人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

傍にいない

「ごめんね、梅ちゃん」

風紀委員室に書類をもって行ったら鍋屋と二村に謝られた。

「しばらくは委員長は不在です。なので、対応は俺たちになります」


二人の顔は困ったなって顔になる。俺が菊池に依存してるってわかってるからなんだろう。

「寮に戻ったときは会えるのか？」
それは確認しようと思った。

「ごめんねぇ、梅ちゃん。それは俺たちにもわかんない」
「そこまでの指示はもらってないんで夜ご自分で確認してください」

俺の言葉に困った顔のままで言われて

「なんでだよ！」

俺はつい叫んだ。

「ごめんね、梅ちゃん」
鍋屋がまた謝る。

「謝らなくていい。お前たちが悪いわけじゃないから」
そう、別にこの２人に怒ってる訳じゃないし、つい咄嗟に出た言葉だっただけだから。

「うん、でもごめんね。梅ちゃんにはちゃんと教えてあげられないから」
「委員長が言わないことを俺たちが言うわけにはいかないですからね」

何が起きてて、何をやってるのかって一番わかってるのはこの二人なんだろう。

そして、幸永も…。


でも、それを俺には話せない。それがどういう意味で話せないのかがわからない。

だから俺は待つしかないんだ。

菊池侑司の口から語られる言葉を…。

「いい。気にはなるけど聞かない。そんなズルしねぇ。あいつに怒られたくねぇもん」
だから俺は何も聞かない。わかるときまで気付かないふりをするだけ。


「梅ちゃんは成長したんだねぇ」
「我慢することを覚えた分だけ成長だね」

鍋屋と二村の言葉にいらっとする。

「お前らに言われたくない。くそぉ、吐かすぞお前ら」
俺の言葉に二人の顔色が変わる。

じっと見てくる２人に

「なんだよ」
文句あるのか的な意味合いで聞けば

「これはまたぁ」
「委員長の勘が当たりかな」

なんてまた意味不明なことを言う。

「どういう意味だよ」
２人に掴みかかろうとしたら

「梅ちゃんは梅ちゃんのままでね」
「ちゃんと意味がわかるときがそのうちきますよ」

２人は小さく笑って俺の頭を撫でた。


「意味わかんねぇーよ！」
俺が叫んだら２人が爆笑した。


ホント、なんでだよ！


結局、夜、菊池の部屋に行ったら会えたからよっしとしよう。


気になることは沢山あるけど、俺はそれに蓋をして見ぬふりをした。


Fin