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日曜日中編

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「あぁここだ」

「ほんとにここが情報屋か?」
「ああいればな」

 ドアをノックしてみる。だが返事はないようだ。

「いないのかな?あっカギは空いてるみたいだ。お邪魔しまーす」
「おい、勝手にいいのか?うわっ酒くさ」
「ほんとね。換気したがいいわよこれは」
「うわー臭いで酔っちゃいそおうだよー」
「ほんとね。ムラムラしてくるわ」

 フランジェシカはJKの発言じゃないな。

「あぁぁ。うっせーなぁ。だれだ?」

 テーブル席のソファからギルがつらそうな顔で顔を出す。

「あぁ?ここはクソガキの来るとこじゃねぇよ。……あぁ、ウィルか。どうした?」
「こんにちはジン。少し聞きたいことがあって。それより飲みすぎはよくないよ」
「うっせーよ。大人にゃ色々あんだよ。それより悪いが水をくれないか?奥にあるから。あと換気扇回してくれ」

 自分でやれや。と思いつつやってあげる。

「ついでにウイスキーも取ってくれ」
「飲みすぎよ。お酒はもうやめときなさい」
「お前は俺のかぁちゃんか」
「そうだよー。お母さんの言うことは聞きなさい!」
「ガッハッハ!!なんでやねんな!」
「こっちでもなんでやねんっていうんだな……」

「ゴクッ。はー生き返った。ありがとよ。ところで何が聞きたいんだ?」
「実はこれから釣りをしようと思っててね。南の海岸で釣れるっていうのは知ってんだけど、他にいい穴場スポットがないか聞きたくてね」
「おっ?釣りに行くのか。なら情報料として俺の分もとってきてくれ」
「もちろんいいよ。もともとそのつもりだったし」

 この前食べたパエリアはうまかったからなぁ。

「おお!気が利くじゃねえか。よし。なら教えよう。このあたりならポイントは3か所だ。まずはお前がさっき言った南の海岸の船乗り場のそば。あそこが初心者向けだな。だが小物しかつれない。次は始まりの森の中腹を南行ったところに一カ所だけ飛び出た場所だ。ここはそこそこの大きさの魚が釣れる。あとは大物なら東の小山の奥だな。あそこは大物が出るが危ない場所だ」

「なら東一択だな!大物以外興味なし!」

 だと思ったよ。オリバーはこういうやつだ。

「ガッハッハ!若いな。まぁ流れ人なら大丈夫かもしれんな。ただまともな釣竿じゃ折れちまうだろうな。お前ら金はあるか?」
「僕は大丈夫だよ。……って何でみんなこっち見んだよ。……あぁ武器か。ジンいくら?」

 その後ジンに正確な場所と釣り道具屋を教えてもらい釣り道具を揃えて出発する。尚、釣り道具は全て僕が払った。まぁ貸しだが。ジンのおかげで1セット、一万五千Gを一万にしてもらった。流石にだ。

 北門を出て山沿いに北へ10分。
 遠目では分からないくらいの細い道が東に伸びていた。

「ヒャッホーウ!!プライベートビーチだあ!」

 そこは静かな砂浜と青い海。

 少し先に無人の船乗り場と小さなボートがいくつかあった。ボートは勝手に使っていいらしい。

 少し話がそれるが今この辺りの海は魔物が湧いて沖には出られないらしい。オリバーはイベントか、エリアボスだろうと言っていた。そしてこのまま東に渡れば火の国があるという。そこは独自の文化があり、刀や和食があるそうだ。が、ここ五年は魔物の所為で交易が出来ないらしい。

「うわぁ!いいところだね!水着用意すればよかったよ!!」
「本当ね。……オリバーに見せたかったな」
「海と男と男か。…おっと鼻血が…」

いちいち雰囲気を壊すなこの変態は。せっかくのリタの甘酸っぱい感じが台無しだ。
まぁオリバーは一人で海ではしゃいじゃってるが。

「おい、ウィル泳ごうぜ!!」
「なんでだよ。釣りをしに来たんだろ?せっかく釣り竿買ったんだからさ」
「そうだった!!忘れてた!!」

 こいつ大丈夫なんだろうか?

 とりあえず船乗り場の木の橋の先端で五人で糸を垂らす。

「何が釣れんだろーねー?」
「タイとか釣りたいな」
「こっちにタイっているの?」
「どうなんだろうな。この前似たような魚は食べたけど……」

 15分後……。

「こねぇな……」
「来ないわね……」
「うん。来ない……」
「ひーまー」
「暇だからウィルとタクは絡まってみて?」

30分後……。

「こーなーいー」
「こないね」
「こないわね」
「うーん。こないな」

「とりあえずディープキスからでいいわよ?」

45分後……。

「なぁやめていいか?」
「もう少し待てよ。」
「きっと来るわよ」
「ぐーーぐーー。」
「裸で抱き合うのとかはどう?」

「そうだ。撒き餌をしてみるか」
「撒き餌?」
「あぁ。先に餌を巻いて魚をおびき寄せて、その中に餌のついた糸を垂らすんだ」
「なるほどな!木を隠すならもりってことだな?」
「うん。違うけどまぁいいや。とりあえずやってみるか」

 パンくずを巻いてみる。

 1、2分後……。

 バシャバシャバシャ!!

