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第二幕
わたし Chapter.1
しおりを挟むブリュンヒルドが〈娘〉と共に新居──つまりは〈娘〉が準備していた岩窟──での生活を始めて、もう一ヶ月が経過しようとしていた。
即ち〈完璧なる軍隊〉の暴走事件から、凡そ一ヶ月半後だ。
住まう洞穴の前にてパチパチとはぜる焚き火。
その見張り番をしながら、ブリュンヒルドは愚痴めいて溢した。
「暖に調理に光源──確かに〝火〟の恩恵は野宿紛いの生活には欠かせない物ですけどね」
しかしながら、単調な時間経過に飽きが生じてきたのも事実だ。
番の理由は、火種の問題ではない。文明が退廃した闇暦とはいえ原始時代ではないのだから、ライターひとつで事足りる。
肝心なのは、炎と育てる事であった。
ここまで息吹かせるには、少々手間と時間が面倒くさい。
だから、絶やさぬようにしなければならなかった。
退屈を紛らわせるべく辺りを見渡すも、地表には黒霧が滞るだけ。その黒いベールは鬱蒼とした樹林を朧と化けさせ、不気味な雰囲気を更に強調する。
さりながら、足首程度に張り巡らせた紐の柵を岩礁として、寄せては引く足掻きを繰り返していた。
「やはり此処までは侵入して来ませんね。ダークエーテル特有の理『人工領域には侵入出来ない』という法則に縛られているせいでしょうけれど……。簡易的とはいえ人為に作られた以上は、同定義の範疇という事でしょうか」
自己分析を巡らし、居住空間たる横穴へと見入る。
「それにしても……快適とは言い難い反面、然したる不便も無いものですね。おそらく私達が〈人外〉という事実に起因する部分も大きいのでしょうけれど……常人ならば、とっくに音を上げているでしょうね」
すると程なくして、ガサガサと繁みが掻き分けられる音が聞こえた。
その方向へと振り替えると、樹々の暗闇からのそりと巨体が現れる。
言うまでもなく〈娘〉だ。
「お帰りなさい」
「うん。ただいま」
寡黙ながらも流暢な喋り方で返す。
此処数週間で〈娘〉の語学力は格段に上がった。
ブリュンヒルドが個人教授してきた賜物である。
とはいえ、それを差し引いても〈娘〉の学習能力は極めて高いものであった。
立ち上がって出迎えると同時に、ブリュンヒルドは〈娘〉が片手にしている土産を見つける。
つまりは、今日の獲物だ。
「野兎……ですか」
「うん。二匹獲ってきた」
「はぁ……」
憂鬱な溜め息。
それを聞いた〈娘〉は、自分なりの解釈でフォローを挟む。
「大丈夫だ。ちゃんと『ごめんなさい』と告げてから殺めた」
「……そこではありません」
どうやら〈娘〉は殺生を咎められたと思ったようだが、生憎ブリュンヒルドもそこまで聖人君子ではない。
生きる為には、他の命を殺め食さなければならない──そんな摂理程度は心得ているし、ともすれば咎める気すら無い。
寧ろ北欧神館では、肉料理主体の宴など日常茶飯事だ。
彼女が滅入る理由は……コレを捌かねばならないという血腥い工程に対してだった。食用として処理するには、毛皮を剥ぎ、喉を裂き、手首足首を切り落とし、逆さ釣りに血抜きせねばならない。
原因を計りかねた〈娘〉は怪訝そうにブリュンヒルドを見つめていたが、ややあって漸く察するに至った。
「イヤなら、他のもある」
「他の?」
「うん。一応、獲って来た」
そう言って、ゴソゴソとズボンのポケットを漁る。
そして、取り出した現物を見るなり、ブリュンヒルドは強張った!
