面を覆った銅系合金の細かな破片が宙に舞う。保存護令械の巨体が弾かれてよろめき、十数mほど後方へ下がって神殿の半壊した壁にもたれかかった。
「硬い! なんて装甲だ、前に戦った渉猟械とは比べ物にならない!!」
あの時はいとも簡単に拳が敵の背面へ突き抜けた。だが目の前の械体にはまだ、わずかな凹みと傷がついた程度だ。
(これは予想以上でした。古いだけあってよく出来ています。堅牢さでは私に匹敵しますね)
モルドヴォスは神殿の瓦礫に手を差し入れ、付属の武器らしい大型の鎚矛を引き出した。体勢を立て直し――
踏み込んできた。重い一撃が肩の装甲にヒット、衝撃が操縦籠まで伝わる。
「くっ!」
凄まじい速さ。重量のある槌頭の慣性をねじ伏せ、鋭い角度で切り返して立て続けに襲い掛かる。カイルダインは猛攻の前に数合の間、防戦を強いられた。
〈ずいぶんと……楽しませてくれる!!〉
カイルダインが怒りをあらわにする。
「お、おい。大丈夫なのか!?」
〈この程度……傷もついていませんとも。ですが、完全械態ではない今の段階では、あれと戦うには少々仕込みが必要のようですね〉
「それにこの場所じゃ、あまり大きな動きはできない――市外に広がる台地に、やつを誘い出そう」
神殿の東側にはわずかな空き地と民家、それに市壁の東門が見える。まだ避難中の市民もいる。これらを出来るだけ守りながら、モルドヴォスを城壁の外へ出さねばならない。
* * * * * * *
アースラは駐械場へ駆け込み、専用械サーガラックの乗械壇を駆け上がった。
「姫様! サーガラック、異状ありません!」
交代で警備に当たっていた兵士が彼女に挙手礼をとって叫ぶ。
「ご出座なさるので?」
「うむ、ご苦労! ペイリスもすぐに『ザインガルス』で出る。装具を預かってやってくれ」
「承りました!」
兵士は一礼して乗械壇を駆け下り、渉猟械ザインガルスの位置まで走っていった。
サーガラックの操縦籠は彼女が鎧を着けたまま搭乗できるように設計されている――というより、この鎧そのものがサーガラックの操縦籠の『一部』ともいえる。
騎士ペイリスのザインガルスをはじめ、一般の遊猟械は鎧の一部を外して軽装にならねば、かさばった部位がつっかえて操縦できない。
アースラは操縦籠を内側から閉鎖し、鎧ごと鞍に収まった。操縦桿の間に突き出た台座の上に取り付けられたヒスイの擬宝珠に手をかざし、詠じて曰く――
「我観ず、万尋の深淵より来たれ竜王――サーガラック、顕現!」
オオオオオオオオ……
くぐもった咆哮が械体を震わせ、闘将械『サーガラック』が起動する。
蓋の裏側とその両隣の壁面が暗転し、外部の光景が映し出された。
サーガラックの眼から送られるその映像には、翼あるもののように滞空し街の上を駆け抜ける、銀色の巨体が捉えられていた。
「なッ……!?」
絶句する。
(あのような動き、いかなる護令械にもできたということを聞かぬ! いったい何なのじゃ、あれは)
十数秒の後、ヴォルターの操る械体は、歩数にして五歩のうちに千三百タラットの距離を収め、モルドヴォスに鉄拳の一撃を見舞った。
〈ペイリス、今のを見たな!〉
伝声管を通して増幅されたアースラの声が響いた。
〈は、この目でしかと。ですが、見たものが信じられませぬ〉
〈妾もじゃ〉
この時、アースラは直感していた。
何としてもあの械体と、これを佩用する騎士ヴォルター――否、恐らくは真正なるメレグの修道僧であるあの青年を、王国の陣容に加えねばならぬ。自らの手元に置き、妖魔王の侵略に対する防衛戦力の一角を担うものとせねばならぬ。どのような手段に訴えてでも。
――そのためにもまずは! モルドヴォスを、ロランド・ナジのなれの果てを討たねばならん!
操縦桿を握る手に否応なく力がこもる。
〈とにかくあの男だけに任せて我らが手をこまねいていてよいわけはない。行くぞ! 市壁の外に出て、神殿の裏手まで走る!〉
〈は、しからば拙者、僭越ながら先陣仕ります!〉
応、と叫んでサーガラックを突進させ、城門を潜り抜ける。市外の台地はその大重量を受け止めてなお崩れない強固さと、それゆえに耕す者を受け付けない不毛さを併せ持って拡がっていた。
ペイリスの遊猟械ザインガルスが先に立ち、軽量な械体を利して疾走する。その背中をにらみつつ、サーガラックが走る。
その手に携えるのは生身のアースラと同じく、両手持ちの巨大な鋼の斧だ。
0
お気に入りに追加
255
あなたにおすすめの小説
悪行貴族のはずれ息子【第1部 魔法講師編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第2部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/450916603
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……
踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)
悪行貴族のはずれ息子【第2部 魔法師匠編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
※表紙を第一部と統一しました
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第1部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/822911083
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる