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記憶にない記憶

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「なぁ、菊池。一つ聞いてもいいか?」
ここのところずっと気になっていたことを聞こうと思い、ゆったりと寛いでる菊池に声をかけた。

「んー?なんだ?」
雑誌を読んでた菊池がゆっくりと顔を上げる。その顔は半分眠そうだ。


最近、特に忙しくて菊池が色々と動いてるのは知ってるし、気が付いてる。

だから、こうやって菊池の部屋でのんびり過ごしてるわけなんだけど…。

イヤ、正しくいえば俺がいりびったてるだけだ。

うるさい、どうせ俺は菊池侑司に依存してるよ!

悪かったな!


って、そんなことはどうでもよくて


「俺の記憶にない記憶があるんだが…菊池はなにか知ってるか?」
少し言葉を選びながら聞けば菊池の顔が少し驚いた顔になりそして、ニヤリと笑う。


あっ、これ、菊池が何か企んでるヤツ。


「さぁなぁ。記憶の内容がわかんねぇし、なんと言えねぇなぁ」
ニヤニヤしたままで言われる。

「おまっ、それ絶対嘘だ!なんか知ってるだろ!」
ビシって指指して怒鳴れば、コイコイと手招きされて素直に傍に行ったら掴まってあっという間に押し倒された。


「なんでだよ!」
ジタバタ逃げようと暴れたら
「暴れんな。陽葵お前ん中にある記憶のない記憶は今度お前に必要になんだよ。だから今はなんも聞くな」

「なんでだよ!」
それが気に入らなくて怒鳴ったら
「自然に取り戻してもらいてぇからだ。聞いて戻すより確実な方がいい」
唇が触れそうな場所で言われた。それはまるで、この男がそれを待ち望んでるように感じた。

「待ってるのかよ?」
だから聞いてみた。
「さぁな」
なんて小さく笑いながら唇が塞がれた。


この男は待ってるんだ。


俺の中にある記憶が戻るのを…。


俺が忘れてる記憶を…。



Fin

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