「ヒイッ?」
「蛇だ。これも蛋白質」
「い……いいい要りません!」
忌避に身を竦めて辞退する。
結局、残酷さを直視する調理へと折れるしかなかった。
「アンファーレンの所へは行ったのですか?」
「うん」
晩飯の兎肉を食しながら焚き火を囲う。
「元気そうでしたか?」
「うん」
「……そうですか」
また遠くから眺めていただけなのだろう。
人知れず集めた食料や薪を玄関先に置き去って……。
それを知るからこそ、それ以上会話は膨まなかった。
物憂いの沈黙に、小躍りする朱色が囃し立てる。
此処へ移ってからというもの〈娘〉は人間と距離を置くようになった。それはアンファーレンとて例外ではない。
云わずもがな、原因は〈完璧なる軍隊〉との市街戦だ。
あの戦いに於いて〈娘〉は一騎当千の戦闘能力を発現した。
彼女自身は、それに戸惑った様子も無い。
だが……居合わせた幼女は違った。
初めて直視した〈怪物〉としての側面。
ドス黒く穢れた〈娘〉を見る目は、明らかに異質へと向けられる怯えであった。
その変化に〈娘〉が気付いたかは定かにないが──いや、恐らく察したのであろう。だからこそ、人間との距離を置き始めた。
少なくともブリュンヒルドは、己の脚にしがみついた小さな震えを忘れる事が出来ない。
やるせなかった。
双方に理解と同情を抱くだけに……。
「マリーは……」
不意に〈娘〉が呟いた。
夜空に陣取る巨眼を、物憂いに見つめ返しながら……。
「……マリーは元気かな」
胸が締め付けられる。
(……どうにかしてあげたい)
そうは思いながらも、その方法がブリュンヒルドには分からない。
「……行きますか? 一緒に街へ?」
慈愛が紡ぐ誘いを、然れども〈娘〉は首を振って拒む。
「もう、マリーを怖がらせたくない……」
その淋しげな表情は、諦めて宿命を受け入れるかのように……。
あの日以来、マリーは訪れる事もやめた……。
ウォルフガング・ゲルハルトが自ら設計した〈完璧なる軍隊〉の基地は、ダルムシュタッド北東へ六〇〇メートル程離れた郊外に構えている。
周囲が荒岩に切り立った岸壁に囲われた盆地となっているが、それは演習や屋外実験に使用する目的で開拓したが故だ。
その中央に背高く鎮座する鋼鉄の砦は、見るからに武骨な威圧感を以て存在を誇示していた。
五百ミリ厚の重チタン合金の壁が本殿を護り、それは〈闇暦魔気〉は疎かあらゆる攻撃も排斥する。その中央には巨大な赤褐色の自動扉が門と据えられ、事有れば物々しい軍用車輌を吐き出すのだ。
そんな難攻不落の機械城中枢部──データベース管理室にて、ウォルフガングは寝食を忘れた解析作業に行き詰まっていた。
「ならば、何故だ? 何故、科学兵士は暴走したのだ?」
キータッチの音を休ませる事も無く、苛立ちと辟易に支配されてコンピューターモニターへと見入る。
連日を費やした再検証の結果、制御プログラムに欠陥は見当たらなかった。
ともすれば皆目、糸口が見えない。
さすがのウォルフガングも御手上げに近かった。
睨めっこが続いたモニターから離れると、オフィスチェアの背凭れへと深く体重を預ける。眼精疲労に目頭を摘まむも、脳は考察を休まない。
持ち前の思考準拠な性分が、良くない方向へと作用していた。
「いかんな。休むべき時は休まなければ、分析力が害われると解っているというのに」
冷めきった珈琲を流し込み、煙草を一服する事に決め込む。
虚空に燻る紫煙を眺めながら、心を自然体へとリセットした。
くすんだ煙は不定形に歪み、大気へと拡散して消える。
それが恰も〝群衆運動の遍歴〟のように重ね思えたのは、彼自身が歴史の奔流に幾度となく見続けてきたからであろうか。
「それにしても……」
心地好い虚脱が働き漬けの脳細胞を解放し、そのリラックスが思考好きの悪癖を再発させる。
「何なのだ……あの女怪物は……」
全身縫合だらけの女──。
電気を吸収し、放電し、己が異能と操れる怪物────。
「現状は未だ、自身の特性を開花させきっていないようだが……」
しかし、やがては把握し、使いこなせるようになるだろう。
その時、あの〈怪物〉は爆発的に成長する。
それを想像すると、ウォルフガングは戦慄を覚えるのであった。
何故ならば、彼が誇る〈完璧なる軍隊〉の天敵足り得る存在だからだ。
「早急に手を打ちたいところだが……まだ芽の内に……」
改めて過去の遭遇データを洗い直すべく、パソコンへと向き直った。
収集した画像を次々と流し見ていく。
と、その内のひとつに興味深い者を発見した。
「……コイツは?」
パレードでの一幕だ。
まだ〈娘〉の登場は疎か〈科学兵士〉の暴走すら起きていない。
熱狂する群衆を映した一枚である。
その有象無象の中に、醒めた表情で紛れる男を発見した。
「……ハリー・クラーヴァル?」
因果関係は解らない。
だが、無縁ではない気がしてならなかった。
「ふむ?」
深く背凭れ、巡らせる思索にトントンと鼻頭を刻む。
科学者としての本能が、何かを訴えていた。
(……ハリー・クラーヴァル──あの女怪物──操電能力──夥しい縫合痕────)
そして、その推測は重要なキーワードによって着地する!
(──『Fの書』!)
脳内の靄が快晴とばかりに失せ、ウォルフガングは抑えきれぬ興奮に立ち上がった!
