お腐れさまの幸せ

鳥類

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人への説明は簡潔にわかりやすく、が基本です

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 この国は現在王制をしいており、現国王陛下には正妃であられる王妃陛下の他に二人の側妃を迎えており、四人の子どもに恵まれている。
 一番上は第一王子であるセドリック殿下、続いてここでレナリアに腐っている事をカミングアウトした第二王子のアルベール殿下。その下に第一王女、そして現在まだ6歳の第三王子が続く。
 上二人が正妃さまの子、下二人は側妃さまの子で、女性には継承権が無いため、実質三人の王子の誰かが王太子となるのだが、末の王子はまだ幼い上に側妃腹である事から、有力候補は上の二人だ。
 この二人、どちらも同じくらいに優秀であり、現在それぞれの後援派閥の力関係も拮抗しており、正直国王ですらどちらを立太子させるか悩んでいる状態らしい。

「この辺りは多分原作通りなんだと思うんだ。原作に沿った二次でも割と取り入れられてた内容だから」
「…腐った王子が優秀…」
「そこは普段出してないんだからいいの!!」

 ボソっと要らんことをいうレナリアを黙らせつつ話を進める。

「原作通りだと俺と兄上は不仲に書かれてるはずなんだけど…そんなことも無くてさ。正直俺らもどっちが継いでもいいんじゃね? って感じだったんだけど…」

 今年の初め、兄の側近候補として紹介された人物を見たことにより、考えが一変したという。

「このままじゃ、俺、破滅するんだよ…」

 いわく、このまま原作のストーリー展開のまま進むと、アルベールは自身が王位を得るため、兄を暗殺しようとするというのだ。
 そしてさらに、ヒロインも自分のものにしようとするらしい。
 兄の側近を卑怯な手で囲い込み、兄サイドに不利になるよう画策したり、暗殺の機会を伺ったり、ヒロインと兄を引き離すようある事ない事吹き込んだり…と、外道の限りを尽くし、最終的には全てが露見し、未遂とはいえ王族の暗殺を企てた罪で処刑される…と。

「破滅の道を歩むくらいなら、王位なんか欲しくない!!」
「あー…完全悪役キャラに転生とか…ご愁傷さま…。でもさ、だからって結婚っておかしいでしょ」

 憐憫の目を向けつつ、ツッコミは忘れないレナリアに、ちょっと満足そうな顔をしたアルベールが続ける。

「それがさ、必要なんだよ」

 自己防衛のため、彼は思い立ったが吉日とばかりにすぐさま父王を始め、兄にも母親にも関係者に手あたり次第王位を継ぐ気が無いことを宣言した。
 それによって驚いた周囲は、何故どうしていきなり何だと慌てふためいた。
 だが、ここがラノベの世界で、死にたくないから放棄します、と真相を明かすわけにも行かず、当たり障りなく私には無理です兄上がふさわしいと思ったからです、と繰り返すアルベールに不信感を抱くなという方が土台無理な話で。
 特に第二王子派の後援者たちは、この突然の継承権放棄宣言に裏があると信じ込んで…いや、実際に裏はあるのだが、まさかそんなアホのような理由だとわかる訳もなく、まさかの第二王子暗殺計画の存在を主張し始めたというのだ。

 ここに至って慌てたのはアルベールである。
 正直、周囲が兄と自分、どちらが継いでもいいかなー、という雰囲気になっていたため、自分が『継ぎませーん』と言ったらすんなり兄が立太子すると思っていたのだ。
 なのに…まさかまさかの大惨事になりかけている!!

「で、考えたのが臣籍降下だったってわけ。ただ、単に臣籍にくだりたいって言ってもダメそうだったから…」

 好きな人が出来て、その人を迎えたいから、ってことにしたんだー

 そう、さわやかに笑うキラキラ王子に…

「…だから! 私に結婚申し込む説明になってねぇっての!!」

 レナリアの扇子が王子の顔面に炸裂した。
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