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廃教会前編

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「……」
「……」

 二ヤリ……。

 ガシッ。

 全然わからない。

 場所は王都の頑固爺のストスの工房。

 Mr.らを連れ鍛冶場に入ったかと思うと、お互い剣を一本ずつ渡しあいじっと見つめる。

 5分はたっただろう。

 その後お互い笑いあったかと思ったら握手をしている。認め合ったのだろう。職人にしかわからない世界だ。

「……お前、毎日ここに来い」
「……わかった。」

 交わした会話はこれだけ。フランジェシカがいたら鼻血ものだろう。

 彼らがなぜここにいるかというと僕らが持つ簡易転移石だ。これは転移ポータルを一カ所だけ記憶させておくことができる。もちろん登録地に行ってその場で記憶させなければならない。

 これを3つ使い彼らを呼んだ。

「あら、いいとこじゃない」
「す、すごいです!お屋敷です!」
「……これは驚いた。」

「「「おかえりなさいませ(ニャ)」」」

 クランホームに案内するとメイド達がお出迎えをしてくれ、3人は驚いていた。
 そう言えばまだ話していなかっな。

「まずは家具ね。何にもないじゃない」
「ソファーが人数分。寝室に古臭いベットが人数分」
「こ、これは何とかしないとですね」

 申し訳ない。なんか恥ずかしい。

 だがホームを買ってから忙しくて何もできていないから仕方がない。

「ダブルナイツ」も同じ状態だと聞く。

「でもまずは三人の使う工房が先ね」

 これはここに向かう途中で決めていたことだ。まずは工房。そのあと掃除に家具だ。

 意外とやることが多い。
 というかお金が足りないか……、

 まずはメニューを開き「空間拡張魔法」をかける。・・・特に変わった様子はない。ただの初期費用を払っただけだ。次に鍛冶場2つに裁縫部屋を選択。1万G、2万G、5万G、10万Gと値段が上がっていき設備が良くなるようだ。

 3人は自分たちで1万G、僕らが6万Gを出し2段階上げておく。

 すると突然地下室行きの扉が現れる。

 そこに入ると確かに扉が3つ。簡単な設備が各部屋に揃っていた。
 すごすぎて言葉がでませんよ僕は。

 この日はここまでにしテイラーにはメイド3人の服を頼んでおいた。


 次の日僕、アイリス、クリス、エリーゼ、エリザベスに加えレヴィの6人でパーティを組み廃教会を目指すことになった。テイラーはメイド服作り、Mr.はストスところで修行だ。

 王都東門から東にまっすぐ進むと枯れた林が見えてきた。門番の話だとここはアンデットが出るという話だ。

「アンデッドかぁ。ゾンビとかみたいなぁ」

 レヴィはホラー好きのようだ。

「アンデットかぁ。試練の塔みたいな骨だったらいいなぁ」

 アイリスはホラーは苦手だ。
 夜にホラー映画を見た日の夜は必ず僕のベットに潜り込んできて寝る。さらに夜中にトイレにも起こされる。なら見なきゃいいのについつい見ちゃうそうだ。それはしょうがないことなのだとかわけわからないことを言いながら。

 僕含め他3人は特に好きでもないが嫌いでもない。

 ・腐ったおじさんLv21×2

「出たわね!でもおじさんって早くに亡くなってしまったのね」
「いや、自然発生したんでしょ?」
「さすがにおじさんがなったわけではないでしょ」
「エリアヒール」
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
「おじーーーーさーーーーんんん!!??」

 いきなりの光魔法にアンデットは反応できず天に召されていった……。

「ちょっとエリーゼ!!いくら何でもいきなりすぎるよ!!おじさんにも心の準備があるんだよ?」

「邪魔。不快」

 アイリスの言葉をズバッと切るエリーゼ。
 この神官ヤンキーでっせ。

 ・腐ったおじいさんLv18
 ・腐ったおじさんの飼い犬Lv14

「そんな。飼い犬まで」
「でも最後まで一緒にいたいという二人の愛が「エリアヒール」おじーーーさーーーんーーー!!!???」

「邪魔、うっとうしい。臭い」
「「「「……」」」」」」」

 楽しいがなんかかわいそうだ。

「ウィル。私間違ってる?」
「いや。名違ってはないよ?むしろ彼らが誰かを傷つける前に眠らせてあげるのも神官の仕事だしね」
「ん。ありがと。ウィルが理解者ならいい」

「アイリスも少し慣れた方がいいな。相手はモンスターだ」
「そうだね、アイリス間違っていたよ。眠らせてあげないとだよ「エリアヒール」おばーーーさーーーーんんん!!???」