「おお!!すごいぞ!!釣り放題だ!!」
「これはすごい!!」
「すごいけどちょっと気持ち悪いわね!」
「ほら、ライリー!!魚来たわよ!」
「ん・・ふぇ?あっ魚いっぱいいる!!なんで?」

 僕らはその後、一時‬間かけて魚を捕る。

・モブエビ×21
・モブカサーゴ×11
・モブモブ鯛×9
・モーブアージ×31……。

「いゃあ大量だなぁ」
「流石情報屋に聞いた場所ね」
「ほんと待っててよかったね!!」
「ライリーは寝てたじゃない……」

 4人がかたずけをしているときオリバーは厳しい顔をして海を見つめていた。

「おいっオリバー。そろそろ帰るぞ。」
「まだだ……。まだ大物をつってない!!」
「もう。1mくらいの大物いたじゃない」
「それじゃダメなんだ!!釣りを始めたら大物釣るまで帰るな。これがじいちゃんの最後の言葉だった……」

 嘘つけ。お前のじいちゃん生きてんじゃん。

「何言ってるのよ。あなたのおじいちゃんこの前キャバクラで飲みすぎでおばあちゃんに怒られてたって言ってたじゃない」

 おじいちゃん滅茶苦茶元気じゃん。

「じいちゃん!!俺は行くぜ!!」

 どこにだよ……。

 オリバーは小舟に乗り込み舟をこぐ。

「お、おい!どこいくんだよ!」
「ダイジョブ!遠くまではいかない!」
「オリバー!ガンバー!」

 オリバーとガンバーかけんなよ……。

 5mほど行ったところで船の固定していたロープが伸び切り船が止まる。

「うぉ!!なんだ?まあいいここで釣る!!」

「あほだなあいつ」
「あほね。まぁ遠くに行かなくてよかったわ」
「そだねー。戻ってこれなくなちゃうからね」
「アホはそのまま魚に食べられちゃえばいいのに」

 フランジェシカ、えげつないな。

 オリバーはできるだけ糸を伸ばし座る。

 ……5分後。

「もうこないんじゃないか?」
「撒き餌すればいいのに」
「そうしたら小魚が来ちゃうからじゃないー?」
「オリバーを餌に釣れば大物くるんじゃない?」

 フランジェシカご立腹だな。

「おお!!来てる!!大物だ!!」

 オリバーが叫んだ瞬間……。

「おお。カエルが……え?」
「えっ?海の上に立ってる?」
「立ってるねー二足歩行で」
「しかも名前ゲコタロウみたいよ」

 2mほどのカエルがどういう原理か海の上に立っていた。オリバーは固まってそれを見ていた。

 だだだだだだっ!!

 ゲコタロウはオリバーから40m離れたところから陸上選手のように姿勢よく走ってきた。

「うわあああぁぁぁっぁ!!たすけてぇぇえええ!!!!」

 こっちに助けを求めてきたのでしぶしぶロープを引く。

 はぁ……。
 よっこらせっと……。
 よっこらせっと……。

「もっと真剣に引けやぁぁぁぁ!!」
「でもなぁ。やる気が出ないんだよな」
「ふざけんぁっぁっぁ!!やる気だせーー!!」

 オリバーがあと2mほどでこちらに飛び乗ってくる。

 ゲコタロウとの距離は15m。

 とその時……。

「「「「「あっっっ」」」」」

 ゲコタロウは大きな魚に食べられた……。

「食べられた……」
「食べられたわね……」
「うん。食べられた」
「ゲコタロウ……」

「あぁぁぁ!!釣り竿ー!!!」

 オリバーの釣り竿が引っ張られそれをオリバーが飛びつく。

「あのあほっ!」

 オリバーは海に引きずられそうになり僕がオリバーに飛びつく。

 「きたぁぁぁぁ!!特等席!!」

 フランジェシカが鼻血を出しながら僕に飛びつく

「こんな時に興奮しない!!」
「楽しそう!!僕もやるー!!」

 リタとライリーもそれに続き4人が前の人に抱き着き引っ張りオリバーは釣り竿を引っ張る。

 このゲームはリアルの体の匂いも再現している。リアルの体が臭いとアバターもくさい。俳人対策だろう。

 フランジェシカが背中に抱き着いていたため、女性特有のいい匂いがし、背中に柔らかいものが当たる。

 僕は必死にオリバーに集中し警告が出ないことを祈る。

「「「「「うぉ!!」」」」」

 突然軽くなり後ろに全員倒れる。

 すぐに皆立ち上がろうとしたときムニュっと柔らかいものをつかむ。フランジェシカと目が合う……。

「あ、あれ見ろ!!」

 オリバーの叫びに皆が海をみて皆立ち上がる。

 先ほどゲコタロウをの見込んだ魚が怒ってこちらにすごい勢いで泳いできた。

「に、逃げるぞ!!」

 僕は叫び、全員で浜に逃げる。
 あれは勝てない。
 サイズが違いすぎる。

 その瞬間魚は海から飛び出しこちらに飛んでくる。

 「よけろーー!!」

 オリバーの叫びで散開する。

 ずどぉぉぉぉん!!と大きな音と砂をまき散らしながら魚は沖に着地する。

「カバうさぎ  Lv38」

 どっちも海じゃねぇ……。ウナギのような体で8mはあるだろう。口は尖っておりウサギのような耳がある。して小さな手足があった。さらに……。

「あれっ、ささってる??」

 くちばしが砂に刺さり手足が地面に届かないカバうさぎはくねくねとあがくが砂から抜けないようだ。

「へぇ、抜けないんだ」
「そうね、抜けないようね」
「ははっ。抜けないんだぁ」
「そうみたいね。チャンスだわ」
「あぁ、やっちまおうぜ!!」

 涙目になるカバうさぎを集団リンチをする俺たち。

 こうして無事大物をつり(?)僕らの海釣りは終わった。


「初めて男性に触られちゃった。抱き着いた時も興奮してたでしょ。女性にはわかるのよ?私の初めて奪ったんだからちゃんと責任とって?」

 帰り際フランジェシカにそう耳元でささやかれ、冷汗が止まらない僕だった。
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