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気づいてしまった痛み
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「ひぃぃぃぃっ! レナっ! レナ助けてっ!!」
「ちょっとくらいいいじゃない! 兄弟でしょ?! 原作みたいに仲悪いわけじゃないんなら簡単でしょ?!」
逃げる王子に追う令嬢。
どうやらコレット嬢は推し以外になら近づける模様です。
「何でいきなり兄上と絡まなきゃならないんだよ! 俺は腐ってるけどゲイじゃない!!」
「そんなことは私の前では瑣末事よ!! 萌えのためなら犠牲を払うことも辞さない!!」
「いやいやお前は全然被害ないじゃん! むしろ喜ぶだけじゃん! 俺大打撃じゃん!!」
「つべこべ言わずに協力しなさいよっ! 私の元々の一推しCPはアルセドなんだからーー!!」
室内はカオス空間と化していた。
男爵令嬢に追い回される第二王子。うん、すごいカオス。
レナリアは被害が及ばないところで二人の追いかけっこを眺めていた。
「あー、三次元にしたら萌えないかと思ったけど、実際目にしたらイケるわね。二次元のみでは味わえなかった萌えを感じられそうな気がする! さぁ! セドさまのところへGOよ!!」
「嫌だよ! 俺は俺に被害が及ばない範囲でBL楽しみたいんだよ!」
制服とはいえ、スカートというハンデをものともせずアルベールを捕獲したコレットが攻めキャラとして一番推しているアルベールの三次元姿を堪能している。
余りの勢いに涙目になっているアルベールは、相手が女性であるせいか強く出られないらしくされるがまま。
そんなアルベールを見て…レナリアの心臓がズキリと痛んだ。
「…何で?」
ぽつりと落とされた呟きは、二人には届かない。
アルベールと話すのは楽しい。腐った話ができる唯一の相手だったし、それは彼も同じだったはずだ。
だからこそ、彼はレナリアを選んだ。気兼ねなく話せる相手として。萌えを共有できる相手として。趣味を理解しあえる相手として。
そこに…萌え以外の温かな感情が無くとも、一緒に居られる相手だから
ぎゅっ、と胸の上で拳を握って目を上げると、そこでは未だ二人がじゃれあっている。
(…そういえば…原作では…アルベール王子は、ヒロインに惹かれるんだっけ―――)
更に痛みを増した胸を押さえて俯いたレナリアに気づかず、アルベールとコレットの攻防は続いている。
BLだけじゃなくて弟攻めとかどんだけ性癖ぶち込んでんだよ! とか、うるさいわねでも俺さま攻めは正義だからそのまま強気の姿勢で押し倒していらっしゃい! など、内容としてはとんでもない物だが、今のレナリアの目にはきゃっきゃうふふしているようにしか映らない。
「大体! 俺の推しはエドモンだ! エドジェラを密かに楽しんでいたい!」
「まったえっらいマイナーなところへ行きおったわね! もっと王道いきなさい…よ…って…え、もしかして…」
二人の楽しそう(?)な様子に耐えられなくなったレナリアはそっと部屋を後にしたため、直後にアルベールとコレットの悲鳴が上がった事には気づかなかった。
「ちょっとくらいいいじゃない! 兄弟でしょ?! 原作みたいに仲悪いわけじゃないんなら簡単でしょ?!」
逃げる王子に追う令嬢。
どうやらコレット嬢は推し以外になら近づける模様です。
「何でいきなり兄上と絡まなきゃならないんだよ! 俺は腐ってるけどゲイじゃない!!」
「そんなことは私の前では瑣末事よ!! 萌えのためなら犠牲を払うことも辞さない!!」
「いやいやお前は全然被害ないじゃん! むしろ喜ぶだけじゃん! 俺大打撃じゃん!!」
「つべこべ言わずに協力しなさいよっ! 私の元々の一推しCPはアルセドなんだからーー!!」
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「あー、三次元にしたら萌えないかと思ったけど、実際目にしたらイケるわね。二次元のみでは味わえなかった萌えを感じられそうな気がする! さぁ! セドさまのところへGOよ!!」
「嫌だよ! 俺は俺に被害が及ばない範囲でBL楽しみたいんだよ!」
制服とはいえ、スカートというハンデをものともせずアルベールを捕獲したコレットが攻めキャラとして一番推しているアルベールの三次元姿を堪能している。
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「…何で?」
ぽつりと落とされた呟きは、二人には届かない。
アルベールと話すのは楽しい。腐った話ができる唯一の相手だったし、それは彼も同じだったはずだ。
だからこそ、彼はレナリアを選んだ。気兼ねなく話せる相手として。萌えを共有できる相手として。趣味を理解しあえる相手として。
そこに…萌え以外の温かな感情が無くとも、一緒に居られる相手だから
ぎゅっ、と胸の上で拳を握って目を上げると、そこでは未だ二人がじゃれあっている。
(…そういえば…原作では…アルベール王子は、ヒロインに惹かれるんだっけ―――)
更に痛みを増した胸を押さえて俯いたレナリアに気づかず、アルベールとコレットの攻防は続いている。
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「大体! 俺の推しはエドモンだ! エドジェラを密かに楽しんでいたい!」
「まったえっらいマイナーなところへ行きおったわね! もっと王道いきなさい…よ…って…え、もしかして…」
二人の楽しそう(?)な様子に耐えられなくなったレナリアはそっと部屋を後にしたため、直後にアルベールとコレットの悲鳴が上がった事には気づかなかった。
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