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ガキィィィィン!!

僕とリムルの剣が交わる。
今度はリムルは体制を崩さずしっかりと受け止めてくる。
リムルとのつばぜり合いをしている間にリムルは「龍化」をし羽が生えてくる。

「・・・ぐ・・・!?」

「龍化」したリムルの力はさらに上がり僕はだんだんと押されてしまう。
一旦僕は後ろに飛び「乱れ切り」と「かまいたち」を放ち「魔爆剣」で地面を叩きつける。
リムルは「かまいたち」の嵐を受けきれずに何発か体に食らい、飛んできた土を食らい倒れる。
僕は距離を詰め斬りつけるがリムルは転がりながら避け、羽を使い空にふらふら飛び立つ。
今度はリムルが広範囲に炎を吐き出す。
僕は避けずに思い切り地面を「魔爆剣」で叩きつけながら「ジャンプ」し、空中で「魔力剣」で炎を切り裂きながら進んでいく。
全ては切り裂けずダメージを食らうが、構わずリムルより高く飛び天井に着地する。

「はぁあああああ!!」

僕は思い切り天井を蹴り飛び、リムルの頭上から「切断剣」を叩きつける。
リムルは僕の攻撃に耐えられず地面まで落ち地面には小さなクレーターが出来上がる。
が、リムルは怯まず口から突風を吐き出し、僕はそれを躱せずまともに受け背中から天井に小さなクレーターを作りながらぶつかる。

「・・・がはっ!?」

思わず灰の中の酸素を一気に吐き出し全身に痛みが走る。

「ウィル!!」

目を開けると全体が見え、今アイリスが最後の一人のゲ兵士を斬りつけ倒しているところだった。
他の皆は上を見上げ僕の心配をしてる。
僕は大丈夫、と言う意味を込め笑って見せる。
リムルもそれを見て僕に笑って見せる。
違う、お前に笑ったわけではない、男同士で笑いあうなんてフランジェシカしか喜ばないわ。
まぁきっと戦闘狂のリムルは僕がバトルを楽しんでいると勘違いして、自分と同じだと笑って見せたのだろうが。

僕は今度は天井を蹴り、壁を使って地面まで降りる。
が、その時少しずつ天井が崩れてきた。
今はまだ、いくつかの天井が先ほどの衝撃で崩れてきただけだろうが、ここはそう長くはもたないだろう・・・。

「エリザベス!!皆を連れて外に出てろ!!」
「!?・・・でも!」
「僕は大丈夫だ!!だろ!?」
「・・・わかった!!全員退避!!あとはウィルを信じましょう!!」
「・・・お兄ちゃん!!負けたら許さないんだから!!」
「ウィル!!必ず勝って来いよ!!」

エリザベスの声に従い、皆外に向かい、アイリスとレイからすれ違いながら激励を受ける。

(ウィル。絶対戻ってきてね。後でお姉ちゃんがいっぱい抱きしめてあげるから。)
(ん。私も。必ず戻ってきてね。)

エリーゼとクリスからも「念話」で激励を受け、僕は体に力がみなぎってくる。

「・・・これは負けられないね。・・・「雷神衣威」「空間把握」「俊足」!!」
「$%’&’$$(’&$’$’)$)’&$’$!!」

僕は再び体に雷をまとわせ、リムルはなんて言っているかわからないが体に赤い魔力を纏わせる。
僕らの中心に大きな岩が落ちたの合図に僕らは同時に駆けだし「かまいたち」を放つ。
二本の「かまいたち」は中心の大きな岩を前後から切り裂かれ真っ二つに割れ、僕らは対面する。
再び僕らは剣を交えると、今度はそれを合図に天井がどんどん崩れてくる。
だが僕らはお互いに一歩も引かずに剣を激しく振り続ける。

一秒が長く感じる・・・。

岩が落ちてくるのが遅く感じる・・・。

僕らはそんな感覚を抱きながら戦い続けた。
僕らの攻撃で左右にある割れた岩はすでに粉々になり足元に転がっていた。
僕が渾身の一撃で振るった剣で、リムルの剣を弾き体制を崩させるがその瞬間リムルは口から氷の塊をいくつも吐き出す。

僕はそれを全て剣で受け流し、リムルに向かって「魔爆剣」を振るうが、今度はリムルも「魔爆剣」で対応し、二人の間に大きな爆発が起きる。

「・・・くっ・・・。「雷掌底」!!」

僕らは二人とも剣を手放してしまい、二本の剣が宙を舞っている中、僕は体制を立て直しリムルの懐に入り込み「雷掌底」を叩き込む。

「()’%()’%(!?」

リムルはまともにそれを受け体が痺れ硬直する。
さらに「魔爆掌底」を連続で叩き込むとリムルは壁際まで吹き飛び倒れこむ。
・・・この好機を逃すわけにはいかない。

「・・・貴方と戦うのはこれで三度目ですね。・・・でもこれで終わりです。」

僕は空から降ってきた剣を頭上でつかみ取るとそのまま倒れているリムルに駆け寄り剣を振るう。

ガキィィィィン・・・!!

