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懺悔の再会(番外的な話)
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「侑司ちょっと降りてきなさい」
自分の部屋で一応、受験勉強をしていたらお袋に呼ばれた。
握ってたペンを置き、立ち上がって部屋を出た。
2階から降りてリビングへ入れば珍しい人物がいた。
それは梅村の両親だ。そして俺の両親も。4人が4人ともなんとも言えぬ表情をしていた。
「なんだよ」
手近な椅子に腰かけて声をかければ一瞬の躊躇いの後で
「侑司くん、ごめんなさい」
おばさんが頭を下げた。
「あっ、イヤ、意味わかんないっす」
そう、いきなり謝られても意味がわからない。
「陽葵のこと。ごめんなさい。あなたには酷い怪我をさせちゃって…本当にごめんなさい。それにあの子はあなたの子とを忘れてしまって」
謝った理由を教えてくれる。
あぁ、その事かなんてぼんやりと思った。
「イヤ、いいっすよ謝んなくて。あれは俺が勝手にやった事だし。忘れろって暗示かけたのも俺だし。マジで忘れるとは思わなかったけど」
そう、あれは本当に自分で勝手に梅村を守って怪我をしただけのこと。あいつが記憶をなくしたのは俺が言った言葉が原因。
「君は恨んでないのか?」
おじさんに聞かれ
「何を恨むんですか?」
反対に聞き返した。
「陽葵の事だよ。あの子がいたから君は大きな怪我をした。恨んでないのか?」
俺の口からでるであろう言葉を神妙な面持ちで待つ2人。
「恨んでないっすよ。その必要ないじゃないっすか。俺は自分があいつの傍にいたくて傍にいた。守りたくて守った。ただそれだけっすよ」
そう、これはずっと変わらない気持ち。
「でも…」
おばさんは本当は違うんじゃないのと言いたげだ。
「あー、そうっすね。一つだけ、俺があいつを好きな気持ちって変わってないんで、そこだけ言っときます」
それ以外は言うことないと断言する。
「あら、ヤダ、あれ本気だったのね」
話を聞いてたお袋が驚いた声をあげる。
「イヤ、嘘じゃねぇし。記憶があろうがなかろうが、あいつにあったら俺は確実にあいつを手に入れるつもりだ」
あいつに記憶があってもなくても自分に惚れさせるつもりだった。
「っていうか、あの子はお前に依存してたから思い出したら大変なんじゃないのか?」
親父までそんなこという。その言葉に梅村の両親が
「あっ」
って小さな声を上げた。
梅村が俺に依存するようになった理由を思い出したんだろうな。
「ごめんなさい侑司くん。それに関しては私たちのせいね。でも…本当にそれでいいの?」
おばさんが確認のために聞いてくる。
「勿論いいっすよ。じゃなきゃわざわざ同じ高校に行こうとは思わないっすよ」
そう、あいつを取り戻すために俺はあいつと同じ高校を受けるんだ。
「なんか、記憶を取り戻したら陽葵の暴走と凶暴化が目に浮かぶんだが…」
遠くを見ながらおじさんが言うが、あり得なくもない話なんで両親たちはひきつった笑みを浮かべる。
「まぁ、そんときはそんときっすね」
どうなるかは自分もわからない。だから面白いのだ。
「わかったわ、ありがとう侑司。ちょっと手がかかるけど陽葵をお願いするわ」
「確かに、色々とあるとは思うがお願いするよ」
両親が俺に頭を下げる。
「何かあれば、連絡入れます」
俺はそれだけは伝えておいた。
今後、あいつの身に何かあればすぐ連絡を入れると…。
この後、少しだけ話をして別れた。
そして、俺は梅村陽葵と再会を果たすために受験勉強に励むのだった。
Fin
自分の部屋で一応、受験勉強をしていたらお袋に呼ばれた。
握ってたペンを置き、立ち上がって部屋を出た。
2階から降りてリビングへ入れば珍しい人物がいた。
それは梅村の両親だ。そして俺の両親も。4人が4人ともなんとも言えぬ表情をしていた。
「なんだよ」
手近な椅子に腰かけて声をかければ一瞬の躊躇いの後で
「侑司くん、ごめんなさい」
おばさんが頭を下げた。
「あっ、イヤ、意味わかんないっす」
そう、いきなり謝られても意味がわからない。
「陽葵のこと。ごめんなさい。あなたには酷い怪我をさせちゃって…本当にごめんなさい。それにあの子はあなたの子とを忘れてしまって」
謝った理由を教えてくれる。
あぁ、その事かなんてぼんやりと思った。
「イヤ、いいっすよ謝んなくて。あれは俺が勝手にやった事だし。忘れろって暗示かけたのも俺だし。マジで忘れるとは思わなかったけど」
そう、あれは本当に自分で勝手に梅村を守って怪我をしただけのこと。あいつが記憶をなくしたのは俺が言った言葉が原因。
「君は恨んでないのか?」
おじさんに聞かれ
「何を恨むんですか?」
反対に聞き返した。
「陽葵の事だよ。あの子がいたから君は大きな怪我をした。恨んでないのか?」
俺の口からでるであろう言葉を神妙な面持ちで待つ2人。
「恨んでないっすよ。その必要ないじゃないっすか。俺は自分があいつの傍にいたくて傍にいた。守りたくて守った。ただそれだけっすよ」
そう、これはずっと変わらない気持ち。
「でも…」
おばさんは本当は違うんじゃないのと言いたげだ。
「あー、そうっすね。一つだけ、俺があいつを好きな気持ちって変わってないんで、そこだけ言っときます」
それ以外は言うことないと断言する。
「あら、ヤダ、あれ本気だったのね」
話を聞いてたお袋が驚いた声をあげる。
「イヤ、嘘じゃねぇし。記憶があろうがなかろうが、あいつにあったら俺は確実にあいつを手に入れるつもりだ」
あいつに記憶があってもなくても自分に惚れさせるつもりだった。
「っていうか、あの子はお前に依存してたから思い出したら大変なんじゃないのか?」
親父までそんなこという。その言葉に梅村の両親が
「あっ」
って小さな声を上げた。
梅村が俺に依存するようになった理由を思い出したんだろうな。
「ごめんなさい侑司くん。それに関しては私たちのせいね。でも…本当にそれでいいの?」
おばさんが確認のために聞いてくる。
「勿論いいっすよ。じゃなきゃわざわざ同じ高校に行こうとは思わないっすよ」
そう、あいつを取り戻すために俺はあいつと同じ高校を受けるんだ。
「なんか、記憶を取り戻したら陽葵の暴走と凶暴化が目に浮かぶんだが…」
遠くを見ながらおじさんが言うが、あり得なくもない話なんで両親たちはひきつった笑みを浮かべる。
「まぁ、そんときはそんときっすね」
どうなるかは自分もわからない。だから面白いのだ。
「わかったわ、ありがとう侑司。ちょっと手がかかるけど陽葵をお願いするわ」
「確かに、色々とあるとは思うがお願いするよ」
両親が俺に頭を下げる。
「何かあれば、連絡入れます」
俺はそれだけは伝えておいた。
今後、あいつの身に何かあればすぐ連絡を入れると…。
この後、少しだけ話をして別れた。
そして、俺は梅村陽葵と再会を果たすために受験勉強に励むのだった。
Fin
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