「まさか『Fの書』だと! そうか! そういう事だったのか? いや、そうに違いあるまい! だとすれば、あの〈女怪物〉の奇異性も説明が付く!」
実際には、あの現場にハリー・クラーヴァルが居合わせたのは偶然だ。
さりながら彼の不幸は、この偏執的狂科学者が並々ならぬ執着心と演繹能力を持っていた事に他ならない。
例え異なる考察材料であったとしても、そこに有益な共通項を見出し、己が目的の解答へと結実する──逞しくも貪欲な想像力であった。
街では普段通りの日常が営まれていた。
表層的には……だが。
あの忌まわしき惨劇──〈完璧なる軍隊〉の暴走事件──は、忘れろと言っても忘れられるものではない。
そうした内包されている燻りを、ブリュンヒルドは敏感に感じ取っていた。
(皆、何処となく暗い陰を落としている。心の底から笑っていない。怯えに繕った笑顔だ)
潜む闇に注意深い観察眼を働かせられるようになったのも、あの〝ハリー・クラーヴァル〟なる紳士の示唆に依るものかもしれない。
人間には〝正〟と〝負〟の強い二面性が宿る──そう知れたのだから。
深く長外套を被り、素性を悟られぬよう街路を歩く。
あの一件で、一部の街人には〈戦乙女〉としての顔を知られてしまった。
余計なトラブルを避ける為にも、最低限の変装は必須だ。
況してや、何処にウォルフガングの目があるか判らないのだから……。
(マリーは……どうしているのでしょう?)
仄かな憂慮を抱きつつ、少女の家へと向かう。
街へと訪れた理由は、偏にこれだ。
頑なに人間を拒む〈娘〉に代わって、その近況を確かめに来た。
せめて己の目で確認した情報を〈娘〉に伝えたい。
それが好転に繋がるかは分からないが、そうせずにはいられなかった。
「……雷雨が来る」
闇空を見上げた〈娘〉は、予感めいて確信した。
慢性的な暗さに支配された闇暦に於いて、その微々たる予兆は常人では感じ難い。
さりながら〈娘〉は敏感に感受出来た。
雷光を糧とする性故であろうか。
いずれにせよ〈娘〉にとっては久々の主食だ。
通常食を電気還元するよりかは、手っ取り早く大量の高エネルギーを蓄積できる。
逸る気持ちに身を委ねて、彼女は地を蹴った!
少しでも高い場所──落雷を招き易い場所を目指して。
皮肉にも、それは大きな戦に備えた下準備となる事を、現状の彼女は知る由もない。
「いつかは、こうなると思っていたよ」
激しい雷雨が万物を殴りつける。
フランケンシュタイン城正面玄関にて〈完璧なる軍隊〉に取り囲まれながらも、ハリー・クラーヴァル──サン・ジェルマン卿は平静に受け入れていた。
恰も予見していたかのように、顔色ひとつ変えず……。
包囲する科学兵士達が向ける腕部銃口も、彼の覚悟には意味を為さない。そもそも抵抗する気など無いのだから。
武装の威圧を割って、絶対的な指導者が歩み出て来る。
「まんまと貴様に一杯喰わされていたというワケだな? ハリー・クラーヴァル──いや、不死身の男・サン・ジェルマン伯爵よ」
睨み据える上目遣いに臆するでもなく、サン・ジェルマン卿は涼しい微笑に観念を含んだ。
「そこまで洗い流しましたか」
「我々〈完璧なる軍隊〉を侮るなよ。多少は時間と手間を要したが、一度糸口を得れば如何なる情報にとて辿り着ける。長年に渡って蓄積されたデータベースは膨大なのだ。然もなければ、古今東西の〈怪物〉が跋扈する闇暦大戦の乱世を勝ち残る事など出来ん」
「成程」
乾いた納得に至る。
今回の事態だけではない。
彼の『Fの書』に関する盲執的精通も、そうした諜報収集力が基盤と有ればこそ……だ。
顎で兵士達へと捕獲指示を出すウォルフガング。
が、サン・ジェルマン卿はそれを無言で制すると、抗うでもなく自ら捕虜と進み出た。
「まさか偽名を使って、俗世に潜んでいたとはな」
耳元で囁く悪魔の嘲笑に、サン・ジェルマン卿は醒めた微笑で応える。
「それは御互い様だな……〝ヨーゼフ・メンゲレ〟よ」
「な……何!」
思い掛けもなく正体を看破され、それまで〝ウォルフガング・ゲルハルト〟を名乗っていた男は顔色を変えた!
かつて第二次世界大戦時にナチスドイツの〈アウシュビッツ強制収容所〉へと従事していた狂気の科学者──血塗られた呪怨と恐怖によって〝アウシュビッツの死の天使〟と呼ばれた男!
彼もまた、歴史の奔流を生き永らえてきたのだ!