「・・・え?」

僕はリムルを斬った・・・はずだった。
確かに今リムルを斬っている・・・が、その感触はなく、ただ地面に剣を叩きつけた感触と音だけが伝わってきた・・・。

「…どうなって・・・?」
「あははははは!!私を忘れてもらっちゃ困るなぁ!!」

僕が声のする方向を見るといつの間にかリムルを引きづった妖精、プププが宙を舞っていた。

「あははは!!リムルを斬ったと思った?ねえ?思った?あはははは!!残念!!それは私の造った幻でした!あー惜しかったね君!!ウィル君って言ったっけ?惜しかった!!非常に惜しかった!!あと少しで・・・うあ!!??」

僕はしゃべっているプププに向かって「かまいたち」を放つがそれもプププの造った幻だったらしく、彼らは洞窟の奥の通路の近くに姿を現す。

「もっとお話ししたかったけど残念時間切れみたいだ!・・・一つだけ言わせてもらうけど私達はしつこいよ?一度決めたターゲットは必ず仕留める。それが私達!!・・・じゃあね!!」
「・・・待て・・・!?」

それだけ言い残すと彼らは通路の奥へと消えていき、その道を塞ぐように大きな岩が落ちてきた。

「・・・くそ!!あと少しだったのに・・・!!」

仕留めきれなかった・・・。
ただそれだけが悔しかった。
最後のあの言葉、つまりは彼らはまだアレクサンドラ達を諦めていないはずだ。
・・・ここで仕留められていれば・・・。

「・・・ウィルさん!!」
「・・・アレクサンドラ!!なんでここに!!」

僕の後ろからアレクサンドラが「雷神衣威」を使って走ってきた。

「戦いは見てました!!とにかく今は脱出しましょう!」
「・・・そうだね。」

恐らく一番足の速いアレクサンドラが僕を呼びに来たのだろう。
僕らは「雷神衣威」を使い崩れていく洞窟を後にした・・・。

「・・・ウィルさん・・・。いや!!兄貴って呼ばせてください!!」
「・・・は?」

洞窟を出て家族達からの熱い抱擁をされた僕は(正直この抱擁で僕は窒息しかけた。)エリーゼの治療を受けていた。
が、その時アレクサンドラが近くに来ていきなり僕を兄貴と呼び始めた。

「僕!兄貴とリムルとの戦い初めから見てました!!エリザベスさんに止められたけど、何かあった時一番素早く動けるのは僕だから!!・・・兎に角!!僕感動しました!!兄貴は本当にかっこよかった!!だから兄貴と呼ばせてください!!お願いします!」
「いや、もう呼んでるじゃん。・・・まぁいいか。好きにして。」
「!!ありがとうございます兄貴!!」

正直今は疲れているのでどうでもよくなった、と言うのが本音だ。
皆はよく戦ったと褒めてくれるが、あと少しで仕留められた所で逃げられたのは正直悔しくて仕方ない。
それに先ほどの最後の言葉・・・、この先もどこかで彼らは現れるだろう。
まだまだ油断はできない・・・。
僕は疲れてそのまま地面に寝転がり爽やかな風と小さな滝の音に耳を傾ける。
でもあと一歩だった。
僕は確実に強くなっている。
次こそは必ずリムルを倒して皆を守る。
そう心に誓った・・・。

「・・・あの、ウィルさん。「カンパニー」の皆さん。洞窟を破壊してくれてありがとうございました!!」
「「「「「ありがとうございました!!」」」」」

いつの間にか近くに来ていた子供たちが一斉にお礼を言ってくる。

「どういたしまして。でもお礼ならアレクサンドラ達に言って。僕らは彼らの護衛役だからね。最終的にここに来ることを決めたのは彼らだから。」
「はい!!アレクサンドラさん!ありがとうございました!!」
「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」
「え・・・?あ、いや・・・。どういたしまして?」

アレクサンドラは子供たちにお礼を言われて少し照れているようにも感じた。
王子がそんなことでどうするんだとも思ったが、なんだか全て丸く収まった気がして良かったと思う。

僕らは少し休憩した後、今度は「パライス」の街に向かった。
「パライスの」街は今の場所から南東に向かって歩いて一日はかかる場所という事で、僕らは今日はそこでダイブアウトすることになった・・・。

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