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とりあえずの謝罪
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幸永のゴタゴタの件が終わってから1週間、2週間過ぎた頃
「梅村、すまなかった」
「悪かったな」
幸永兄弟から謝られた。弟はイヤイヤだったけどな。
「イヤ、俺にも原因はあるんだし、俺も悪かったよ」
そう元々は俺に原因がある。
菊池が治療のために渡米するから記憶を失くした俺を守ってくれと頼んだのが原因なわけで…
だから多分、悪いのはコイツらだけじゃない。俺も悪いんだって思う。
「そう言うところは梅村らしいんだよな」
「ホントに…変な所で頑固だし、変な所で弱くなる。変なヤツだよ」
苦笑ぎみに幸永兄弟に言われた。
「それは…多分アイツのせいだ」
俺は今この部屋にいない男の姿を思い浮かべいう。記憶を失くすまで兄弟だと言ってもいいぐらいに一緒に過ごしてきたのだ。しかも、あの男は言い具合に甘やかすし、突き放す。そんなことを繰り返されれば、こんな性格にもなるだろう。しかもそれをさりげなく自然にやってこられたんだ。俺が気がつかないうちにだ。
「まぁ、菊池の行動も謎が多いんだけどな」
「あいつも読めない男だからな」
なんて、溜め息混じりにいう幸永兄弟。
見れば見るほどそっくりで、どっちがどっちだかわからなくなる。
幸い、どっちがどっちか見分ける方法はみんなに教えてもらったので大丈夫なんだけどな。
「な~に人の悪口言ってやがんだお前らは」
なんて、突然そんな声が聞こえて俺たちはびくって跳び跳ねた。
「し、心臓に悪い登場のしかたするなよ」
ドキドキいってる心臓を押さえながら今入ってきた男を見る。
「さっきからノックはしてやってたぞ。それに返事をしなかったのはお前らだ」
何て言いながら菊池は持ってきた書類で俺の頭を叩き机の上に置いた。
俺と幸永兄弟をチロリと見て
「和解の最中に邪魔したな」
そうとだけ言って出ていこうとする菊池に
「侑司、悪かったな。ゴタゴタに付き合わせて」
幸永が声をかける。
「いや、構わねぇよ。よっぽどの事がねぇ限りは梅村の事は頼まねぇから今度は真広のこともちゃんと考えてやれ。真広は真広で、ちゃんと兄ちゃんには言葉で訴えな」
菊池は小さく笑って軽く手を振って出ていった。
「あいつって…どこまで知ってんだ?」
ポツリと呟く幸永の弟
「はっ?何が?」
その言葉の意味がわからなくて聞く俺。
「2人とも…知らぬが仏って言葉があるだろ?知らない方が身のためだ」
そんな俺たちに溜め息混じりに答えたのは他でもない幸永兄だった。
俺と弟は顔を見合わせ静かに頷き合うのだった。
菊池侑司侮れぬ男。
謎が多い男ともいう。
俺でもわかんねぇこと多いもん。
あれだけ一緒にいたのに…。
あっ、でも6年はいなかったか…。
トホホ。
Fin
「梅村、すまなかった」
「悪かったな」
幸永兄弟から謝られた。弟はイヤイヤだったけどな。
「イヤ、俺にも原因はあるんだし、俺も悪かったよ」
そう元々は俺に原因がある。
菊池が治療のために渡米するから記憶を失くした俺を守ってくれと頼んだのが原因なわけで…
だから多分、悪いのはコイツらだけじゃない。俺も悪いんだって思う。
「そう言うところは梅村らしいんだよな」
「ホントに…変な所で頑固だし、変な所で弱くなる。変なヤツだよ」
苦笑ぎみに幸永兄弟に言われた。
「それは…多分アイツのせいだ」
俺は今この部屋にいない男の姿を思い浮かべいう。記憶を失くすまで兄弟だと言ってもいいぐらいに一緒に過ごしてきたのだ。しかも、あの男は言い具合に甘やかすし、突き放す。そんなことを繰り返されれば、こんな性格にもなるだろう。しかもそれをさりげなく自然にやってこられたんだ。俺が気がつかないうちにだ。
「まぁ、菊池の行動も謎が多いんだけどな」
「あいつも読めない男だからな」
なんて、溜め息混じりにいう幸永兄弟。
見れば見るほどそっくりで、どっちがどっちだかわからなくなる。
幸い、どっちがどっちか見分ける方法はみんなに教えてもらったので大丈夫なんだけどな。
「な~に人の悪口言ってやがんだお前らは」
なんて、突然そんな声が聞こえて俺たちはびくって跳び跳ねた。
「し、心臓に悪い登場のしかたするなよ」
ドキドキいってる心臓を押さえながら今入ってきた男を見る。
「さっきからノックはしてやってたぞ。それに返事をしなかったのはお前らだ」
何て言いながら菊池は持ってきた書類で俺の頭を叩き机の上に置いた。
俺と幸永兄弟をチロリと見て
「和解の最中に邪魔したな」
そうとだけ言って出ていこうとする菊池に
「侑司、悪かったな。ゴタゴタに付き合わせて」
幸永が声をかける。
「いや、構わねぇよ。よっぽどの事がねぇ限りは梅村の事は頼まねぇから今度は真広のこともちゃんと考えてやれ。真広は真広で、ちゃんと兄ちゃんには言葉で訴えな」
菊池は小さく笑って軽く手を振って出ていった。
「あいつって…どこまで知ってんだ?」
ポツリと呟く幸永の弟
「はっ?何が?」
その言葉の意味がわからなくて聞く俺。
「2人とも…知らぬが仏って言葉があるだろ?知らない方が身のためだ」
そんな俺たちに溜め息混じりに答えたのは他でもない幸永兄だった。
俺と弟は顔を見合わせ静かに頷き合うのだった。
菊池侑司侮れぬ男。
謎が多い男ともいう。
俺でもわかんねぇこと多いもん。
あれだけ一緒にいたのに…。
あっ、でも6年はいなかったか…。
トホホ。
Fin
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