「如何にして延命してきたかは知らないが……大方、ナチス時代の研究成果を用いた応用技術なのだろう? 君は数多くの捕虜を生体実験台として、遺伝子工学を追求してきたのだから」
「……フン」
腹いせに鼻を鳴らす。
口に出すのも忌まわしい史実ではあるが、ナチスドイツは無差別にユダヤ人を捕虜とし、虐殺してきた。
その主立った舞台となったのが、残酷極まりない毒ガス室で悪名を馳せた〈アウシュビッツ強制収容所〉だ。
一日辺りに処刑されたユダヤ人捕虜の人数は平均一万人、最終的な処刑人数は約二百五十万人にも及ぶと云われている。
しかしながら、一部のユダヤ人は毒ガス処刑を免れた。
双子だ。
彼等は貴重な生体実験台として、ヨーゼフ・メンゲレの物と弾かれたのだ。
それはある意味、処刑より残酷な刑罰と言えるかもしれない。
そこで待つのは、非人道的な猟奇的実験の数々であったのだから……。
賞杯とばかりに飾り並べられた〝眼球のホルマリン漬け〟は、その象徴であったのだろうか。それは宛ら〝昆虫採集標本〟の如く、対象・日時・出身地等のデータが事細かく記載されていたという。
忌まわしいくも汚らわしい〝戦争の堕とし闇〟である。
「常人では思い付きもせん延命技術に、その追求へと傾倒したが故の生体実験──貴様の〝死体再生実験〟とて、そうだ──我々は〝同じ穴の狢〟であったという事だな、サン・ジェルマン伯爵」
「……違うな」込めた嫌悪感もそのままに、サン・ジェルマン卿はメンゲレへと蔑視を向けた。「私が追求したのは〝死ぬ事〟であり、その根は〝生命への敬愛〟だ。例え、同じ猟奇者であったとしても……」
「フン、よくもほざきおる」腹立たしさを噛み殺し、本題を切り出す。「……『Fの書』は何処だ?」
「存在しない。此処には……な」
「まだ、そんなはぐらかしを! 通用すると思うか! 再三、我々を妨害した女怪物──あの電気の怪物は、貴様が造り出した生体兵器であろうが! あの醜い縫合痕が、全てを物語っているわ!」
「何?」
初耳の情報に、サン・ジェルマン伯爵はピクリと反応する。
(てっきり他国へと渡ったと思っていたが……まさかダルムシュタッドに残り、あまつさえ〈完璧なる軍隊〉と事を構えていようとは)
街に流布した噂は聞いた事がある──あの暴走の後、何者かによって現場の〈完璧なる軍隊〉が全滅させられた……と。
しかし、よもや〈娘〉の仕業とは、露程も思っていなかった。
さりながら、彼の想いを占めるのは、それではない。
(そうか、生きていてくれたのか……)
胸中を潤す喜びの念。
それは〈親〉としての情愛であった。
黒月を仰ぐ頬を濡らすのは、はたして感謝の涙か……激しく罪を糾弾する豪雨か。
あの〈娘〉がフランケンシュタイン城を逃亡したのは、今夜と同じ豪雷の日であった。
(それだけでいい……君が生き続けてくれるのならば……生きる意味を見つけてくれたのならば…………)
わざわざ〈完璧なる軍隊〉と敵対したという事は、そういう事だろう。
現在の〈娘〉には〝守りたいもの〟が出来たという事だ。
ならば、彼の為すべき選択は決まっている。
例え〈悠久の生命〉を擲ってでも……。
世界中が敵と回ろうとも、彼は〈娘〉を愛し続けるだろう。
嫌悪されようと……。
忌避されようと……。
その無償の愛こそが〈親〉としての証であり、産み落とした者の罪であると知るから……。
激しく殴り付ける雨は祝福……。
威嚇に猛る稲光は福音……。
大自然の猛威を全身で浴び、切り立つ崖の上にて〈娘〉は憩っていた。
「ぁぁ……」
癒されていくのが分かる。
満たされていくのが分かる。
同時に、現在の彼女は理解するのだ──こんな異常な環境に心安らぐ自分は、やはり〈怪物〉なのだ……と。
と、視界の隅で微妙な違和感を察知した。
数メートル眼下で暗く繁る樹々。
それは地上の黒雲と密集し、総てを闇に呑み潰す。
常人では見通すどころか、微々たる変化を捕らえる事すら不可能であろう。
だが〈娘〉は感知する事が出来た。
超人的五感を備えた彼女には……。
装甲車両だ。
悪路を強引に拓き進んでいる。
「……〈完璧なる軍隊〉?」
同時に引っ掛かる事があった。
彼等が後にした方角だ。
「フランケンシュタイン城から? 何故だろう?」
心中に湧く懸念!
あの方角に居る人物など、一人しか思い当たらない!
「……まさか? サン・ジェルマン?」
両者に、どのような因果関係があるのかは解らない。
だが、その結論しか思いつかなかった。
そして、やがて雷雨は痛いものへと変わるのだ。
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