 何だこの茶番は……。
 これは時間かかりそうだ。

「ん。なんでか骨にはヒールがきかないみたい」
「なら剣で切るまでだ」
「駄目だよあれは夫婦なんだよ?」

 ・腐った骨の夫婦Lv21、23

「そうね。あれはさすがに可哀そうよ…‥‥って隙あり!!」
「ごふうーーーーふーーーーー!!??」



 なんだよご夫婦って……。
 レヴィ相変わらずドSだな。爆笑してるし・・・。

 腐ったご家族の団らんLv25,21,24,26,22、24


「これは厄介ね」
「ボスかなんかかしら」
「そうね、ここだけ開けているもの」
「なんで丁寧語?」
「最後まで一緒にいたかったんだよ。ねぇさすがに見逃してあげようよ」
「確かに。なんかお茶飲んでるし」
「なんでちゃぶ台があるんだよ……」
「団らんだからだよお兄ちゃん?当然じぁない?」
「そういうものなのか?」
「あっおじいちゃんお茶こぼした」
「ワンちゃんが心配そうにしてるね」
「なんか和む光景ね……」
「そうね。みて、皆いい笑顔よ」
「幸せそう……」
「そうだね。幸せそうだよ。なんか泣けてくるなぁ」
「エリアヒール×3」
「「「「ごかぞくーーーーーーーーーー!!??」」」」

 うちの神官は赤い血が流れていないのかもしれない……。

 というかもう勝手にやってくれ……。

 結局1時間くらいかけて林を抜け、山岳地帯に来た。


 山と山の間を歩く。

 なぜかモンスターがいない。

「なんか変ね」
「ん。いやな感じがする」
「ねぇ、なんかあそこ煙り上がってない?」
「走って行ってみよう」
「みんな、武器を構えてね」

ーーーーーーーーーー
緊急クエスト発生【みすぼらしいオークの大量発生】

みすぼらしいオークが集まりこれからフェラールの街を襲おうとしている。
今のうちに食い止めるんだ!!

クリア条件
みすぼらしいオークの全滅

報酬
みすぼらしいオークがため込んだお宝

ーーーーーーーーーー

「お宝!!!???」

「「「「「「「「ぶふぉ???」」」」」」」」」」

「「「あっ」」」

 アイリスが叫んだためオークたちに気づかれた。

「馬鹿野郎!!」
「ご、ごめんなさい!」
「みんな来るわよ!!散開!!」

 こうしてみすぼらしいオーク30体の殲滅戦が始まった……。

 しかしなぜ皆赤いふんどし姿なのだろう……。


「ファイアーウォール!」

 炎の壁ができ、オークの突進をとめる。
 アイリスと僕は炎の壁の両サイドから回り込み切り込む。

 炎の壁の中からはエリザベスの炎の矢と、クリスの3本の矢が飛んでいた。エリーゼは各種ブーストをかけ、レヴィは後方3人の前に立ちたて役をしている。

 壁の前で困惑していたオークの足を切りつける。伸長が2.5mほどあるオークの頭は届かない。足を切るとオークの頭は下がりそこにクリスとエリザベスの矢が刺さる。

「アイリス!足だ!」

 それだけでアイリスには伝わる。

 オークの怖さはその巨体を生かした突進と、だれが作ったのか大きな鉄の剣だ。

 まずは足を切りつけ機動力を奪い、その後死角から攻撃する。その繰り返しだ。

「次ぃ!!」
「ぶぉぉぉぉ!!??」

 オークたちの大ぶりの攻撃は予想しやすく、リムルと戦った後の僕には遅く感じた。見切りスキルが育ったせいかもしれない。僕とアイリスの機動削りが功を奏し、オークたちはみるみる動けなくなっていく。

「もう大丈夫ね!!鉄砕!!」

 レヴィは正面にいたオークの剣をたたき折り、そのまま頭に大きなハンマーを叩き込む。

「ッッッ……」

 オークは叫ぶ間もなぐ頭がつぶれ首から上がなくなる。

 ……あれはグロい。一応ゲーム内ではあまりリアルにならないようにグロさ控えめになっている。それでも首から上がなくなったオークの描写は同情したくなるくらい痛そうだった。

 その後も順調に殲滅し、無事終わったかと思った瞬間。

「ブモォォォォォ!!??」

 ・みすぼらしいオークジェネラルLV30

 ボスの登場だ。
 赤いふんどしの。

「ブモォォォォォ!!」
「はぁぁぁぁ鉄砕!!」

 ガキィィィィン!!
 レヴィのハンマーとオークの剣がぶつかり合い辺りに金属の激しい接触音が響く。が、さすがに砕けはしなかった。

 しかしオークの剣が跳ね上がりオークは体制を崩す。

「「はぁぁぁぁぁ!!」」

 僕とアイリスが足を切りつけオークは膝をつく。

「ワンダウンだね!!」

 レヴィは叫び、クリスとエリザベスの魔法がオークの顔をとらえる。
 オークの顔に直撃しオークの視界を奪う。

 オークは負けじと剣を振るうがレヴィが何度もはじき返すため攻撃はこちらには当たらない。

「とどめ!!」

 アイリスの渾身の兜割でオークの顔が真っ二つになりゆっくりと消えていく。

 こうしてオーク殲滅が完了した
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